ネットワーク工程表を書く時のポイント7つ|メリットや注意点も紹介

労務 2021.03.23 2022.12.27
ネットワーク工程表を書く時のポイント7つ|メリットや注意点も紹介

ネットワーク工程表とは何か


ネットワーク工程表とは、建設現場で使われる工程表のひとつで、丸印と矢印の結びつきで作業工程を示した表です。

それぞれの作業項目と必要な日数、関連する工事を視覚化します。工事全体の流れを明確にでき、工事が順調に進んだ場合の施工期間を把握できます。施工管理担当者は、作成方法と使い方を覚えて工事の効率化に活用しましょう。

この他、バーチャート工程表やガンチャート(横線)工程表などがあります。

ネットワーク工程表を作成するメリット5つ


ネットワーク工程表を作成すると、工事の全体像を把握しやすくなり、進捗状況に応じた対策を行いやすくなります。

施工管理では、工事の全体像の把握は欠かせません。それぞれの工程や順序を確認すると、品質を保持したまま工期の短縮計画の策定が可能です。

工期の短縮は効率的な工事と経費の削減につながります。天候不順やアクシデントの発生に対し、適切な人員配置や機材の投入を短時間で再構築できます。

1:作業工程の全体像をつかみやすくなる

ネットワーク工程表は作業工程を視覚化するため、全体像を現場のメンバー全員がつかみやすくできます。

施工管理やリーダーだけが全体像を把握しても、効率良い工事はできません。工程の関係性をわかりやすく記号で表示した工程表は、着手する工事の順番を明確にします。

明確な見通しは、計画的な行動を促します。新しい工法を導入した場合や経験が少ない作業員が、施工の進め方の指示を受けずに着手することが可能です。

2:工事の依存関係を把握しやすくなる

ネットワーク工程表は工事の依存関係が把握しやすくなり、大きなプロジェクトなど複数の担当を同時進行する場合の手順を明確化します。

複数の工区や下請が入ったプロジェクトでは、連携が大切です。工事の依存関係を把握して、それぞれの進捗状況を確認しながら作業を進行させると待ち時間を削減可能です。

停滞時間を減らすと、チームワークも高まります。

3:工期の所要日数を見積もりやすくなる

ネットワーク工程表を作成するメリットは、工期の所要日数を簡単に見積もれることです。

プロジェクトが大きくなると、工程も複雑になります。施工管理する上で、同時進行の把握も重要です。

工事の依存関係を図式化してそれぞれの工程の所要日数を見積もると、現実的な数値を算出可能です。日数の明確化は、周辺住民に説明する際の資料の根拠に役立ちます。

4:工事の進捗をコントロールしやすくなる

ネットワーク工程表で工事の依存関係を図式化すると、進捗状況に応じたコントロールが可能です。

予定した工程通りに作業が進まない場合、工程表の見直しを行います。現場の状況に合わせてプロセスを再構築すると、遅延対策を早めに着手できます。

短縮できる工程や作業順序の入れ替え、人員の再配置など具体的な方策を見つけられ、工程のコントロールは構造物の品質を高められるでしょう。

5:工期の短縮やコスト削減が見込める

ネットワーク工程表の作成は、効率よく作業を進められるため、工期の短縮やコスト削減が見込めます。

工程管理ができれば停滞時間を削減し、工期の短縮が可能です。短期間で工事が終了することで、建設機械のレンタル料や作業員の日当など、多くのコストダウンが可能になり、有効な原価管理対策となります。

工事による通行止めも早期に解除でき、周辺住民への影響も抑えられます。

ネットワーク工程表を書く時のポイント7つ


ネットワーク工程表の作り方は、使用する用語や表記のルールを覚えることと、工事内容の把握です。

ネットワーク工程表の作成開始前に、基本ルールを押さえます。工事の内容を把握して、前後の関係性や工事の依存関係も整理しましょう。

専用のソフトや無料アプリのテンプレートもありますが、エクセルのアロー型フロートを使用して簡単に自作できます。

1:作成に必要な用語を知る

ネットワーク工程表の作成に必要な専門用語を覚えます。

アクティビティは矢印で表記する作業単位です。矢印が繋がるポイントはイベントです。丸印で示し、イベント番号を記入します。作業の依存関係を表すためにダミーを点線で表記します。

クリティカルパスは、所要日数が1番多い場合の経路(最遅完了日)です。工事の完成に欠かせない重要工程を依存関係通りに進めて算出します。

2:作成時の表記ルールを知る

ネットワーク工程表の作成時の表記ルールは、作業工程を考える基本ルールです。

主なルールは、アクティビティの矢印の上部分にアルファベットで作業単位を、下部分に作業に必要な時間を記入します。矢印は進行方向へ向け、作業が完了しないと次を開始できません。

同じイベントの間にアクティビティは1本です。イベント番号は作業の進行に合わせて順次大きくし、同じ番号は使用できません。

3:必要な工事内容を確認する

実際にネットワーク工程表を作る時は、必要な工事内容を確認します。

施工するために行う工事を書き出します。複数の建設会社が関わるプロジェクトは、専門工事で分類します。専門工事が少ない場合は、担当工区による分類なども有効です。

カウント漏れがないように、丁寧に作業します。書き出した工事内容が、アクティビティです。

4:各工事の依存関係を考える

工事内容を全て書き出した後、依存関係を考えます。

作業Aを完了して作業Bを開始し、作業B終了後に作業Cと作業Dは並行できる時、作業Aから作業Bを矢印で結んで結合部の丸印にイベント番号を書きましょう。

作業Cと作業Dのように並行する時は作業Bから矢印を2方向に分け、別ルートを構成します。その際、依存関係があれば順番に仮のイベント番号をつけ、点線矢印のダミーを前後関係だけの表示に使います。

5:所要日数を調整して日程を組む

それぞれの作業の標準の所要日数を見積もって、工期が予定通りに施工できるように日程を組み、アクティビティの下部分に記入します。

複数ルートの場合は、依存関係を考慮して標準所要日数が多いほうを計算に使用します。標準日数を超えた場合は、クリティカルパス上のアクティビティで調整しましょう。

所要日数の大きい数値を基に調整して、工事全体の所要日数を計算します。

6:進行状況を見ながらフォローアップを行う

実際に工事を開始して、天候や設計変更など工事の進行に影響が起きた時は、計画を修正します。

フォローアップとは、工事の遅れに対応して、計画の修正を行う作業です。工事の進捗状況を把握し、プロジェクトの完成に与える影響を考慮して打つべき手段を的確に判断します。

ポイントは、クリティカルパスやフロートの変化による管理運営を弾力的に行える柔軟性です。ルールに則り、ネットワーク工程表を再構成します。

7:無駄のない配置を考える

作業員や資機材などを合理的に配置する計画を策定します。

策定方法は、山積み・山崩しとエキストラコストの2つです。必要な作業員数を合計して柱状にした山積み図を作成し、凹凸を平均化する山崩しを行います。作業人数の他、資機材にも適用しましょう。

エキストラコストは、標準作業時間を限界まで縮めたクラッシュタイムから、1日に短縮して発生する費用割合を計算し、工期の短縮に利用します。

ネットワーク工程表に関する注意点


ネットワーク工程表は作業の関連性を図式化できますが、進捗状況の把握には不向きです。

工程表を作る作業も、専門用語やルールなど知識が必要です。作成方法を理解している施工監理者でも、時間と手間がかかります。進捗状況に合わせた修正も、作り直しに近く複雑です。

大規模プロジェクトの工程管理に向いていますが、小規模の現場では使いにくい面もあります。

ネットワーク工程表を活用しよう!


ネットワーク工程表は複数の専門工事を行う場合などで、プロジェクトを俯瞰するために役立ちます。

作業の関係性を図式化して全体像を把握し、進捗状況とともに確認しながらフォローアップに使用します。人員や機材配置も事前に確認できますが、専門用語やルールなど作成に知識が必要です。

ネットワーク工程表を活用して、施工管理に役立てましょう。


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