談合とは?談合に関する独占禁止法3つと受発注側それぞれの禁止事項を紹介!

労務 2021.03.22 2021.03.22
談合とは?談合に関する独占禁止法3つと受発注側それぞれの禁止事項を紹介!

建設業界の談合とは?


談合とは、競争入札において、競争するはずの業者が事前に話し合い落札業者などを取り決めることを言います。

事前に話し合うことで、高い価格で落札したり、持ち回りで落札したりして、業界内で利益を享受する不正行為です。談合は、建設業界では不祥事として報道されることが多い事案と言えます。

企業として談合に関与しないことはもちろんですが、社員のコンプライアンス徹底が重要です。談合などの不正行為について理解している従業員を雇用する、社内で定期的なコンプライアンス教育を実施するなど、継続的な防止に努める必要があります。

談合に関する独占禁止法3つ


談合とは、競争入札であるにもかかわらず、事前に落札者などを取り決める不正行為です。談合は「独占禁止法」で規制されています。正式には「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」と言い、「独占禁止法」または「独禁法」と略されます。

「独占禁止法」で規制されている行為は、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法などです。これらの詳細について解説します。

出典:独占禁止法の規制内容|公正取引委員会
参照:https://www.jftc.go.jp/dk/dkgaiyo/kisei.html

1:私的独占の禁止

私的独占とは、他の業者の事業活動を排除または支配し、競争を実質的に制限することをいいます。この行為は独占禁止法第3条で禁止されています。

私的独占には、手段の違いによって「排除型私的独占」と「支配型私的独占」に分類できます。

「排除型私的独占」は、不当に低い価格などで販売し、競争相手を市場から排除しようとする行為です。「支配的私的独占」は、株式取得などによって競争相手の事業活動に制約を与えて市場を独占しようとする行為を言います。

2:不当な取引制限の禁止

独占禁止法第3条で禁止されているのが、不当な取引制限です。不当な取引制限には、「カルテル」と「入札談合」があります。

「カルテル」は業者同士が連絡を取り合い、共同して商品の価格や販売数量、生産数量などを決める行為を言います。「入札談合」は冒頭でもお伝えしたように、公共工事や物品の公共調達における競争入札で、事前に受注業者や受注金額などを取り決める行為です。

3:不公正な取引方法の禁止

独占禁止法第19条で禁止されている行為が、不公正な取引方法です。不公正な取引方法は、自由な競争が制限される可能性があり、競争手段が公正とはいえないなどの観点から、公正な競争を妨害するおそれがある場合に禁止となります。

不公正な取引方法は、独占禁止法のほかに、公正取引委員会の告示において内容が指定されており、この指定は、全業種に適用される「一般指定」と、特定の業界や業者が対象となる「特殊指定」があります。

談合とは?発注側の禁止事項4つ


談合とは一般的に、受注する側の不正な話し合いです。しかし、発注側も談合に関わる「入札談合関与行為」もあります。

「入札談合関与行為」は「入札談合等関与行為防止法」で規制されています。これは国や地方公共団体の職員が談合に関与する、いわゆる官製談合が発生していたことを踏まえて制定されました。

発注側が談合を防止するために、禁止されている事項4つを整理します。

出典:入札談合等関与行為防止法について|公正取引委員会
参照:https://www.jftc.go.jp/dk/kansei/

1:意図的な受注業者への指導

受注業者に談合を指導することは、違反行為です。例としては、競争入札を導入したものの、昔からの慣習や付き合いなどから、持ち回りで受注するよう調整を指示する行為などです。

さらに、業者ごとの年間受注目標額を提示するなどして、目標を達成するよう調整を指示することも該当します。

出典:「入札談合等関与行為防止法について」リーフレット|公正取引委員会
参照:https://www.jftc.go.jp/dk/kansei/kanyoboushi_files/kanseileaflet02.pdf

2:受注業者の指名及び暗示

談合とは、競争入札の受注業者を同業者間で調整する不正行為です。しかし発注側が、受注業者をあらかじめ指名することも違反にあたります。具体的には、希望する受注業者を示唆したり、 その業者名を教示したりする行為を指します。

軽い気持ちで入札予定の業者に「今回もまたお願いしたい」などと言ってしまうと、たとえそのような意図がなくとも「意向の表明を受けた、示唆された」と取られるおそれがあります。軽はずみに発言しないようにすることが重要です。

3:特定受注業者への秘密情報漏洩

入札談合等が容易となる情報を、特定の者に対して教示することも違反行為です。ここでいう情報とは、入札談合が容易となる情報であることと、秘密として管理されているものであることが条件です。

例えば公式ホームページに載っている情報は、秘密情報とは言えません。公開していない予定価格や、入札を予定している業者の名称を漏洩することなどが該当します。

また、業者から示された金額に対し、予定価格と比べて高額もしくは低額であることを示唆する行為も違反です。

4:特定業者のほう助

特定の談合をほう助する行為は、入札談合関与行為です。これは、業者等からの依頼を受けるなどして、職務に違反し入札談合を容易にする目的で行うほう助行為を指します。

特定の談合をほう助するということは、特定の業者が排除される図式です。具体的には、都合のよい業者を入札参加者等として指名したり、条件を恣意的に設定したりする行為が該当します。

談合とは?受注側の禁止事項4つ


談合とは、競争入札の参加者が、前もって話し合い落札者や価格を決めてしまう不正行為です。主に競争入札の参加者、つまり受注側の不正行為を指します。

ここからは、公正に競争するために、受注側が気をつけるべき4つの事項を整理します。

1:同業者間での入札等に係る価格情報交換

価格は、入札競争において重要な競争手段です。同業者間で価格情報を交換することは、企業にとって損失であり、談合を疑われかねない行為と言えます。情報交換の場で内部情報を公開しないよう、社内で徹底することが重要です。

2:同業者間での入札等に係る技術情報交換

同業者間での情報交換が、すぐさま不正行為に該当するわけではありません。一般に公表されている技術情報であれば問題視されにくいでしょう。

しかし入札に関わるような技術情報を他社に公開することは、談合を疑われる懸念があります。なにより、企業の技術情報を簡単に他社に公開する社員は、問題があると言えるでしょう。社内教育を徹底し、同業他社との情報交換には注意を払うことが重要です。

3:同業者間での受注業者調整

談合とは、同業者間で競争入札の受注業者を調整する不正行為です。同業者間での取り決めなどで、持ち回りで受注業者を決める行為は独占禁止法に違反します。競争入札においては公正かつ自由な競争となるよう、ルールを遵守しましょう。

出典:知ってなっとく独占禁止法|公正取引委員会
参照:https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/dokkinpamph.pdf

4:特定業者の受注妨害

先に述べたとおり、競争相手を市場から締め出したり、新規参入者を妨害して市場を独占したりする行為を「私的独占」といいます。

受注を妨害するためにリベートと呼ばれる売上割戻金を取引先へ支払っているケースもあります。リベートは適切な範囲内であれば問題ありませんが、決められた水準を超えると独占禁止法違反になります。

独占状態が、公正な競争の結果であれば問題ありません。不当な低価格販売、差別価格販売などの手段を用いた違反行為で独占しないよう、注意しましょう。

出典:流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針|公正取引委員会
参照:https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/ryutsutorihiki.html

談合に関する課徴金減免制度とは?


課徴金とは、入札談合などの不正行為に対し、行政庁が違反者に対して課す金銭的不利益を指します。そして課徴金減免制度とは、この課徴金が減免される制度です。

具体的には、談合に関わった業者が違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合に適用されます。減免される割合は、談合について申告した順位や協力の度合いによって変動があります。

出典:課徴金減免制度|公正取引委員会
参照:https://www.jftc.go.jp/dk/seido/genmen/genmen_2.html

談合について把握しておこう


談合とは、入札に参加する業者が、受注する業者や金額などを事前に決めてしまうことです。

企業として談合を意図していなくても、担当者間の情報交換などで談合を疑われてしまうケースもあります。社内のコンプライアンス教育を徹底し、談合が発生しない体制づくりを強化しましょう。


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