BIMとは?
BIMは「Building Information Modeling」の略語です。コンピューター上に作成した3Dモデルに複数の図面が自動生成され、設計から施工、さらには維持管理までのあらゆる情報を一元化して活用する手法のことを言います。
3D CADとの違いは?
3D CADは2Dの図面から立体的な3Dモデリングを行いますが、BIMは最初から3D空間で設計を行います。BIMで使用する建材パーツや建具などには、あらかじめ寸法値のデータや、施工に関する情報、積算に必要な材料のデータなどが盛り込まれています。
これらのパーツを組み合わせて作ったモデルにはあらゆる情報が入っていることになるため、情報を一元化して活用することが可能です。
3D CADとBIMとは、内包している情報量が全く異なることになります。
BIMの種類3つ
BIMには3D BIM、4D BIM、5D BIMという3つの種類があります。もちろんそれぞれに違った要素がありますが、別個というわけではありません。基本となるデータが3D BIMであり、そこに別のデータを追加していくことで、4D、5Dといった言い方になります。
3D BIMとは?
3D BIMとは、基本となる3Dデータを指します。平面図、立面図、断面図といった複数の図面が自動生成され、建築の設計、施工から維持管理まであらゆる情報を集約している3Dモデルです。
4D BIMとは?
4D BIMとは、3D BIMに時間軸を加えたシミュレーションです。3D BIMに新たな管理情報(時間)を付与することで、複雑な施工手順を事前に確認し、スムーズなスケジュール管理が可能になります。
5D BIMとは?
5D BIMとは、3D BIMにさらに時間軸とコスト軸を加えたものです。そうすることで、BIMモデルと原価がリアルタイムで連動するようになり、設計変更による原価の更新も一目瞭然になります。
BIM導入のメリット3つ
BIMを導入することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。BIMを導入する前にメリットを把握しておきましょう。
これから、BIM導入のメリット3つを紹介していきます。
1:設計・管理の効率化
BIMには設計に関するあらゆる情報が入力され、それらが全て連動している状態になります。そのため、一つの不具合から生じた変更点に関係する全てを、BIMで自動修正、管理することが可能です。
これまでは手作業で各種図面やデータの修正をし、建築部材の変更による予算や工程の変更も検討し直さなくてはなりませんでした。
しかしBIMでは、変更後に起こる全てのデータを自動修正、一括管理できるため、大幅な手間や時間の削減ができます。そのため設計、管理の効率化にも繋がります。
2:取引先プレゼン資料対応
これまでのプレゼンは、主に二次元図面を基にして行われてきました。しかし、二次元図面では関係者ごとに理解度が異なり、認識に齟齬がでることも多く「作ってみなければ分からない」というケースも少なくありませんでした。
BIMでは、あらかじめ3Dモデルを用意できるため、圧倒的な視覚情報で認識の共有を図ることができます。
3Dモデルだけならば3D CADでも対応可能ですが、3D CADには設備や材料などのデータがないため、詳細な説明には他にも多くの資料が必要でした。BIMならばそれらの情報も全て管理されているので、イメージの共有がよりしやすくなっています。
3:初期段階からのシミュレーション
BIMの特徴の一つとして、各種シミュレーションに優れていることが挙げられます。これまでは図面を引いてから、各関係部署に図面を渡してシミュレーションを行うという流れが一般的でした。しかし、BIMではそうした手間や予算も削減することができます。
BIMでは3Dモデル作成段階から、各種情報も同時にデータ化されていくため、3Dモデルを作成すると同時に各種シミュレーションを行うことが可能です。
3Dモデル作成時にシミュレーションを同時進行で行うことができれば、不備や不具合による変更も設計段階で行うことができ、合理的な設計が可能になります。
BIM導入のデメリット3つ
BIMはこれほど便利で、様々な恩恵をもたらしてくれるソフトですが、欧米に比べて日本では普及が遅れているのが現実です。ではなぜ、日本では遅れているのかというと、デメリットが無視できないものだからです。
これから、BIM導入のデメリット3つを紹介していきます。
1:導入コスト
どの企業にとっても、導入コストは無視できない問題です。BIMソフトそのものが高額である上に、導入の際にBIMソフトに対応できる機器もそろえる必要があります。せっかくBIMを導入しても、それを稼働できなければ意味がありません。
ソフトの購入がすなわち、稼働の環境を整えることにも繋がるため、単純にソフトを入手すれば完了、とはならないのです。
2:オペレータ確保
BIMソフトは高性能であるがゆえに、扱いが非常に難しい面があります。そのため、現在は技術者が圧倒的に不足しています。
当然ながら、せっかく導入コストをかけてBIM及び稼働環境を確保したとしても、肝心のオペレータがいなければ使用できません。BIMのメリットを考慮すると、導入したいと考える企業は少なくないでしょうが、ソフトを使いこなせる人材の確保が難しいのが現状です。
3:教育コスト
BIMソフトを使いこなせる人材が不足している以上、オペレータの確保ができなかった場合は自社でオペレータを育てる必要があります。これが教育コストです。
しかし、一から育てるとなると時間も手間もかかるでしょう。BIMは大きな期待を寄せられる概念である反面、まだまだ普及が遅れているからです。
社員の教育コストは、企業にとっても意外と大きな負担になっています。
BIMの代表的な3つのソフト
BIMといっても、どのようなソフトがあるのでしょうか。こちらでは代表的なソフトを把握しておきましょう。
これから、BIMの代表的な3つのソフトを紹介していきます。
1:Autodesk Revit
Revitは、アメリカのAutodesk社が開発、提供しているBIMソフトです。
本来は3D CADソフトですが、BIMに特化しているところが大きな特徴です。BIMのメリットである設計、管理の効率化や、初期段階からのシミュレーションでも大きな成果が期待できます。
大きな特徴にワークシェアリングという機能があり、複数の設計者が同じモデルを共有しつつ、作業別にレイヤー分けして保存することが可能です。一つの作業で変更点が出ても、同じモデル内なので他の作業への影響もすぐに反映され、設計データ相互間のズレを防ぐことができます。
2:ARCHICAD
ARCHICADは、ハンガリーのGRAPHISOFT社が開発したBIMソフトです。先に紹介したAutodesk社のRevitと並び、高いシェアを誇っています。
曲線を多く用いる有機的な設計に便利です。mac OSに対応しており、CADの基本操作が習得できていれば、直感的な操作が可能となっています。
ARCHICADとARCHICAD Soloの2バージョンがあり、前者はチームワーク機能、後者は単体での使用に特化しています。個人で使用する場合は、Soloのバージョンが安価で入手しやすいでしょう。
3:Rebro
Rebroは、日本のNYKシステムズが開発したBIMソフトです。
BIMの性能はもちろん、直感的な操作も可能で、短期間でのCAD操作の習得が可能です。3Dモデルデータから各種図面を高精度で作成し、断面、平面の整合性を常に確保しており、配管の勾配処理もリアルに再現できます。
RebroはRebro2011のバージョンで急成長し、高い評価を得ています。ゼネコンの発注でも「Rebroを使用してください」と指定するケースが増えてきているほどです。
BIMとは何かについて知ろう
BIMとは、建築物をコンピューター上に3Dモデリングし、企画から設計、施工、維持管理までの情報を一元化して活用する手法のことです。
従来の3D CADのように、外見だけを再現するのではなく、それぞれが情報を持った建具や建材パーツなどを3Dモデルとして組み立てていきます。
そのため、3Dモデル作成段階からあらゆるシミュレーションが可能になり、設計や建材の変更による様々なロスを回避することが可能です。建築業界ではBIMへの注目が高まっており、導入が進めばBIMソフトの、そして業界全体の発展が期待されています。
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