工事現場では少しの油断や安全対策の不備が労働災害の原因になります。現場監督は労働災害が起こった時のためにも労働災害に関して正しく理解しておく必要があります。
そこで今回は、労働災害の基本から労災保険の補償内容、関連法案、防止方法などについて詳しく解説していきます。
建設現場における「労働災害」とは
まずは労働災害とはどのようなものか、労働災害の現状や労働災害が起こった際に何をすべきか、労働保険はどのような補償が給付されるのかなど、基本的なことについて説明します。
労働災害とは
労働災害とは業務中の事故で負傷したり、業務が原因で病気を発症したり、身体に障害を持ったり、死亡したりすることをいい、通勤途中の事故などにも適用される場合があります。
労働災害は下記の2つのケースに大きく分けられます。
・業務災害:業務中の負傷・病気・障害・死亡
・通勤災害:通勤途中の負傷・病気・障害・死亡
2つのケース以外にも労災保険の当事者である国や事業主、労災保険受給権者である被害者以外の第三者の不法行為で負傷などをした場合は「第三者行為災害」として労働災害が適用される場合もあります。
また労働災害かどうかは
・業務遂行性:事業主の管理下で業務などをしていること
・業務起因性:負傷、病気、障害、死亡の原因が業務と何らかの関係があること
の2つの判断基準をもとに判断されます。
労働災害の発生状況
近年は労働災害に対する意識も高まり、それに伴い労働環境も大きく改善されているといいます。しかし実態はまだまだ多くの労働災害が起こっているといわざるを得ません。
厚生労働省が発表した「平成29年 労働災害発生状況」によると平成29年の労働災害が原因による死亡災害数は978人で前年より50人も増加しています。
そのうち建設業は323件で前年の294件より29件も増加しており、死亡災害数の増加数50件の半分以上を建設業が占めていることになります。
死亡または4日以上の休業が必要になった死傷災害においても平成29年は120,460人と前年より2,550人も増加しています。
そのうち建設業は15,129人で前年の15,058に比べわずかに減少しています。
出典:厚生労働省 労働災害発生状況
労働災害が起きたらすべきこと
労働災害が起きたらすべきことを、順を追って説明します。
1:被害者の救援
事故が起こった場合、現場監督や周りにいる人は2次被害が起こらないよう注意しながら被害者を救援し、速やかに被害者を病院へ搬送するとともに被害者の家族へ連絡します。被害が大きい場合は、警察と労働基準監督署にも連絡します。
2:事故の状況把握
労災申請書を作成する際に必ず必要になるため、いつ、誰が、どのような状況で事故に遭ったのかを現場監督や周りにいた人は必ずメモを取り、そして事故は何が原因で起こったのかも把握するようにしましょう。
事故の状況と原因把握は労災申請書類作成のほかに労働災害の認定、保険給付や労災賠償に関する訴訟、警察と労働基準監督署の調査にも重要な資料になります。
なお大きな事故で警察の捜査が必要な時は現場をそのままの状態にすることも重要です。
3:労働基準監督署への届け出
労働災害基準書への報告や労災保険の給付を受けるための届け出を行います。申請書類は被害者やその遺族が作成するものがありますが、会社が被害者や遺族に代わって行うことが一般的です。
4:調査への協力
労災申請書を受け取ると必要に応じて労働基準監督署が被害者、関係者、被害者を診察した医師などに調査を行います。
大きな事故の場合、労働基準監督署は労働安全衛生法違反、警察は業務上過失致死事件として捜査が入ることもあります。
5:決定に不服な場合は不服申し出も
労働基準監督署から労災かどうかの決定がなされます。
もし労災と見なされない場合は被害者やその遺族は不服申し立てを行うことも可能です。また被害者の損害額が労災保険の給付だけでは不十分な場合は事業主に労災賠償裁判を起こすことも可能です。
請求できる労災保険について
労働災害が発生し、負傷・病気・障害・死亡などの被害を受けた場合は労働基準監督署に下記の労災保険を請求します。請求後は労働基準監督署で調査が行われ、審査が通れば保険が給付されます。
■労災保険の種類
労働災害が発生したときの責任の所在と安全配慮義務違反
工事現場で事故が発生したときは事故の責任の所在は企業にあります。なぜなら企業には労働者が安全な環境で働くよう安全配慮義務が課せられているからです。では労働災害が起こった場合の企業が負うべき責任にはどのようなものがあるのでしょうか。また安全配慮義務に関する現状についても説明していきましょう。
労働災害と企業の責任
労働者が業務中などに労働災害に遭うと事業主や雇用側の企業にはさまざまなペナルティーが課せられることになります。
まず刑事罰に問われるケースがあります。
企業には「職場における労働者の安全と健康を確保し快適な職場環境を形成する」ことが労働安全衛生法により義務付けられています。労働安全衛生法に違反するとたとえ労働災害が起こらなくても企業には刑事罰が科せられ、労働者が死傷した場合は業務上過失致死罪に問われる場合があります。
次に民事上の賠償義務を負うこともあります。
企業は労働契約法5条により「労働者がその生命、身体の安全を確保しつつ労働ができるよう必要な配慮」が義務付けられています。企業が安全配慮義務違反を犯し労働者が負傷した場合は損害賠償義務を負うことになるのです。
また被害を受けた労働者やその家族への補償 の義務も生じます。
労働基準法や労働者災害補償保険法では業務に内在する理由で事故などに遭った場合は労働者の治療と生活保障が企業に義務付けられているのです。
被災労働者が死亡した場合は遺族に対して平均賃金の1,000日分の遺族補償や、葬祭料の給付を行う必要があります。労働災害によって障害が残った場合は、その程度に応じ障害補償をしなくてはなりません。
さらに作業停止や機械の使用停止などの行政処分のほか、企業の信頼低下や社会的な責任を負う結果になるなど、労働災害を引き起こした企業は多くのペナルティーを支払うことになるのです。
こうしたペナルティーは一つの企業だけが負うものではありません。建設工事の場合は発注者、元請け、下請けとさまざまな企業が関わっていますが、それぞれが労働者の安全に配慮することを求められており、もし事故が起こった場合はすべての企業が責任を問われることになります。
出典:
労働安全衛生法
安全配慮義務違反のケース
安全配慮義務は平成20年3月に施行された労働契約法で明文化されたもので比較的新しい法案です。業務中の事故による死傷事故のほか、過重労働やパワハラ、セクハラによる精神疾患なども安全配慮義務違反に該当します。例えば時間外労働が月100時間超や2か月間から6か月間で平均80時間超の場合は過労死または健康リスクが高まり、企業がこれを放置したときは安全配慮義務違反に問われることになります。また管理監督者には労働基準法第41条で労働時間の規定が適用されませんが、もし管理監督者が過労死した場合も企業は安全配慮義務違反に問われることになるので、管理監督者の労働環境にも配慮しなくてはいけません。
労働法の違反率の推移
ここまで述べたとおり現在は建設現場をはじめすべての職場で安全配慮義務が義務付けられていますが、では実際の状況はいかがなのでしょうか。
厚生労働省が平成28年4月から平成29年3月に23,915事業所に調査をしたところ、全体の66%、うち建設業では52%で労働基準関係の法令違反が認められました。この調査結果を見る限り多くの業界でまだまだ安全配慮義務に対する意識は薄いといわざるを得ません。企業が安全配慮義務への意識を高め、できるだけ労働災害が起きない職場環境づくりが求められているのです。
●重点監督実施状況
出典:厚生労働省
安全書類とは
建設工事では安全に工事を終了するためにさまざまな対策がとられていますが、安全書類の作成もその一つです。では建設工事ではどのような安全書類が作成されるのでしょうか。
安全書類について
工事現場における安全書類は正式には労務安全書類といい、グリーンファイルとも呼ばれます。下請け業者が建設現場で作業する際には元受け業者に提出し5年間の保存が義務付けられています。
●主な安全書類
・施工体制台帳の作成及び通知書
・施工体制台帳
・再下請け通知書(変更届)
・下請け業者編成表
・作業員名簿
・車両届(工事用、通勤用)
・持込機械等(移動式クレーン/車両建設機械等)使用届
・持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届
・危険物(有機溶剤・特定化学物質等)持込使用届
・火気使用願
・労務安全衛生管理 及び再下請け契約等に関する誓約書
・新規入場時等教育実施報告書
・安全ミーティング報告書
・年少者就労報告書
・高齢者就労報告書
・外国人労働者建設現場入場届書 等
グリーンサイトの活用
安全書類の作成は工事終了後、夜遅くまでかかることもあり現場監督の大きな負担となっています。しかし最近ではネットで安全書類作成ができるグリーンサイトの利用により、作成の手間が大きく削減できるようになりました。
グリーンサイトのメリットとしては
・書類作成の負担軽減
・書類の記入漏れ、提出書類の不備などチェック
・作業員の資格・健康診断など作業員情報の管理
・車両の車検や保険等の管理
・協力会社の社会保険加入状況のチェック
等があげられ、安全書類の作成から管理が効率的にできるようになっています。
なお2015年時点でのグリーンサイトの利用企業数は
・元受け70社
・協力会社約29000社
グリーンサイトの活用で建設現場の安全管理体制はますます強化されているといってよいしょう。
安全書類を総まとめ!
では安全書類にはどのような内容が記入する必要があるのでしょうか。
参考として再下請負通知書、作業員名簿、持込機械等使用届の記入内容を紹介します。
再下請負通知書の主な記入内容
再下請負通知書とは一次下請け、二次下請けなどすべての下請けの契約について元受けに報告する書類です。再下請負通知書によって元受けは工事に関わるすべての下請け業者を把握し安全に工事ができる体制にあるかどうかを確認します。
再下請け通知書ではすべての下請けが下記の項目に記入します。
・社名・住所など
・工事名称及び工事内容及び工期
・施工に必要な許可業種や許可番号など
・健康保険、社会保険の加入状況
・監督員、現場代理人、主任技術者、安全衛生責任者等の氏名
・外国人就労者、外国人技術実習者の有り無し 等
作業員名簿の主な記入内容
作業員名簿は誰がいつ現場に入っているかを把握するための書類です。法的に作成が義務付けられた書類ではありませんが、労働災害が起こったときのためにも必要不可欠な書類です。
作業員名簿では作業員の下記の情報が記載されます。
・氏名
・所属会社
・年齢
・現住所
・緊急連絡先
・職種
・雇用開始年月日
・教育・資格・免許有無
・各種免許有無
・最近の健康診断日
・血圧など健康情報
・社会保険等加入状況 等
作業員名簿を提出する際は各作業員の免許などを証明書の提出も必要です。また18歳未満者が従事する場合は年齢を証明するものも必要になります。
なお作業員名簿には作業員の個人情報も記入されるので厳重な管理が求められます。
持込機械等(移動式クレーン/車両建設機械等)使用届」の主な記入内容
工事現場は移動式クレーンなど大型重機などが使用されるので、安全を確保するためにも点検・注意・管理のためにも必要となる書類です。
主な記入内容は下記になります。
・会社名
・機械名、メーカー名、サイズなど
・持込年月日、搬出年月日
・運転者名と運転者が有する資格
・任意保険加入状況
・自主検査、性能検査、車検の有効期限
・安全処置の有無 等
会社名は一次会社名、持込会社名、使用会社名までを記入します。また各検査証や車検証、任意保険はコピーも添付して元受けに提出します。
「持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届」の主な記入内容
工事現場では電気工具・電気溶接機など多数の機械類が使用されますが、機械の管理と安全に使用するために機械を持ち込む際はすべて持込機械等(電気工具・電気溶接機等)使用届の記入し元受けに提出する義務があります。
主な記入内容は下記になります。
・会社名
・機械名
・管理番号(自社で設定)
・点検者と取扱者(取扱者が複数いる場合は全員)
・機械の特性 等
なお会社名は一次下請け会社名と持込会社名を記入、機械名は商品名ではなく電動カンナや電動ドリルなどの分類を記入します。またレンタルの機械も自社が持ち込んだ機械として記入します。
倒壊・崩壊災害の事例と防止方法
工事現場での倒壊・崩壊被害は死傷事故になることも多く、倒壊・崩壊事故を起こさないための対策は必要不可欠です。そこで倒壊・崩壊災害の災害事例を通して防止方法を紹介します。
災害事例1:側壁の倒壊
災害事例:
雨水用排水路の改修工事中、排水路のコンクリート床の撤去作業中に排水路の端に沿って建つL字型の側壁が倒壊し作業中の作業員が挟まれて死亡した。
原因と対策:
このケースでは側壁の倒壊防止処置を行っていないことが事故の原因と考えられます。倒壊が予想される壁などがあるところで工事をする際は必ず倒壊防止策を行ってから工事を行う必要があります。工事を行う前には周りに倒壊しそうなものは無いか、ある場合は経年劣化状況、亀裂の有無などの調査を行いましょう。そのうえで再度施工方法の策定、作業手順書の作成、リスクアセスメントを実施した上で工事を行いましょう。
災害事例2:足場の倒壊
災害事例:
建物の外壁リフォーム工事中に足場から降りようとしたら足場が倒れ作業員が負傷した。
原因と対策:
工事現場の足場の倒壊事故の原因は壁つなぎなどの強度不足や足場の構造材の不足、地盤の不等沈下、そして強風などが考えられます。このケースでは死亡者は出ていませんが、足場の倒壊事故は死亡事故にもつながりかねないため、足場で工事をする前は必ず壁つなぎなどの強度を確認し地盤の不等沈下は無いかなど安全確認を行いましょう。また風の強い日はメッシュシートを畳むなど強風による荷重を少なくする工夫をしましょう。
ヒヤリ・ハット事例
事例1:地下鉄敷設
地下鉄敷設工事現場において、土止壁の土石を手作業で除去していたところ、既設の下水道構造物の下部に付着していた土塊が落下してヘルメットに当たった。
事例2:整理、整頓
貯木場において木材の整理作業中、立て掛けてあった木材が突然倒れてきて身体に当たりそうになった。
事例3:庭作業
庭木を植えるため、庭石の際をスコップで掘っていたところ、土を取りすぎたため庭石が倒れた。
ヒヤリ・ハット事故とはその名の通り、ミスなどでヒヤリ・ハッとする出来事のことです。現場で起きたヒヤリ・ハット事例を共有することで、現場の安全に対する意識が高まる効果が期待できます。ヒヤリ・ハットに関して現場とコミュニケーションを図り、同じような事例が発生しないように対策を取るようにしましょう。
墜落・転落災害の防止方法
工事現場での死亡事故の原因として最も多いのが墜落・転落事故です。たとえ死亡事故にならなくても墜落・転落事故の被害者は大きなけがを負うことにもなり、工事現場での墜落・転落事故防止のための対策が求められます。
事例1:足場からの転落事故
災害事例:
13メートルの仮設足場のうえで大型ソーラーパネル建設中に作業員が足を滑らせて墜落し、死亡した。
原因と対策:
この事故は本来足を載せるべきではない鉄骨と根がらみに足を載せ作業をしたことで起きました。作業床を設置していれば起きない事故でした。足場からの転落事故を避けるには必ず安全な作業床を設置し、作業床が設置できなければ安全ネットを設置するようにしましょう。また作業員は安全帯を使用し足が滑った場合のための安全策もとるようにしましょう。
災害事例2:はしごからの転落事故
災害事例:
車庫の解体作業中、作業員が長さ5.7mの2連はしごを伝って降りてくる途中にはしごからコンクリート上の地面に転落し死亡した。
原因と対策
この事故は2連のはしごが75度以上とかなりの急角度で立てられたにもかかわらず、転移防止処置がとられず、また死亡した作業員も体調不良でした。こうしたことが事故の原因と考えられます。
はしごを使って作業する際は丈夫な材質で目立った損傷がなく、幅が30センチ以上、滑り止め装置が付いたはしごを使うようにしましょう。転移防止処置を施し急角度で設置しすぎないことも重要です。5メートル以上の高さのはしごを使用する際は、作業主任者の有資格者の監督のもと行う必要あります。高齢者や体調不良の作業員ははしごでの作業をする際は特に注意が必要です。
災害事例3:ドラグ・ショベルの転落事故
災害事例:
ドラグ・ショベルを使用して土砂の堀削・積み込み作業中、ドラグ・ショベルのクローラーが横滑りして法肩(のりかた)から4メートル下の堀削部分に落下。運転していた作業員が死亡しました。
原因と対策
この事故は法肩近くの不安定な場所にドラグ・ショベルを配置したことが最も大きな事故の原因といえます。こうした事故を防ぐためにも地形、地質を調査し危険な場所の近くにはドラグ・ショベルなど車両系建設機械を近づけないことです。地形や地質にあった作業方法も求められます。また危険な場所は日々の天候などにより変化するので、作業開始前に周囲の状況を調査し、それに合わせて安全対策をとるようにしましょう。
転倒・木材加工用機械災害の防止方法
転倒災害は建設業界をはじめ多くの業界で問題になる重大な事故です。また工事現場での木材加工用機械災害も死傷事故などの重大な事故の原因になります。
転倒と木材加工用機械災害を工事現場で起こさないための対策について解説します。
転倒災害対策のポイント
厚生労働省の調査では転倒災害は労働災害(休業4日以上の死傷事故)の23%を占めるなどすべての職場で大きな問題となっています。特に高齢の労働者は転倒災害の危険性が高く、高齢化が進む工事現場においても転倒災害の防止策が求められます。(*)
工事現場での転倒防止対策のポイントは、作業現場を明るく清潔に保ち、床の凸凹や継ぎ目などを無くし歩きやすくするなど、職場環境の改善があげられます。同時に現場に適した防滑靴を着用し作業前には靴底の状態を確認するなど作業員一人一人の安全対策も重要です。
出典:厚生労働省STOP 転倒災害プロジェクト
災害事例:携帯用丸のこ盤
災害事例:
河川の護岸工事で角材を手に持って携帯用丸のこ盤で切っていた作業員が、誤って自分の身体を携帯用丸のこ盤で切ってしまい死亡した。
原因と対策:
この事故は角材を片手にもって携帯用丸のこ盤を使用していなければ絶対に起きない事故でした。また携帯用丸のこ盤の安全カバーが正常に作動していないことも事故の原因にあげられます。携帯用丸のこ盤を使用するときは角材などを固定するなど安定した状態で作業を行いましょう。また日ごろから機械の手入れを行い、不具合があればすぐに修理しておくことも重要です。管理者はこうした安全教育を作業員に徹底して行う必要があります。
ヒヤリハット事例:電動サンダー
事例:
電動サンダーを片手に持って、階段手すりのさびを落としていたらサンディングディスクが手首に触れそうになった。
原因と対策:
もしサンディングディスクが手首に触れていたら大きな事故になっているところでした。電動サンダーの基本的な使い方はゴム手袋をはめて両手で使用することです。この事例は素手でかつ片手で電動サンダーを使用しており、最も危険な使用方法といえます。このケースでも日ごろからの安全教育を十分にと行うことが重要になります。
その他の労働災害と防止方法
労働災害にはこれまで紹介した以外にも交通災害や電気による災害などさまざまな種類があります。交通災害などは死傷者の多い深刻な災害です。他の災害とともに防止方法を確認しましょう。
交通災害・電気による災害の防止方法
平成29年に起きた交通災害による死亡者数は全労働災害の死亡者数の20.1%を占め202人にもなります。そのうち50人が建設業従事者で交通災害は建設業従事者にとって深刻な問題となっています。(*)
建設業の従事者の交通災害を無くすためには、安全運転教育を行うとともに長時間労働を無くし居眠り運転など疲労による事故防止に努める必要があります。作業後は送迎バスを出すなどできるだけ疲れた状態で運転しない環境づくりも大切です。
また工事現場での交通災害防止には交通警備員を配置し運行経路をあらかじめ決めておくなどの対策が効果的です。
電気による災害は、件数は少ないものの感電などの事故は重大な労働災害になるため十分に対策をとる必要があります。工事の施工計画を立てる際は近くの架空電線、地中電線の状況、電気設備の種類や使用状況などを確認し、作業員やクレーンなどの建設機械が絶対に電線に触れないよう注意を払うことが肝要です。作業員が電線に触れる危険がある時は必ず防護服を着用し電気工事をする際は必ず有資格者を配置する必要があります。
低層住宅建築工事における災害の防止方法
低層住宅建設工事現場は大規模工事現場と違い地元の工務店など小規模事業者が施工することが多いのが特徴です。このため一人親方などが従事する例が多く安全管理マニュアルなどの不徹底が事故の原因になることが多いといえます。適正な足場や安全ネットの設置、安全帯の着用など基本的な安全対策をとることが重要で、マニュアルやガイドラインで作業員に安全教育を行うようにしましょう。
土石流等による労働災害の防止方法
橋の建設工事など河川での工事では土石流などによる労働災害の危険があり土石流に対する対策も必要です。では土石流に対する安全対策とはどのようにすればよいのでしょうか。
まず管理者は周辺の地形や土石流が起こった過去がないかどうかを調べましょう。どの程度の雨量で土石流が発生する危険性が高まるのか、融雪で土石流が起こる可能性があるかどうかも調査しましょう。そして雨量が警戒基準を超えた場合は警報器などで作業員に危険を知らせましょう。
土石流は人命にかかわる労働災害になりかねません。管理者は危険性を感じたら直ちに全作業員に避難を促すことが重要です。
作業員全員の意識を高めて安全な労働環境を作りましょう
今回は労働災害に関して会社側の義務など法律の視点や、実際の災害事例などをご紹介しました。
労働災害を防止するためには、工事現場で働くすべての関係者の安全に対する意識を高めることが最も重要になります。特に現場監督は作業員が労働災害に遭わないために安全に働けるための環境づくりと安全教育を心がけましょう。
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