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徹底した安全衛生管理で作業環境の向上と労働災害の未然防止を!

更新日:2020年9月29日

日頃から「ご安全に!」と声をかけ合うことが日課となっている皆さんですが、なぜ安全衛生管理が必要なのか、何のためにこのような活動を行っているのか、考えたことはありますか?

労働災害は従業員や作業員の身を危険に晒すだけでなく、会社にも多大な損害を与えます。

安全衛生管理の徹底はそういった労働災害リスクを抑制することはもちろんのこと、生産性や品質の向上にも繋がるなど、実は大変メリットの多い活動でもあるのです。

具体的にどのような活動を行っているのか、詳しく見ていきましょう。

 

安全衛生管理が求められる理由

企業には、労働者の職種や作業内容等に応じて安全に対する必要な配慮をすることが求められています。

中でも建設業は、他業種に比べて安全衛生に関する規定が厳しくなっているのです。

まず、その理由について説明します。

 

建設業における労働災害の発生状況

2018年に発生した労働災害は死亡災害が909人、死傷災害が12万7千人で、その内建設業における死亡災害は309人、死傷災害は1万5千人でした。

死亡災害については前年より7%減少しているものの、全産業における死亡災害の3分の1が建設業で起きているという現実は、とても見過ごせるものではありません。

昭和30~40年台には年間2,000件超、平成の始めには年間1,000件を超えていた建設業の労働災害による死亡災害件数は、長年にわたる安全衛生活動が功を奏し、緩やかながらも着実に下降を続けてきました。

しかし、ここ数年は300件前後で停滞している印象を受けます。

2018年度の建設業における事故発生状況を見ると、死亡災害で最も多いのは「墜落・転落」で44%。次いで道路上での「交通事故」と、機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」が10%。「激突され」「崩壊・倒壊」「飛来・落下」が6%となっています。

死傷災害では最も多いのが死亡災害と同様「墜落・転落」で34%、次いで「はさまれ・巻き込まれ」「転倒」の11%です。

(出典:厚生労働省|平成30年建設業における労働災害発生状況

 

 

労働災害の発生によって生じる損害

実際に労働災害が発生してしまった場合、企業が負うリスクとはどのようなものなのでしょうか。

建設業者の責任において労働災害や人身及び物損事故が発生した場合、建設業者は企業として4つの責任を負うことになります。

まず「刑事責任」。労働安全衛生法違反などにより死傷災害が発生した場合、業務上過失致死傷の罪に問われることがあります。

2つ目は「行政責任」。建設業者に対し、使用停止命令や指名停止・入札参加停止の他、許可取消や営業停止などの処分が行われます。

3つ目「民事責任」。民法の安全配慮義務や注意義務に反したとして、慰謝料等の支払いが発生する場合があります。

最後に「社会的責任」。各種メディアで報道されることにより、社会的信用が失墜します。

その他にも、労災保険の保険料増額、被災者への療養費の支払いや遺族への補償、訴訟にかかる費用、建設現場における物的な損失や工事の中断・遅延などによる損失・費用の増加といった金銭的な負担も大きくのしかかります。

労働力を失うことや、企業イメージの低下による営業上のダメージなど、間接的に受ける損失も決して少なくありません。

そして、残念なことに、このような不利益や責任から逃れるための労災隠しが後を絶たないのも現実なのです。

 

労働災害が発生する理由

このように、常に危険と隣り合わせで作業を行っている建設現場ですが、建設業において労働災害が多発するのは、その作業内容や作業場所だけが原因ではありません。

建設業には一品受注生産という特性があり、工事が完了すれば現場も変わります。

安全設備を配するなどして作業環境を整えても、それを永続的に使用できるわけではなく、現場が変わればまた新たな場所で新たな対策を講じなければなりません。

一つの現場においても、完成までの間、現場の状況や作業内容は日々変化していきますから、それに伴い安全対策も変えていく必要があります。

建設業のもう一つの特性である重層下請構造も、安全性の低下に拍車をかけています。

下位下請けの意見が元請に届きにくく、元請からの指示が下位下請けに伝わりにくい上、工事の進捗に合わせて専門業者が次々と入れ替わることで、安全衛生について意思疎通を徹底することが難しい状況にあるのです。

このような状況下において労働災害の発生を抑えるには、企業全体で安全衛生管理に取り組み、従業員・作業員の一人一人が基本的な安全ルールを守っていくことが重要だと言えます。

 

労働安全衛生法について

安全に関する基本的なルールとして、まず挙げられるのが「労働安全衛生法」です。

昭和22年の日本国憲法の第27条第2項(賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める)を受けて労働基準法が制定され、その中の労働者の安全と衛生についての規定を分離独立させる形で、昭和47年に制定されました。

 

(目的)

第一条 この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

(引用:労働安全衛生法第1条)

 

上記のとおり、労働災害を防止するために責任体制を明確化し、労働者の安全と健康及び快適な職場環境の確保を目的とした法律で、主に安全衛生に関わる組織体制や事業者が講ずべき措置、安全衛生教育等について規定されています。

改めて労働災害の発生の推移を見てみると、昭和47年から昭和50年にかけて死傷災害件数に大幅な減少が見られます。それは、建設業においても例外ではありません。

これはやはり、労働安全衛生法が制定されたことによる効果があったと考えるべきでしょう。

安全衛生管理体制について

建設現場において労働災害が多発する原因の一つとして、重層下請構造の問題があると先に説明しました。

そうした問題を解決するため、元請の建設業者には現場全体を統括して安全衛生管理を行うという使命が与えられます。その職務について見ていきましょう。

 

総括安全衛生責任者

まず、事業場の規模に応じて「総括安全衛生責任者」を選任することが労働安全衛生法第10条第1項で義務付けられており、建設業では常時使用する労働者数が100人以上となる場合に選任が求められます。

総括安全衛生責任者には、実際にその現場を統括している者を充てなければならないため、現場所長や現場代理人が兼務するのが一般的です。

 

職務内容としては、以下のとおりです。

 

1.労働者の危険又は健康障害を防止するための措置

2.労働者の安全又は衛生のための教育の実施

3.健康診断の実施その他健康管理

4.労働災害の原因の調査及び再発防止対策

5.安全衛生に関する方針の表明に関すること

6.建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置

7.安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること

 

これらの業務を適切かつ円滑に実施するための措置及び実施状況の確認や、とりまとめを行います。

 

統括安全衛生責任者

複数の事業者が混在する現場において、関係請負人(下請)を含め常時50人以上となる場合、特定元方事業者では「統括安全衛生責任者」を選任することが労働安全衛生法の15条において定められています。

ただし、ずい道等の建設の仕事、圧気工法による作業を行う仕事、橋梁の建設の仕事の現場に関しては常時30人以上が選任の要件となりますので注意が必要です。

特定元方事業者とは元方事業者(元請)のうち建設業・造船業を営む事業者のことで、つまり統括安全衛生責任者の選任を義務づけられているのは、この2業種だけということになります。

 

統括安全衛生管理者は統括安全衛生管理に関する教育を受けた者の中から選任することとされており、以下の職務を担当します。

 

1.協議組織の設置及び運営

2.作業間の連絡及び調整

3.作業場所の巡視

4.関係請負人が行う労働者の安全衛生教育に対する指導及び援助

5.工程計画及び作業場所の機械や設備の配置計画の作成等

6.その他、労働災害防止において必要な事項

 

元方安全衛生管理者

統括安全衛生管理者を選任した現場において、その補佐としての職務を行うため労働安全衛生法第15条の2に基づいて選任されるのが「元方安全衛生管理者」です。

統括安全衛生管理者の職務のうち技術的事項の管理を行うため、選任に際しては一定の学歴と建設工事の施工における安全衛生の実務経験が求められます。

必要な学歴、経験は以下のとおりです。

 

・大学又は高専の理科系統の課程を卒業し、3年以上の実務経験

・上記理科系統以外の課程を卒業し、5年以上の実務経験

・高校の理科系統の課程を卒業し、5年以上の実務経験

・上記理科系統以外の課程を卒業し、8年以上の実務経験

・その他、厚生労働大臣が定める者

 

店社安全衛生管理者

「店社安全衛生管理者」は労働安全衛生法の15条の3において、複数の事業者が混在する常時20人以上の統括安全衛生責任者を置かない現場において選任することが定められています。

選任の要件として、以下のような一定の学歴と建設工事の施工における安全衛生の実務経験を有している必要があります。

 

・大学又は高専卒業後、3年以上の実務経験

・高校卒業後、5年以上の実務経験

・その他、厚生労働大臣が定める者

 

職務内容としては、統括安全衛生管理を担当する現場代理人や現場所長に対する指導を行う他、以下のものが挙げられます。

 

1.毎月1回の作業場所の巡視

2.作業の種類や実施状況の把握

3.協議組織の会議に随時参加する

4.工程計画、作業場所の機械・設備等の配置計画等

 

50人以上の事業場における管理体制

労働者数が常時50人以上の事業場においては、

「安全管理者」(労働安全衛生法11条)

「衛生管理者」(労働安全衛生法12条)

「産業医」(労働安全衛生法13条)

を選任すると共に、

「安全衛生委員会」(労働安全衛生法17条)

を設置します。

総括安全衛生管理者を選任が必要な100人以上の事業場においては、総括安全衛生管理者が安全・衛生管理者を指揮すると共に事業場全体を統括し、安全衛生管理を行います。

安全管理者は安全に関わる技術的な事項、衛生管理者は衛生に関わる技術的な事項の管理を、産業医は健康診断の実施や健康保持・維持管理のための措置等に関する職務を行います。

また、選任するにあたってはそれぞれ一定の要件が必要です。

 

「安全管理者」

・大学又は高専の理科系統の課程を卒業し、2年以上の実務経験

・高校の理科系統の課程を卒業し、4年以上の実務経験

もしくは、労働安全コンサルタントか厚生労働大臣が定める者となります。

 

「衛生管理者」

・第一種衛生管理者、衛生工学衛生管理者、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等

 

「産業医」

・大学で産業医の養成課程を卒業し、その大学が行う実習を履修した者

・大学での労働衛生に関する科目の教授、助教授、常勤講師の経験

もしくは、保健衛生区分の労働衛生コンサルタントか、所定の研修を修了している、その他厚生労働大臣が定める者となります。

 

小規模事業所における管理体制

常時10人以上50人未満の事業場においては「安全衛生推進者」を選任することが、労働安全衛生法12条の2において定められています。

選任の要件として、

・大学、高専卒業後1年以上の安全衛生の実務経験

・高校卒業後、3年以上の安全衛生の実務経験

・5年以上の安全衛生の実務経験

もしくは、労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタント等の資格を保有しているか、所定の指定講習を修了している必要があります。

 

職務としては、事業主等の指揮を受け、危険や健康障害防止のための措置や安全衛生に関する教育の実施、健康診断の実施、労災の原因調査や再発防止対策等を行います。

 

建設現場における労働災害防止対策

労働災害の発生を防止するには、現場の「不安全状態」や個々の「不安全行動」をなくす必要があります。

そのためには日々の取り組みを定型化し、継続していくことが大変重要となってきます。

安全施工サイクル活動について

 

安全施工サイクルとは、元請と関係請負人(下請)が一体となって現場の日常業務の中に安全活動を取り入れ、継続して実施する活動のことをいいます。

 

■毎日の安全施工サイクル

 

安全朝礼

安全ミーティング(危険予知)

作業開始前点検

作業中の指導・監督

持場後片付け

就業時の安全確認と報告

 

加えて、作業中には作業所長等による安全パトロールや元請と関係請負人(下請)による安全工程打合せが行われます。

 

■毎週の安全施工サイクル

 

週間安全工程打合せ

週間点検

週間一斉片付け

これらを前週の反省点を踏まえて行います。

 

 

■毎月の安全施工サイクル

 

安全衛生教育等

定期自主検査

安全衛生協議会

安全衛生大会

 

このように基本的なサイクルを繰り返していくことで、安全に対する意識向上を図ります。

 

安全巡視のチェックポイント

安全のための現場巡視は、作業所長や安全担当者が毎日の施工サイクルの中で行います。

 

(1)設備等の状態について

「計画どおりに設置されているか」「機能に問題がないか」「不具合がないか」などの確認を行います。

設備周辺の動線や使い勝手の良さもポイントです。

 

(2)作業の手順について

「危険行為がないか」「安全な移動ルートが確保されているか」「作業主任者等が予定どおりに配置されているか」など、作業が手順書や指示に沿って行われていることを確認します。

 

(3)作業員の状態について

作業員の健康状態も、安全巡視での重要なチェックポイントの一つです。

服装や保護具の使用状況はもちろん、顔色や動作も確認し、体調が悪そうであれば声かけを行うなどの気配りも必要です。

 

(4)交通安全について

車両や建設機械の運行に危険がないかどうか、配置や運行ルート、交通誘導員の配置や実際の車両の運行の様子をチェックします。

 

(5)是正・改善が行われているか

前回の安全巡視において指摘した危険・問題箇所の是正や改善が行われているかどうかは、忘れずにチェックします。

毎日のように安全巡視を行っていると、うっかり重要なポイントや危険個所を見逃してしまうこともあります。

マンネリ化防止のため、事前にその日のチェックポイントを決めておく、月に一度は店社による巡視を行うなどの工夫も必要です。

 

現場の安全状態を確保する

現場の「不安全状態」を作らないための基本は、『4S活動』の徹底です。

建設現場の「整理」「整頓」「清掃」「清潔」を保持するための活動を『4S活動』といい、昨今では教育を意味する「躾け」を加え『5S活動』といわれることもあります。

作業現場では必要なものと不要なものの仕分けをきちんと行い、決められたものを決められた場所に、必要な量だけ取り出しやすく保管します。

そうすることで作業効率は向上し、散らかった資材や工具につまずいて転倒するといった危険も回避できます。

清掃が行き届いていないと油などで汚れた床で足を滑らせたり、機械設備に埃や汚れが付着して動作不良が起きたりと、様々が問題も生じます。

 

クレーン等の機械作業において「不安全状態」を回避するためには、作業者同士の意思疎通が重要です。

玉掛けであれば、クレーンのオペレーターと玉掛けを行う作業者との間で巻き上げや停止等の合図を行います。

重機の作業中、作業範囲に立ち入る必要が発生した時は、グーパー運動と呼ばれる合図が有効です。「パー」で停止を合図し、合図を確認したオペレーターが「グー」で応えてから立ち入るようにしましょう。

 

人的な労働災害の防止

ちょっと集中力が途切れた、手抜きをしてしまったというような“ヒューマンエラー”が原因で事故が起きることは、決して珍しくありません。

このような「不安全行動」による災害を防止するため、毎日のサイクルの中で安全ミーティングを行い、危険予測やヒヤリハットの報告を行ないます。

 

「危険予知」の訓練を実施することを『KY活動』といいます。

ミーティングで危険なポイントについて話し合い、できるだけ多くの危険ポイントを抽出したら、次にその危険ポイントの重要性を検討します。いかに事故の起こる可能性が高いか、大きな災害となりうるかが重点です。

最も重要な危険ポイントをピックアップしたら、解決するための対策を話し合い、最後に目標を設定して、業務に取り掛かります。

 

『ヒヤリハット』とは、作業を行う中で実際に「ヒヤリ」「ハッ!」としたこと、つまり危険を感じたことを表しています。

ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)として、重症以上の災害が1件起きた場合、その背後には29件の軽傷を伴う災害があり、更にその周辺において「ヒヤリハット」が300件起きていると言われています。

つまり、危険を感じたということは実際に事故が起こる可能性が高いということであり、『ヒヤリハット』の撲滅が大きな災害の防止に繋がると考えられます。

 

正しい服装と装備について

安全対策の基本として、正しい服装、保護具の正しい着用が挙げられます。

作業服は常に清潔で体に合ったものを、ヘルメットは必ずあごひもを止めて着用します。

安全靴は作業に適したもので、きちんと足のサイズに合ったものを選びましょう。

 

「安全帯」が「墜落制止用器具」という名称に改変され、これまで主流だった胴ベルト型ではなくフルハーネス型が原則とされたのも、まだ記憶に新しいところです。

ただし、作業高さが6.75M以下の場所においてはフルハーネス型の着用者が地面に到達するおそれがあるため、胴ベルト型を使用してもよいとされています。その時の状況に応じて使い分けましょう。

墜落制止用器具は着用者の体重や保護具等の重量を考慮して選定することも忘れてはいけません。

これまで、安全帯の不使用による墜落事故が数多く報告されています。

高所作業においては、墜落制止用器具を必ず使用しましょう。

 

 

元請としての安全衛生への取り組み

建設業における労働災害防止には、現場に関わるすべての人が一体となって取り組まなくてはなりません。

その「すべての人」とは現場の人間だけでなく、元請の店社や注文者も含まれます。

 

労働安全衛生マネジメントシステム

労働安全衛生マネンジメントシステムという言葉は聞いたことがなくても、『PDCAサイクル』は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

労働安全衛生マネンジメントシステムとは、『PDCAサイクル』を継続的に行うことにより建設現場の安全衛生水準の段階的な向上を図ることを目的としているもので、略して「OSHMS」と呼ばれています。

 

そもそも、『PDCAサイクル』とは何なのでしょうか。

計画(P) 調査・計画の策定

実施(D) 計画に基づく措置の実施

評価(C) 実施状況の評価

改善(A) 計画の改善

 

このサイクルの中で体制を整え、現場で働く従業員や作業員の意見を取り入れながら、一連の手順を文書にまとめます。

このサイクルを繰り返し行い、記録していくことで安全衛生をマニュアル化していきます。

平成11年4月に厚生労働省から「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」が公表されており、労働安全衛生マネジメントを導入することにより、

・全社的に安全衛生を推進する体制づくり

・本質的な安全衛生への取り組によるリスク低減

・安全衛生に対する自主的な対応の促進

に期待できるとされています。

 

リスクアセスメント

リスクアセスメントは労働安全衛生マネジメントシステムの一部として実施されます。

1.作業における危険性・有害性の特定

2.特定された危険性・有害性によるリスクの見積り

3.見積もったリスクの低減措置の内容を検討

4.上記リスク低減措置の実施

こういった流れでリスクアセスメントを実施し、結果については従業員・作業員に周知します。

このリスクアセスメントを『PDCAサイクル』に組み込み、繰り返し実施することで危険性・有害性によるリスクの低下を図ります。

 

リスクアセスメントを実施する時期は、労働安全衛生法第34条の2第1項において以下のように定められています。

・対象物を新規に採用したり、変更したりするとき。

・作業の方法や手順を新規に採用したり、変更したりするとき。

・対象物による危険性や有害性についてSDS(安全データシート)などにより新たに情報提供された場合など。

また、指針により努力義務も明示されています。

・労働災害発生時

・機械設備の経年劣化や労働者の入れ替わり等によりリスクの状況に変化が生じた時

・対象物に就いて過去にリスクアセスメントを実施していない場合

作業手順書にもリスクアセスメントを取り込むなどして、災害防止に活用します。

 

<h3>建設現場におけるメンタルヘルス</h3>

特殊性の高い建設現場において、労働者が神経質にならざるを得ない場面は多々あります。

そんな中、平成27年の労働安全衛生法の改正によりストレスチェック制度が導入されました。

対象となる労働者50人以上の事業場においては、以下の義務を課されます。

 

・医師や保健師等によるストレスチェックの実施

・労働者の希望に応じて医師による面接指導の実施

・医師からの意見聴取と講ずべき措置の検討

・必要に応じて労働者の就業上の措置を実施

 

また、建設業労働災害防止協会(建災防)では「建災防方式健康KYと無記名ストレスチェック」の普及に取り組んでいます。

安全施工サイクルを活用し、朝礼にて無記名ストレスチェックの実施、安全ミーティングと作業点検においてメンタルヘルスに関わる危険予測と実施を行います。

法律に基づく取り組みと「建災防方式健康KYと無記名ストレスチェック」等を活用した任意の取り組みを併用していくことで建設業従事者のメンタルヘルスは守られ、結果的に集中力・注意力の低下によるヒューマンエラーが回避されると考えられています。

 

<h3>店社が実施すべき安全衛生管理</h3>

安全衛生管理は建設現場だけで行うものではなく、関係者全員が一丸となって取り組まなくてはなりません。

当然ながら、元請の本支店や営業所等の店社においても建設現場の安全衛生に関与することが求められます。

 

・安全衛生管理体制の確立

・安全衛生目標の設定や安全衛生計画の策定

・リスクアセスメントの実施支援

・安全衛生教育の企画と実施

・安全衛生パトロールの実施

・機械や作業における安全マニュアル等の作成等

・災害調査の実施や再発防止対策の樹立

・労働安全衛生マネジメントシステムの構築

 

このような安全衛生管理に対する基本的な体制やシステムの構築や現場における安全衛生活動の支援することが、店社の役割となります。

 

災害発生時の対応と報告について

労働災害はいつ、どこで発生するかわからず、誰もが第一発見者となる可能性があります。

万が一の時、自分は何をすべきなのかを考えてみましょう。

何より大切なのは、落ち着いて対応を行うことです。

災害の起きた現場は現状保存し、二次災害防止のため作業中止の指示や被災場所への立ち入り禁止などの措置を取ります。

被災者の救出を行う場合、下手に動かすと症状を悪化させるおそれがありますから、慎重な判断が必要です。

まずは負傷状況や意識の有無を確認し、すぐに現場所長や職長へ連絡しましょう。

負傷の程度によって、一般車両で病院へ移送するか、救急車を呼ぶかの判断を行い、火災等の危険性がある場合は消防署へ通報を行います。

この後の事務対応は、主に現場所長と安全担当者により進められます。

被災者の家族や発注者、警察等へ連絡を行うと共に、労働基準監督署へ届出を行います。

労災の認定には事情聴取や意見聴取、現場への立ち入り調査等が必要に応じて行われますが、それらの対応と並行して被災者本人や家族のフォロー、再発防止対策も行います。

 

安全衛生教育について

 

安全衛生を重視する建設業においては、すべての労働者を対象に様々な角度からの安全衛生教育が行われています。

実際にどのような教育が行われ、政府によってどのような取り組みがされているのか、見ていきましょう。

 

安全衛生教育の推進について

労働安全衛生法第19条の2において、安全教育の推進に関する事項が明示されています。

(安全管理者等に対する教育等)

第十九条の二 事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者その他労働災害の防止のための業務に従事する者に対し、これらの者が従事する業務に関する能力の向上を図るための教育、講習等を行い、又はこれらを受ける機会を与えるように努めなければならない。

2 厚生労働大臣は、前項の教育、講習等の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

3 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。

(引用:労働安全衛生法第19条の2)

 

建設現場における安全衛生管理は、ただ環境改善を図るだけでは不十分です。

安全衛生に対する意識は慣れやマンネリ化に伴って低下していくことが多く、そのリスクを回避するためには、一人一人が安全衛生に対する意識を向上し、必要な知識を身に付け、実際の作業や業務の中で活用していく必要があります。

そのために行われるのが安全衛生教育です。年間計画に基づいて実施され、教育の記録はきちんと整備・保存しなければなりません。

安全衛生教育は法的に実施を義務付けられているものの他、建設業者や個々の事業場において独自で実施されるものがあり、組織の規模等により自社での教育が困難な場合には、関係団体等が開催する講習会等を活用するなどして従業員や作業員への教育を行います。

 

法で定められた安全教育

労働安全衛生法にて実施が義務付けられている安全教育には、努力義務を含め以下のものがあります。

■能力向上教育(第19条の2)

安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者、その他の安全衛生担当者に対し、能力の向上を図るための教育や講習等を行うよう努めます。

 

■雇い入れ教育(第59条1項)

事業者は、労働者を雇い入れた時には、その従事する業務に関する安全衛生教育を行なわなければなりません。

 

■作業変更時教育(第59条2項)

労働者の作業内容を変更した場合、新しく従事する業務に関する安全衛生教育を行います。

 

■特別教育(第59条3項)

危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者を就業させる場合、当該業務に関する安全衛生のための特別教育を行います。

 

■職長教育(第60条)

新たに職務につくこととなった職長や安全衛生責任者に対して、安全衛生教育(職長教育)を行う必要があります。

 

■危険有害業務従事者(第60条の2)

新たに就業する時だけでなく、既に危険又は有害な業務に就いている者に対しても、その業務に関する安全衛生教育を行うよう努力します。

 

■新規入場者教育(通達)

労働者が業務に就くため、当該現場に初めて入場する際に行います。通常は労働者の雇用主が実施しますが、元方事業者が実施する場合もあります。

 

事業場で行われる安全教育

法令で義務付けられた安全衛生教育だけでなく、現場や店社においても日々教育は行われています。

OJTはオン・ザ・ジョブ・トレーニングの略称で、実務を通して上長が部下に対し業務の指導を行う教育のことをいいます。

建設業におけるOJTには、当然ながら安全衛生に関する指導も含まれます。

その他、朝礼や刊行物を利用した教育、安全大会の実施、安全掲示板の活用や各種安全衛生講習会への参加も教育の一環として行われています。

 

関係請負人(下請)に対しては、事業主や職長・安全衛生責任者への教育の他、送り出し教育についての指導、作業手順や機械設備の操作等の実務における教育も行います。

送り出し教育とは、関係請負人の作業員が新規で元請の現場へ入る従業員に対して実施する教育のことです。

つまり作業員は、新規の現場へ入場する前に元請の資料を元に送り出し教育を受け、現場に入ったら再度、元請の安全担当者の指導の下、新規入場者教育を受けることになります。

 

また、安全掲示板には意識付けのための安全目標や事故速報、注意喚起等が掲示され、無災害の日数が一目でわかるよう無災害記録が日々更新されています。

 

職長・安全衛生責任者の再教育

安全衛生法の第60条において、新たに職務につくこととなった職長や安全衛生責任者に対しては職長教育を行う必要があると先に説明しました。

この職長教育については、安全衛生教育等推進要綱において概ね5年ごと又は機械設備等に大きな変更があったときに、能力向上教育に準じた教育を行うよう求められています。

この再教育は事業者が自ら実施する他、外部の安全衛生団体が実施している講習を受講することも可能です。

具体的には、

・建設業における労働災害発生状況

・作業方法の決定や労働者の配置

・設備や作業場所の保守管理

・安全施工サイクルによる安全衛生活動

・職長等及び安全衛生責任者の役割

・労働者に対する指導や監督の方法

・リスクアセスメントについて

 

その他、労働災害を防止するために必要な事項や異常や災害発生時の措置・対応等に関する内容となっており、最後にグループ演習が行われる場合もあります。

 

一人親方等の安全衛生教育

2018年、建設業における一人親方等の死亡災害は96件発生しています。

2018年の建設業全体における死亡災害が909件でしたから、約10%が一人親方等の災害ということになります。

(出典:厚生労働省|平成30年建設業における一人親方等の死亡災害発生状況

 

雇用されている労働者ではなく、自営業者である一人親方は事業者という扱いになり、労働災害が発生しても労災保険の適用を受けることができません。

そのため、2012年までは一人親方等の業務上の死亡事故は労働災害による死亡事故としてカウントされていませんでした。

2013年に厚生労働省が初めて調査を実施したところ、一人親方等の労働災害による死亡事故の現状が明らかとなり、その結果を受けて一人親方等の安全対策に乗り出しました。

労働安全衛生法では保護対象とされていない一人親方等の自営業者が安全衛生に関する基本的な知識を身につけるため、厚生労働省では一人親方等の業務・作業の特性や実態を踏まえたテキストを作成し、無料の研修会を実施するなどの支援活動を行っています。

 

 

安全衛生に対する意識を高めることが重要

建設業界では、安全衛生管理が毎日の業務の一部となっています。

ルーティン化するにはそれなりの理由があるもので、建設業における労働災害の発生状況を見てみると、それが必要に迫られた結果であることがよくわかります。

 

コストの問題もあり、現状では100%の対応は難しいのが現実ですが、まずは個々で出来ることをきちんと行うこと、安全に対する意識を高めていくことから始めましょう。

 

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