建設業における作業別ヒヤリハット事例20選|ヒヤリハット報告書とは

安全管理 2021.04.9 2021.04.9
建設業における作業別ヒヤリハット事例20選|ヒヤリハット報告書とは

建設業におけるヒヤリハットとは

建設業におけるヒヤリハットとは、事故には至らなかったものの、ヒヤリとした、あるいはハットした事例の事をいいます。労働災害を無くす為には、この様なヒヤリハットが起きた時点で、芽を摘む事が大切です。

1:29:300の法則

1:29:300の法則は、労働災害において経験則のひとつです。1件の重大な事故の背景には、29の軽微な事故があり、その背景には異常が300存在するというものです。

この法則を導き出した、ハーバード・ウィリアム・ハインリッヒに由来して、ハインリッヒの法則とも呼ばれています。

【作業別】建設業におけるヒヤリハット事例20選

ここからは作業別の建設業におけるヒヤリハット事例20選を紹介します。

事前にヒヤリハット事例を知っておくことで未然に防げる事故も増えると思いますので、是非ご覧ください。

鉄筋工事

鉄筋工事で実際に起きたヒヤリハットの事例を紹介します。

実際に起きた事例としては、2人1組になってスラブ材を小運搬している際に、耐震壁の差し筋をまたいだことでズボンの中に差し金が入り、転びそうになって踏みとどまろうとした際に、後ろにいたペアの職人がバランスを崩し転倒しかけた事例があります。

1:クレーンの操作時のリスク

クレーンの操作時のリスクを紹介します。

重量物玉掛けの作業行うと、荷台上で吊り荷が振れることで積荷の間に挟まれて転倒してしまい作業者がクレーンの下敷きになる危険性があります。

また 、軟弱な地盤上で、クレーンを設置してしまうと、クレーンが転倒してしまう可能性があり、こちらも作業者がクレーンの下敷きになるリスクがあります。

2:スラブ上を歩行する際の足元

建設現場でスラブ上歩行時は、足元に注意しましょう。

作業通路上には、たとえ小さな物でも置かない様に、整理整頓を行ないましょう。物を置いてしまうとつまずいて転倒してしまう可能性があります。また、安全帯やセーフティ・ネットを点検する等して対策を取りましょう。

3:強風を原因とする倒壊・落下

強風を原因とする倒壊または落下が起こる可能性があります。

強風による倒壊・落下を防ぐ為に転倒防止用の筋交いを入れたり、飛散防止ネットを張る等しましょう。また、塗料やゴミ、高圧洗浄の水が飛んだり、資材が落下しない様にしっかり対策をしましょう。

ヒヤリハットの時点で、事故は防止するようにしましょう。

型枠工事

型枠工事で実際に起きたヒヤリハットの事例を紹介します。

足場から梁建込みの場所まで遠かった為、無理やり体を乗り出して、ハンマーで釘を打とうとしたところハンマーが当たらず、バランスを崩して転倒しそうになったという事例があります。

4: 電動工具を使用する時のリスク

電動工具は、便利な反面、感電したり、挟まれたり切れたりする危険性があります。

従って、作業中は正しい姿勢で行うことを心掛け予め工具が壊れていない事を点検しておく必要があります。こちらもヒヤリハットの時点で防ぐことが可能です。

5: 養生蓋のずれによる転倒など

建設現場では、養生蓋がずれない様にする事も大切です。 養生蓋がずれていることで転倒してしまう恐れがあります。歩行中は蓋が固定されていない事もあると考えて、歩行ルートの安全を確認する事が必要です。

6:クレーンワイヤーを使用した際の引っ掛かり

建設現場では、重い荷物を吊り下げたクレーンワイヤーが他の物に引っ掛かると、思わぬ危険が伴います。

クレーンワイヤーが引っ掛からない様に、注意してから、オペレーターに合図しましょう。ヒヤリハットの時点で、事故は防ぎましょう。

7:スラブ解体時のトラブル

建設現場でスラブを解体する時、チェーン式解体時には、チェーンを真っ直ぐではなく、斜めに引っ張る等、解体の作業手順でしっかり確かめて下さい。チェーンが顔に当たる等の事故を防ぐ必要があります。

とび工事

「とび工事におけるヒヤリハット4箇条」があります。

「資材のつまずきに注意する」「足場板の天秤に注意する」「熱中症に注意する」「足場上での資材の受け渡しに注意する」という内容です。

8:資材等に躓く転倒など

建設現場では、足場上での作業に集中するあまり、足元を疎かにしない様に気をつけましょう。同時に、足元に資材を置かない様にして通路を確保しましょう。暗い時や高い場所では特に危険です。

ヒヤリハットの時点で事故を未然に防ぎましょう。

9:足場上での資材の受渡の際のリスク

建設現場で足場上での資材の受渡は、資材を落としたり、バランスを崩して、落下する等の危険を伴います。資材を手渡しする際は、声を掛け合って無理な体勢での受け渡しはしない様にする必要があります。

10:足場板の天秤のリスク

建設現場では、足場板の天秤状態は、非常に危険を伴う為、足場板が固定されているか、しっかり確かめましょう。また、足場板が張り出すくらいであれば重ね合わせて、段差に気をつけた方が、安全でしょう。

11:熱中症のリスク

建設現場では、水分塩分の補給に努めるようにしましょう。体調に異変を感じたら、すぐに休憩を取る等、手遅れになる前に行動する必要があります。

目眩や立ちくらみ、失神等で2次災害を招かない様に気をつけましょう。

屋根工事

「屋根工事におけるヒヤリハット7箇条」があります。

「瓦の状態に注意する」「足場板に注意する」「後ろ向き作業に注意する」「野地板の踏み抜きに注意する」「強風時の作業に注意する」「梯子の掛け方に注意する」「荷揚げ機の積み方に注意する」という内容です。

12: 荷揚機の積み方

小さく砕けた破片等は、ひとつにまとめる等して荷崩れしない様な積み方を考えましょう。曲がりレールの角度が変わる場所は、バランスを崩しやすいので、絶対に過重積載にならない様に気をつけましょう。

13:屋根表面・瓦の状態のトラブル

屋根表面・瓦で作業する際は、雨や雪の場合はもちろん、早朝や寒い時は目に見えない霜が降りている可能性があるので足を滑らせない様に気をつけましょう。

更に作業した後に出る木屑によって、足を滑らせる事もあるのでそちらにも注意しましょう。

14:足場板のリスク

建設現場では、足場板の端を踏んでシーソー状態にならない様に気をつけましょう。

足場板ごと滑らない様に隣の板と桟木で結んだり、釘やロープでしっかりと固定したりして安全帯などの点検も行いましょう。

15:梯子の掛け方

建設現場では梯子と屋根がしっかりとベルトで固定されているか、角度が75度か、梯子が正しい立て掛け方されているか、確かめましょう。

更にヘルメットや滑り止めのついた作業用の手袋や靴を使うなどして安全対策しましょう。

内装仕上工事

「内装仕上工事におけるヒヤリハット6箇条」があります。

「脚立上の作業に注意する」「立馬上での作業に注意する」「資材運搬時は搬入経路を確認する」「台車の設置箇所に注意する」「火器使用時は周辺に注意する」「ドアなどの建具の死角に注意する」という内容です。

16: 脚立上での作業時のリスク

脚立は不安定です。従って、天板の上に立ったり座ったりを含んだ間違った使い方による危険を回避しましょう。また、立馬を使う等より安定した足場を確保する様に努めるようにしましょう。

17:火器使用時のリスク

建設現場で、火器を使用する時は近くに引火する可能性のある物を置かないようにしましょう。

周囲の人に火器を使用すること警告を発して、近くに寄らない様に注意を怠らないようにしましょう。また万一のため消火器を備える事が必要です。

18:作業時の経路の確保

建設現場で資材を搬入する時は通路に物を置いたりせず経路が確保されている事を確認しましょう。またそれと同時に他の作業者のスケジュールもきちんと押えて衝突を避ける様に努力しましょう。

19:立馬上での作業におけるリスク

建設現場で立馬上で作業する場合は、開き止めをするだけでなく、各部の部品の外れやネジの緩みがないか確認しましょう。また天板が傾いていないか等を確かめた上で、不安定な場所や体勢では作業しない事が必要です。

20:内装材の人力運搬時のリスク

建設現場では大量の物を抱えている時は視界が悪くなってしまいます。また、他の作業者のスケジュールを把握していないと衝突事故が起きる可能性もあります。そういった事故が起きない様にしっかり気をつける必要があります。

建設業におけるヒヤリハット報告書

建設業に携わる人たちは、危険と隣り合わせです。現場で起こった危険な事例をまとめた内容がヒヤリハット報告書です。今まで例を挙げたヒヤリハットの事例はほんの一部です。

ヒヤリハット報告書を作成する目的は、事故を未然に防ぐ事です。ヒヤリハットの事例を収集して全員で共有する事で安全に対する意識が高まります。

しかし、ヒヤリハットの事例を収集するだけでは、事故を減らしたり、防ぐ事は出来ません。何故、そんな事故が起きそうになったか、分析して、全員に知らせなければなりません。掲示板に貼り出したり、朝礼の時に知らせる等の方法が、必要となります。

建設業ではヒヤリハット事例を活用し事故ゼロを目指そう

先ほど、「ヒヤリハット事例を分析して事故が起きる理由を探り全員に注意を喚起する事で初めて役に立ちます」とお伝えしました。

掲示板に貼ったり、朝礼で全員に報告するのみに止まらず、「ヒヤリハット報告書」を全員に配ったり、様々な方法で伝えていく必要があります。

また、報告する当事者の問題意識が低くて、自分の評価が下がるのを恐れ、報告しない等の事例が起きない様に報告しやすい環境を作る事も大切です。その様にして「ヒヤリハット報告書」の事例集に書かれた事が起きない様に「事故ゼロ」を目指す必要があります。

是非この記事を読んでヒヤリハット事例を活用し事故ゼロを目指しましょう。


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