高度人材を施工管理や現場監督に採用するメリット5選|雇用に必要な手続き

人材派遣 2021.02.22 2021.02.22
高度人材を施工管理や現場監督に採用するメリット5選|雇用に必要な手続き

高度人材とは?

高度人材とは、高度な専門的技術や知識を有する外国人です。

内閣府は、高度人材の採用を日本が中長期的に成長するための重要な国家戦略として位置づけています。日本で高度人材として育てる目的で、アジア諸国からの留学生を積極的に受け入れる方針です。

高度人材の受入れには、海外の移民受け入れに利用されている「ポイント制」を導入しています。

高度人材におけるポイント制について

高度人材ポイント制とは、特に優秀な外国人労働者を「高度専門職」として出入国在留管理上で優遇する制度です。

優遇される外国人の活動内容は、高度学術研究活動や、高度専門・技術活動、高度経営・管理活動となっております。ポイントは学歴や職歴、日本語能力や年収によって項目に分けられ、合計70点になると優遇の対象です。

永住許可の要件緩和や在留期間の延長などが優遇措置として行われます。

高度人材の受入れが始まった背景について

高度人材の受入れは、日本の少子高齢化による労働力不足と技能実習生制度への不満が背景です。

2012年に始まった高度人材の受入れは、年々増加しています。技能実習生も労働力不足を補ってきましたが、専門知識や技能を有する人材へのニーズが高まりました。

世界的な人材獲得競争の出遅れを取り戻し、イノベーション人材による日本経済の再生を模索する動きのリンクも影響しています。

高度人材の活動類型4つ

高度人材の活動内容は、高度専門職1号の3種類と高度専門職1号を3年間務めた2号の4つに分けられます。

高度専門職はそれぞれ学術研究を行う高度専門職1号(イ)、技術活動の高度専門職1号(ロ)、経営管理活動の高度専門職1号(ハ)です。

活動類型はポイント評価と連動しています。それぞれの設定された項目でポイント計算を行って、評価が決定します。

高度人材の活動類型1:教授・研究・教育などの高度専門職1号(イ)

高度専門職1号(イ)は、日本の公立または私立の機関で研究指導や教育活動を行う大学教授や講師などです。

活動や年収によって付与されるポイントですが、「加算大学」に勤務すると、10点加算されます。学歴条件で、博士号の取得や日本の大学、加点大学卒業は追加ポイントが付与となります。留学生は高い能力があるとしてこの類型に含まれます。

中小企業の経営強化に対するイノベーション促進支援措置の研究も加算対象です。

高度人材の活動類型2:技術・人文知識・国際業務などの高度専門職1号(ロ)

高度専門職1号(ロ)は、自然科学や人文科学、国際業務の分野で研究や技術を活かした就業です。

生物学や物理、化学など自然科学は、プログラマーやエンジニアです。社会学や歴史、心理学や哲学など人文科学は、法務や人事、総務や経理に従事します。国際業務は外国の文化を基にした仕事で、民間の語学教師、翻訳や通訳、デザイナーなどです。

高度専門職1号の中で、1番多く認定されています。

高度人材の活動類型3:経営・管理・法律会計・興行などの高度専門職1号(ハ)

高度専門職1号(ハ)は、士業や興行活動など個人事業活動が中心です。

経営管理は企業経営、法律会計は士業を指します。弁護士や公認会計士、税理士や司法書士、社会保険労務士など国際資格も合わせて11種類です。資格を保有し、士業の団体に登録することが条件です。

興行はプロスポーツ選手やダンサー、歌手や役者などスポーツや芸能など興行活動を行います。選手以外のコーチや指導者も含まれます。

高度人材の活動類型4:高度専門職1号を3年以上活動した高度専門職2号

高度専門職2号の認定条件は、高度専門職1号として3年以上の活動です。

高度専門職2号は活動内容による分類はありません。日本を拠点に活動しているスポーツ選手や企業経営者、エンジニアなど対象者が多く、滞在要件が緩和され長期活動が可能です。

留学生が日本の大学を卒業後、研究を続けて博士号の取得や日本企業に就職する流れを創出します。優秀な人材や技術の流出を防ぎ、日本の人口増加も目的です。

施工管理や現場監督に高度人材を採用するメリット3選

施工管理や現場監督に高度人材を採用すると、長期雇用と資格取得を目指せます。

施工管理や現場監督は建設現場には必要であり、現場を指導できる知識とコミュニケーション能力が求められます。技能実習生として来日して、多くの作業をマスターして、施工管理能力を有する人材も多くいます。

高度人材は、身に着けた知識や経験の活用と、本人も企業も共に成長できるメリットがあります。

高度人材を採用するメリット1:長期雇用ができる

高度人材は在留期間が5年で、当初から長期雇用が可能です。

技能実習生は最長5年のきまりがあり、それ以上の雇用ができません。本人も企業も短期就労目的なので、有望な人材として育てられず単純労働だけに従事します。

施工管理や現場監督として育てるためには、数年間必要です。監理者不足に悩む中小企業では、長期雇用が前提の高度人材はじっくりと育てて戦力になる有望な人材です。

高度人材を採用するメリット2:労働力不足を解消できる

施工管理や現場監督は、慢性的な人材不足を高度人材で解消できます。

若い世代が少ない建設業界は、施工管理や現場監督を目指す人材が不足しています。高度人材は育てる対象として適任です。技能実習生は建設現場の労働力不足解消に役立っていますが、監理者の不足を高度人材で補えます。

高度人材は若い世代が多いので、高齢化の進む建設業界を支える原動力として期待できます。

高度人材を採用するメリット3:専門性が期待できる

高度人材は、エンジニアなど専門知識を持っているので施工管理や現場監督としての専門性を期待できます。

設計や監理の知識や技術を取得した高度人材は、企業に多くのメリットをもたらします。海外や日本の大学で学んだ知識を活用して、現場で活動可能です。日本語能力も技能実習生より優れ、コミュニケーションも円滑に行えます。

日本人の大学卒業程度と遜色ない専門性で、施工管理や現場監督として活動可能です。

高度専門職1号の優遇措置7つ

高度専門職1号の出入国在留管理上の優遇装置は、永住要件の緩和や家族の帯同です。

永住要件は日本に10年以上在籍が条件ですが、高度専門職1号として3年間活動すると取得ポイントに応じて永住申請が可能です。配偶者や7歳未満の子供がいる家庭は子供の面倒を見るために両親を帯同できます。

一般の就労ビザと比較して、多くのメリットがあります。

高度専門職1号の優遇措置1:現状活動と関連のある複数の在留活動を行える

高度専門職1号は通常のビザと違い、複数の在留活動が可能です。

通常のビザは活動が限定され、複数の活動はできません。高度専門職1号のビザは、高度専門職1号(ロ)の技術や知識を活用して就労している人が、関連するベンチャー企業を経営可能です。

複数の活動はできますが、所属機関名とその所在地が記載された指定書がパスポートに添付されるので、転職すると再申請が必要です。

高度専門職1号の優遇措置2:最長の在留期間5年が付与される

ビザによって在留期間が決められていますが、高度専門職1号は来日時点で、5年間の在留期間が付与されます。

ビザは就労可能なものと、就労できない種類があります。就労できるビザでも、興行に関するものは最長で3年、留学は最長で4年3カ月です。

高度専門職1号として来日すると、始めから5年間の在留許可が取得できます。在留期間を気にせず、じっくりと学業や仕事に打ち込めます。

高度専門職1号の優遇措置3:入国・在留手続きを申請受理から5日以内にできる

高度専門職1号は、入国や在留手続きが通常の審査より優先的に処理されます。

入国管理局での審査は通常2週間必要で、長い場合は3カ月かかります。在留資格認定証明書の交付申請の際は約10日以内、変更などの申請は約5日以内に手続きが完了します。

高度専門職1号が国家戦略として位置づけられているためです。優先処理は本人だけが対象で、家族は対象外です。

高度専門職1号の優遇措置4:一定の条件で親または配偶者の親の入国・在留ができる

一般の外国人労働者は本人だけの在留資格ですが、高度専門職1号は本人か配偶者のどちらか一方の両親の入国や在留資格が取得可能です。

7歳未満の子供がいる家庭で、800万円以上の世帯収入が条件です。株式運用などの報酬は除外します。

帯同もしくは呼び寄せできるのは、子供の養育や本人または配偶者が妊娠中の場合に限定されます。高度人材本人との同居が条件で、別居すると在留資格が更新できません。

高度専門職1号の優遇措置5:配偶者は学歴・職歴などの要件を満たさなくても就労ができる

高度人材1号の配偶者は、特定活動ビザの要件が適用されて就労可能です。

配偶者の在留資格は2種類あります。家族滞在型は扶養家族です。資格外活動の許可を得て、週28時間以内の就労が認められます。

特定活動型は「研究や教育、技術・人文知識・国際業務、興行(演劇等を除く)」業務での就労です。フルタイムで勤務できますが、報酬は日本人と同等以上が条件です。学歴や職歴の要件はありません。

高度専門職1号の優遇措置6:一定の条件で家事使用人の帯同が認められる

高度専門職1号の家事使用人の帯同は、入国後の世帯収入が1000万円以上の場合に認められます。

本国で1年以上雇用関係にあった家事使用人限定で、複数人を雇用していた場合には適用できません。「入国帯同型」と呼ばれ、入国時の帯同と雇用関係の解消時は帰国が条件です。

家事使用人を呼び寄せする「家庭事情型」もあります。高度人材の子供が13未満や配偶者が就労などで日常の家事ができない場合に適用です。

高度専門職1号の優遇措置7:在留歴に係る永住許可要件の緩和

高度専門職1号の永住許可要件の緩和は、留学生が恩恵を受けるシステムです。

就業目的の来日と比較して留学生は滞在期間が長期化し、高学歴であれば就職も遅くなり永住申請に時間が必要です。留学ビザで来日した学生が一般就労ビザを取得すると就労年限5年が必要ですが、高度専門職1号で就労すると3年で永住申請が可能です。

一般の永住許可は、10年以上の在留が条件ですので、大幅な緩和となります。

高度専門職2号の優遇措置7選

高度専門職1号として3年間就労した後に取得する高度専門職2号は、今までの優遇措置に加えて多くのメリットがあります。

高度専門職1号では制限のあった要件が緩和されます。転職や副業も自由にでき、全ての就労資格を取得可能です。在留期間の制限もなくなります。

在留資格の更新申請に身元保証人が不要になり、永住者ビザより短期間で許可を受けられます。

高度専門職2号の優遇措置1:高度専門職1号で認められる優遇措置が対象

高度専門職2号は、今まで認められた高度専門職1号の優遇措置が継続して受けられます。

配偶者の就労や両親の帯同が引き続き許可されます。しかし、本人は5年の在留資格を得て来日していますが、家族は3年が上限の場合が一般的です。本人は1号から2号に変更される時点で、家族のビザが切れてしまう事態も発生します。

施工管理や現場監督の場合、雇用先も本人や家族のビザやパスポートの管理に配慮します。

高度専門職2号の優遇措置2:在留期間の制限がない

高度専門職2号は在留期間の制限がないので、本人が希望すれば永住者可能です。

永住者ビザとの違いは、親の帯同や家事使用人の帯同が認められることです。どちらも在留カードを7年ごとに更新します。

高度専門職2号の条件は、高度専門職の活動を継続することや申請時点のポイントが70点以上、高度専門職1号(イ)以外は年収が300万円以上などです。日本の国益に合致し、素行が善良であることも求められます。

高度専門職2号の優遇措置3:転職に必要なビザ変更申請が不要

高度専門職2号は高度専門職1号と異なり、転職してもビザの変更申請が不要です。

契約機関によって資格を認められた1号は法務大臣からの指定書が交付されましたが、2号は指定書の交付がありません。しかし、転職や失業の場合は届出義務があります。

高度専門職に6カ月以上従事しなかった場合はビザの取消対象で、この点も永住者ビザとの違いです。

高度専門職2号の優遇措置4:全ての就労資格を取得できる

高度専門職2号は全ての就労資格を取得でき、活動の幅を広げられます。

高度専門職1号は専門業務に関連する活動だけでしたが、2号を取得すると専門業務と無関係の仕事に就くこともできます。

高度専門職の継続が前提で、就労ビザに該当しない活動は対象外です。

高度専門職2号の優遇措置5:申請から許可までの期間が永住者ビザよりも短い

在留資格の審査期間が、永住者ビザより高度専門職2号のほうが大幅に短縮されます。

審査の申請から許可を受けるまで、高度専門職の就労ビザから永住者ビザは約1年間かかりますが、高度専門職2号の場合は約1~2カ月で完了します。

申請にはどちらも健康保険や年金、税金を納めていることなど素行が善良である証明が必要です。2号は高度人材としての証明用の書類も添付します。

高度専門職2号の優遇措置6:申請時に身元保証人が不要

高度専門職2号は、在留資格の申請に身元保証人が不要な点も永住者ビザとの違いです。

1号として3年経過した時点で、高度人材ポイントが80点以上は永住者ビザ取得が容易ですが、それ以下の場合は2号ビザのほうが滞在条件を維持できます。また永住の審査期間が長くなる傾向にあることも考慮します。

建設業に従事する高度人材が相談した場合、企業も基礎知識を確認して真摯に対応します。

高度専門職2号の優遇措置7:副業もできる

高度専門職2号は、1号と異なり副業が可能です。

1号は本業に関係する活動でしたが、2号は本業を継続した上で無関係な仕事も同時に行えます。エンジニアが飲食店の調理や経営も可能です。介護や教育など幅広い活動が認められます。副業収入も世帯収入として計上できます。

全ての就労資格を取得できる強みを生かして、日本と故国の懸け橋としての活動を始められます。

高度人材の採用に必要な手続き2つ

高度人材を採用する場合、来日前と日本に在留中の2つの申請方法があります。

これから来日する場合は、招致する企業が在留資格認定証明書の申請を近くの地方出入国在留管理局で手続きを行います。在留中の外国人及び高度人材は、本人が在留資格変更許可申請を行います。

来日前に在留資格認定証明書の交付を受けると、入国後すぐに活動できます。

高度人材の採用に必要な手続き1:海外から誘致する手続き

海外から高度人材を招致する手続きは、採用後に行います。

高度専門職1号の申請手続きは本人でもできますが、在外公館ではスムーズにできません。企業も直接申請できますが、行政書士なども代行可能です。

企業の所在地か本人が来日後の居住予定地を管轄する出入国在留管理局に申請し、受理した証明書を本人に送付します。在外公館で本人が証明書を添付してビザ発給の手続きを行います。

在留資格認定証明書交付申請について

在留資格認定証明書交付申請は、ポイント計算表とポイントを証明する書類を添付します。

申請書類を提出すると、入国管理法によって在留資格該当及び上陸条件に適合するかの審査が行われます。この際、ポイント計算や雇用理由を確認します。

上陸条件に適合しポイント不足の場合、本人が希望すれは高度人材以外のビザの取得ができるので在留資格認定証明書が交付されます。

高度人材の採用に必要な手続き2:在留資格を更新する手続き

留学生や一般の就労ビザで来日した外国人労働者を高度人材として採用した場合は、在留資格変更許可申請を行います。

高度人材ポイント制のポイントが70点以上あることが条件です。ポイントを証明する書類の作成や素行が善良で国益にかなう条件も事前に確認します。

年金や健康保険、税金を滞納していないか、交通違反も含めた違反や犯罪歴のないことも証明が必要です。採用前に確認しましょう。

在留資格変更許可申請について

留学ビザや就労ビザを高度人材に変更する際、本人または採用した企業や行政書士など代行者が手続きをします。

本人が居住する地域の地方出入国在留管理局に、在留資格変更許可申請を、ポイント計算表やポイントを証明する書類と共に提出します。高度人材として活動できるかが判断基準です。

70点未満など条件をクリアできない場合は、現在の在留資格の期限まで国内で活動はできます。

高度人材の採用は企業にとって大きなメリットであることを知ろう

施工管理や現場監督の人材不足解消のために、高度人材の採用は大きなメリットがあります。

在留期間が長く日本語能力に優れた高度人材は、建築の技術や知識も十分に兼ね備えています。建設業界で経験を積んで、資格取得を目指せます。受入れ企業も育てる気概を持って対応します。

企業経営に欠かせない優秀な人材を確保するために、高度人材が働きやすい環境作りをしましょう。


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