派遣と業務委託を使い分けのポイント5つ|メリットとデメリットも紹介

人材派遣 2021.02.25 2021.02.25
派遣と業務委託を使い分けのポイント5つ|メリットとデメリットも紹介

派遣とは?

派遣とは派遣会社と雇用契約を結んだ社員で、派遣先で業務を行うことを意味します。

派遣社員は、登録だけでは雇用関係はありません。派遣会社から仕事の紹介を受け、派遣先が決まった段階で雇用関係が成立します。そして、派遣期間が修了すると雇用契約も完了し、登録を継続すると次の派遣先を紹介されます。

派遣社員は派遣先と雇用関係はなく、業務に関する指揮命令系統に属するのです。

派遣の種類

派遣の種類は、一般型と紹介予定型の2つの契約があります。

一般型は登録型とも呼ばれ、派遣先が決まった期間だけ派遣会社と雇用関係が発生します。多くの派遣社員がこのタイプです。

紹介予定型は、派遣期間が最長6カ月です。派遣先企業と本人の合意があれば、契約社員か正社員として直接雇用されます。しかし、必ず派遣先に雇用される保証はなく、契約が終了する可能性もあります。

業務委託とは?

業務委託とは、雇用関係を企業と結ばずに対等の立場で業務を行う働き方で、請負者は依頼主の指揮命令系統に属しません。

業務委託は専門知識や資格が必要なものが多く、外注とも呼ばれます。そして、委託を受ける側は企業や個人で、フリーランスも含まれます。業務を行う場所は委託した企業内や委託先など、場所は特定されません。

業務委託の契約形態は、請負契約と委任や準委任契約があり、業務内容によって違います。

請負契約

請負契約とは、「成果物」など完成品に対して報酬を支払う契約を意味します。

例えば個人の住宅建築の場合は、完成した新築戸建て住宅が成果物です。そのためにかかった費用は事前の契約で合意し、報酬に含まれます。契約した期日までに納品できない場合は、報酬の支払いは必要なく、納品後の不具合は請負者が対応します。

また、報酬を支払うタイミングは、成果物の納品と引き換えです。

委任や準委任契約

委任や準委任契約は成果物が「特定の行為の遂行」が対象で、法律に関わる業務が委任、法律以外の業務は準委任です。

委任契約は弁護士や税理士など法律行為に対する場合で、裁判や税務申告など特定の行為の遂行が完了した時点で報酬を支払います。

準委任契約は、企業のWebサイトの保守管理や清掃会社にビル掃除を管理会社が1年間依頼した場合などです。

派遣のメリットとデメリット

派遣社員を受け入れるメリットは計画的な人員配置、デメリットは責任感が希薄なことです。

派遣社員のメリットは必要な時期に雇用期間を限定して受けいれられ、計画的な人員配置が可能なことです。また、紹介予定型を利用して使える社員を採用でき、受け入れだけなら給与計算など雇い入れコストが不要になります。

反対に、デメリットは派遣社員の帰属意識です。成果物を完成させなくても報酬が受け取れるので、業務に対する責任が希薄になる場合もあります。

業務委託のメリットとデメリット

業務委託のメリットは専門技術や知識を必要に応じて利用できること、デメリットは企業に何も残らないことです。

業務委託のメリットは、専門性の高い技術や知識を必要なだけ利用可能なことです。そのため、仕様書に沿った成果物を期日までに事前の契約通りに受け取れます。

反対にデメリットは、外部に委託して社内で知識や技術が蓄積できないことです。成果物を作るための教育や労力、費用は削減できますが、依頼体質を作る要因になりかねません。

派遣と業務委託を使い分けのポイント5つ

派遣と業務委託を使い分けるポイントは、主に業務の継続性です。

派遣は社内で作業を行いますが、業務委託は丸ごと依頼して必要な資料などを持ち出す場合もあります。継続性の高いものは社内で行うほうが、資料の取り扱いや契約が簡単です。

一方、専門知識や有資格者の対応が必要な単発の仕事は、業務委託を利用すればコストと労力を削減できます。

継続的な案件は派遣、単発的な内容は業務委託というように使い分けができるでしょう。ここからは、派遣と業務委託を使い分ける5つのポイントを紹介します。

派遣と業務委託使い分けポイント1:派遣と業務委託の目的の違い

採用の目的に注目すると、派遣は労力の穴埋め、業務委託は成果物や業務の遂行です。

両者は指示系統が明確に違います。派遣は派遣先の企業が直接指示します。一方、業務委託は依頼した企業は指示できません。

責任の所在を見ても、派遣は指示した派遣先、業務委託は請負った委託先と違いがあります。

さらに、派遣と業務委託は支払う対象も異なります。派遣は対価として派遣料金を、業務委託は成果物や業務に対して報酬を支払います。

派遣と業務委託の仕事内容例

建設業界では、派遣は定型業務、業務委託はIT関連部門などの仕事を依頼する例が一般的です。

年末調整や決算など定期的に発生する定型業務は、期間を区切った雇用形態の派遣が便利です。また、社内で業務を行うので、情報の持ち出しなどの心配も不要です。

業務委託は、ITシステム開発や運用、保守など自社の業務に直接関係ないものです。人事や経理などを業務委託して企業のスリム化に利用する例もあります。

派遣と業務委託使い分けポイント2:派遣と業務委託の教育コストの違い

教育に関するコストに注目すると、派遣は派遣先、業務委託は請負先が負担します。

派遣は毎回社員に対して教育を行うので、受け入れるたびにコストが発生します。一定レベルに達しても社員は入れ替わり、受け入れ企業にとって正社員と比較して割高です。

業務委託は依頼企業内で育成しないので、教育コストは発生しません。

派遣と業務委託使い分けポイント3:直接業務管理をする場合は派遣契約

派遣は指示系統が受け入れ企業にあるので、直接業務管理する場合は変更指示などが簡単にできます。

細かい作業手順の指示や急な予定変更への対応は、業務委託ではできません。あらかじめ請負契約で依頼した成果物が納品されるだけだからです。

派遣は自社社員同様に直接指示できますが、契約内容以外の業務は契約外です。変更内容によっては違反行為になるので、注意が必要です。

派遣と業務委託使い分けポイント4:業務委託では社内人材を活用できる

企業の付随業務を外部に委託すれば、社内の人材をメイン業務に活用可能です。

例えば経理業務の委託により、企画開発や営業に社内人材を集中させることができるでしょう。効率的な人員配置ができ、本業の収益を高めることにつながります。

また、営業や採用に欠かせない自社サイトの運営や保守管理は専門業者に業務委託すれば、社員の負担を軽減できるでしょう。そして、内容の変更など相談できるという契約にしておけば、自社の要望に沿ったサイトを実現できます。

派遣と業務委託使い分けポイント5:業務委託は委託料が高額になる場合もある

業務委託は専門性が高く、依頼内容によって高額になり、従業員を雇用した方が安上がりになる場合もあります。

専門性の高い業務は、報酬も高額です。そのため、業務委託だからコストが削減できるとは限りません。請負業務によっては追加料金が発生し、最終的に割高な報酬になる可能性も視野に入れましょう。

自社で行うと雇用した従業員の給与で納まり、途中の変更や修正も柔軟に対応ができるので、業務委託をするか検討する必要があります。

派遣契約や業務委託契約をする際の注意点3つ

派遣契約は3年の上限があり、業務委託は偽装請負に対する注意が必要です。

自社社員と異なり、派遣や業務委託を利用する際は契約を正しく理解することが重要です。例えば、二重派遣や偽装請負を気づかないで行ってしまう場合もあります。そのような場合、受け入れ側も罰則が適用され、社会的信用を失墜させてしまいます。

ここからは、派遣契約や業務委託契約をする際の注意点を3つ紹介していきます。

派遣や業務委託の注意点1:派遣期間は3年が上限である

派遣社員は、労働者派遣法によって同一労働同一賃金の上限が3年に規定されています。

この規定は、正社員との格差是正が目的です。それ以上契約する場合は、受け入れ企業が無期雇用を行うか、異なる課や業務に変更が必要になります。また、事前に派遣社員と面談して希望を確認し、派遣元に企業の要望を伝えることもできます。

契約更新の際、教育コストをかけて育成し直すか、派遣社員を正社員採用するかを判断しましょう。

派遣や業務委託の注意点2:二重派遣とは?

二重派遣とは、派遣先からの指示で別会社に派遣される違法行為です。

職業安定法では、労働者を派遣する「労働者供給」は許可を受けた派遣事業者以外は禁止です。受け入れた企業も罰則の対象になります。

二重派遣によって雇用責任が曖昧になり、派遣社員に対する給与や社会保険の支払い責任者が特定できません。そのため、給料の未払など社員が不利益を被る状況になる恐れがあり禁止されています。

派遣や業務委託の注意点3:偽装請負とは?

偽装請負とは、業務請負契約中に依頼主が指揮命令する派遣状態を指します。

業務請負で依頼主の企業内で業務を遂行する際に、偽装請負は多く発生します。二重派遣を隠す手口にも利用されます。

偽装請負は業務請負契約に違反し、労働者派遣法や職業安定法に抵触する状態です。そして、業務請負を依頼した企業も請負業者と共に、二重派遣と同様の罰則が適用されます。

偽装請負が疑われる場合とは?

請負業務に従事している労働者の業務が肉体労働などの場合は、偽装請負が疑われます。

業務請負は成果の納品が対価であり、労働力の提供は対象外です。また、日常的な技術指導、作業時間や勤務日の指定も疑われます。

例えば、労働者の業務中の外出や遅刻、早退などを依頼した企業が認めている場合は、依頼企業の就業規定が適用された状態です。

契約の形式より就業状況や指示系統が、偽装請負が疑われる条件となります。

派遣と業務委託を使い分けよう

派遣と業務委託は、使い方次第で依頼企業のコスト削減や仕事の効率化が可能です。

必要な労働力を計画的に導入できる派遣と、高い専門性で仕事を遂行する業務委託は、人手不足の建設業界には欠かせない契約形態となっています。

派遣と業務委託の仕組みや違い、メリットを正しく理解して上手に使い分け、本業の収益性を高めましょう。


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