遠隔臨場とは|遠隔臨場を必要とする理由4つや遠隔臨場のメリットとは5つを紹介

労務 2021.03.3 2021.03.3
遠隔臨場とは|遠隔臨場を必要とする理由4つや遠隔臨場のメリットとは5つを紹介

遠隔臨場とは


遠隔臨場とは、映像と音声を用いて双方向の通信を可能な状態にしたうえで、「段階確認」「材料確認」「立会」を行うことです。

遠隔臨場には、ヘルメットや体に装着・着用できるデジタルカメラである、ウェアラブルカメラなどが用いられます。カメラの製品は、限定されていません。

遠隔臨場の適用の目的は、受発注者の作業の効率化を図ることです。合わせて契約が適正に履行されているか、施工履歴を管理する目的もあります。

働き方改革の観点から考える遠隔臨場とは

建設業業界では慢性的に人手不足が生じているため、働き方改革を進めて人手を確保するための対策が欠かせません。そこで週休二日制の導入などの対策を行うのと共に、遠隔臨場を取り入れて移動時間や現場での待ち時間を解消する取り組みも行われています。

遠隔臨場を取り入れることで発注者は現場に出向く必要がなくなり、移動時間などが減らせます。現場も確認が終わるまで作業が進められなかったので、両者にメリットがあります。

新型コロナウイルス感染症対策から考える遠隔臨場とは

新型コロナウイルス感染症対策には、他の人との接触を極力減らすことが求められます。遠隔臨場を取り入れると、現場での接触や移動中の接触が減らせるので、新型コロナウイルス感染症対策としても有効です。

現場への移動は長距離にわたる場合もありますし、また頻繁に現場に通う必要もあります。そのたびに人と接触することになるので、現場に行かなくても確認ができる遠隔臨場が役立ちます。

遠隔臨場を必要とする理由4つ


遠隔臨場は現場に行かなくても「材料確認」や「段階確認」などが行える方法ですが、遠隔臨場が必要とされているのには移動に時間がかかる場合があるなど現場の状況が関係しています。

これから、遠隔臨場を必要とする理由4つを詳しく紹介していきます。

1:監督員の移動時間が長くなる

現場に直接行って「材料確認」などを行う場合、監督員の移動時間が長くなるケースが見かけられます。複数の現場を受け持っていると、さらに大変です。

移動時間だけではなく、現場では待ち時間も発生します。これらを合わせるとかなりの時間になってしまうので、時間短縮の手段が求められています。

2:監督員の立会検査では日程調整が難しい

監督員が「立会」などを現場で行う場合は、日程を合わせなければいけません。その調節が難しいので、都合を合わせやすい方法が求められます。監督員はかなり遠方から行くケースもあるので、日程が限られます。

監督員にとっても負担ですが、現場も監督員と連絡を取って都合を合わせるなどの負担がかかります。「立会」などが終わるまで作業に入れないので、現場の作業にも影響が出ます。どちらにとっても、遠隔臨場が必要です。

3:臨場日の状況でしか安全確認できない

実際に「立会」などを現場で行う場合、臨場日の状況でしか安全確認が行えません。その場では問題がなくても、後で問題が見つかる可能性もあります。

遠隔臨場であれば、「段階確認」「材料確認」「立会」に限られず、万が一現状不一致があったり事故が起こったりした場合に、報告に活用するなどの利用法も期待できます。安全確認のために幅広い使い道がある点でも、遠隔臨場が必要とされます。

4:現場では書類作成の負担が大きくなっている

工事に関連する書類は所定の品質や出来が保たれているか確認するうえで重要なものではありますが、必要以上の書類が現場の大きな負担になっている事実もあります。

提出しなければいけない工事書類の種類が多い、紙と電子書類の二重納品が起こっている、書類の形式が明確でないなど、書類に関連する問題も多く見られます。これらを踏まえて、書類作成の負担を軽減するためにも、遠隔臨場が必要とされているのです。

遠隔臨場のメリット5つ


現場に出向いて行う「立会」などには、監督員の移動時間が長くなる、現場でも対応が必要になるなど、さまざまな問題点があります。そこで、実際に出向くのではなく、ウェアラブルカメラなどを用いて現場に行かずに行う遠隔臨場に問題点の解決が期待されています。

では、実際に遠隔臨場を行うとどのようなメリットが得られるのでしょうか。主なメリットを5つ見ていきましょう。

1:移動時間を短縮できる

監督員は遠い現場にも何度も出向いていますので、移動のためにかなり時間が割かれます。遠隔臨場を行えば、移動が不要なので移動時間が短縮できます。

1時間以上もかかる現場に出向いていたような場合は、特に大きな効果を期待することが可能です。時間が効率的に使えれば、業務の効率も上がります。

2:コスト削減が可能となる

遠隔臨場によって、コストの削減も可能となります。遠隔臨場を行えば、現場まで出向く必要がありません。現場に出向くために公共交通機関を利用すれば料金がかかります。現場によっては車で行く場合もありますが、その際にはガソリン代が必要です。それらの経費を削減できます。

また、現場に出向くために時間が取られることが、残業の原因になっているケースもあります。残業をせずに済めば監督員も楽ですし、経費も削減可能です。

3:人手不足を解消できる

建築業界では人手不足が深刻ですが、遠隔臨場を導入すれば移動時間の削減などの効果で効率的に仕事ができるため、人手不足の解消にも役立ちます。

実際に現場に出向いて「立会」などを行うと時間の制約が大きくなりますが、遠隔地にいながらリアルタイムな情報が共有できれば、移動時間を別の現場の確認のために利用することも可能です。効率的に仕事を進められれば、少ない人ででも仕事がしやすくなります。

4:初期費用が抑えられる

国土交通省によると、遠隔臨場に利用するウェアラブルカメラとはヘルメットや体に装着や着用ができるデジタルカメラの総称で、使用製品を限定しているわけではありません。 Androidや iPhoneなどの、一般的なモバイル端末の使用も認められています。

現在利用しているパソコンやiPadなども利用できるので、特別な機材を用意する必要がありません。そのため、初期費用が最小限に抑えられるメリットもあります。

出典:建設現場における遠隔臨場に関する監督・検査試行要領|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/tec/content/001343446.pdf

5:新型コロナウイルス感染症などの対策となる

遠隔臨場は、新型コロナウイルス感染症などの感染症の対策としても有効です。厚生労働省は、新型コロナウイルス対策のために密閉空間・密集場所・密接場面の「3密」を避けるように呼び掛けています。

監督員が現場に出向くために移動すれば、それだけ人と接する機会が増えます。リモートワークが推奨されているように、人の動きを減らすほど感染症対策になりますので、遠隔臨場を取り入れることが有効です。

遠隔臨場で必要な機器・方法4つ


遠隔臨場を取り入れるためには、映像や音声が撮影できる機器、そして記録した映像や音声が配信できる機器が必要です。

では、具体的にどのような機器が必要で、どのような方法で遠隔臨場を行えばいいのでしょうか。主に考えられる4つの機器と方法を紹介します。

1:スマートフォン/タブレットのビデオ通話アプリを活用する

1つ目は、スマートフォンやタブレットのビデオ通話アプリを活用する方法です。建設現場ではすでにスマートフォンやタブレットが活用されている場合が多いので、機器を購入することなく遠隔臨場が行えます。

しかし、これらの機器は手に持たなければいけないので、両手が使えないデメリットもあります。リアルタイムの情報の共有には便利ですが、録画できないアプリが多い点にも注意が必要です。通信量やバッテリーの持ちも問題です。

2:ウェアラブルカメラ(ヘルメット・ボディカメラ)を活用する

2つ目は、ヘルメットや体に装着するウェアラブルカメラを活用する方法です。手荷物必要がないので両手が使えるので、作業がしやすく便利です。映像だけでなく音声のやり取りも可能な商品が多く、録画ができるメリットもあります。

建設現場にはWi-Fi環境が無い場合も多いので、通信回線を準備しなければいけない点に注意が必要です。通信量なども考えながら、必要な回線を用意しましょう。

3:ウェアラブルカメラ(スマートグラス)を活用する

3つ目は、スマートグラスを活用する方法です。スマートグラスとは眼鏡型のウェアラブルカメラで、映像や音声を送ることはもちろん、監督員の方からスマートグラスに指示を書き込んで見せる機能がついているものもあります。眼鏡型なので、両手が使える点もメリットです。

注意点は、回線の確保が必要で、通信量も気にする必要があることです。場所によっては映像が見えにくい、注意力が散漫になりやすいなどの問題点もあります。

4:常時録画型のクラウドカメラを活用する

4つ目は、常時録画型のクラウドカメラを活用する方法です。クラウドカメラとは録画した映像をクラウドに保存できるカメラのことで、モニタや動画を保存するためのハードウェアを設置しなくて済むメリットがあります。

リアルタイムで双方向の通話ができ、簡単な操作で利用可能です。

遠隔臨場を正しく理解して働き方改革に活かそう


遠隔臨場を取り入れると、監督員が現場まで行かなくても「立会」などが行えるので、移動時間や待ち時間の短縮などによる業務の効率化が図れます。現場としても日程を合わせる、「立会」が終わるまで作業が中断するなどの問題点が解決できるので、両者にとって便利です。

遠隔臨場を行うには、機器などの準備が欠かせません。目的は何か、どのような機器を用意すればいいのか、遠隔臨場を正しく理解して働き方改革に活かしましょう。


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