工期短縮とは
工期とは工事の期間を指します。工期短縮とは、工事にかかる期間を短縮するという意味で、建設業界でよく使われる言葉です。
働き方改革や生産性の向上が課題である昨今、工期短縮を要請されるケースも増えています。工期短縮が求められている理由やメリット、短縮の方法について整理しましょう。
工期短縮を行うメリット4つ
工期短縮と言われると、元請けからの強引な要求というイメージも少なくないでしょう。ですが、工期短縮によって得られるメリットも多くあります。
工期が短い工事のメリットは、例えば人材を確保しやすい点が挙げられます。また、工事によって周辺住民へ迷惑をかけてしまう期間も短く済みますし、早期完成により建物の利用開始を早めることも可能です。ここでは、主要なメリット4つをご紹介します。
1:コストを抑えられる
工期が短くなることで、人件費や重機などの工事車両にかかる費用を安く抑えることが可能です。コストが削減できるということは、発注側にとっても施工者側にとってもメリットと言えます。
2:競争力が上がる
工期短縮でコストを低く抑えられた実績は、自社にとって重要なアピールポイントです。他社と比較した際、受注の決め手となる可能性もあります。競争力が上がることは、施工者側にとって利益につながります。
3:設計者と施行者の協力体制ができる
工期短縮を目指して綿密な打ち合わせを実施することにより、発注側と施行者の間に協力体制が生まれます。早い段階で協力体制を構築し、コミュニケーションを密にすることで、工事途中で設計変更が発生するなどのリスクを避けることが可能です。
4:生産性が向上する
事前に綿密な打ち合わせを実施することで、工事に潜む無駄を排除することが可能です。無駄のない工事は、効率的で合理的な仕事を可能にし、生産性の向上も期待できます。
工期短縮の効果的な方法5つ
工期短縮が叶えば、人件費やリース代などを削減でき、利益につなげることが可能です。また工期短縮によって現場に余裕が生まれ、安全な操業を目指せます。
一方で、工期短縮のために新たな機器などを導入すると、コストがかかることもあります。また、工期短縮を無理に推し進めることで、安全が後回しになる懸念もあるでしょう。
適切に工期短縮を進めるために、効果的な手法を5つ紹介します。
1:構法を変え無駄な作業を減らす
構法とは、資材の使い方や組み立て方などの設計を指します。構法を変えることで工期短縮が見込めます。
例えば、入手しやすい資材や事前処理が不要な資材を使うことで、所要時間の削減が可能です。また、工業化やユニット化などで現場での工数を減らしたり、天候による工期の遅れを防ぐために工夫したりすることも有効です。
そのほか、作業を同時に実施したり運搬の効率を高めたりすることでも工期短縮が見込めます。現在の手順や方法の中から無駄と思える作業を探し、改善していくことが重要です。
2:工法を工夫し効率化する
工法とは施工技術を指します。工法を変えることで、作業スピードを上げることが可能です。
例えば、同じ作業を多くの人数で取り組むことにより、作業時間の短縮が見込めます。そのほか、作業を外注化したり作業の機械化を導入したりすることで、大幅な工期短縮が期待できるでしょう。
ただし、前述した人員増加や作業の外注化、ロボット導入などは、多くの場合コスト増加を伴います。工期を短縮するために費用をどのくらい投入できるか、コストが増加しても利益が見込めるか、検討が必要です。
3:制約条件を緩和する
厳しいルールに従って作業することにより、時間を要するケースも多々あります。工期短縮するには、工事の制約条件を緩めることも有効です。
無意味に厳しい制約条件や、緩和しても工事に支障がない条件などは、施工者しか分からないものです。しかし、工事の制約条件は施工者の判断だけで変更はできません。
緩和可能な制約条件を見つけたら、発注側に相談して、緩和できないか打診してみることが重要です。制約条件を緩和することでコスト削減につながるなどのメリットがあれば、発注側も了承しやすいでしょう。
また、普段から発注側とコミュニケーションを取っておくことで、緩和の交渉なども持ちかけやすくなります。
4:工程を適切に管理する
作業の中には、少しでも遅れてしまえば全体の工事期間を遅らせてしまう、重要な工程があります。よって作業に対しては優先順位を適切に設定する必要があります。優先順位を設定することで同時並行可能な工程を選別することもでき、更なる効率化も見込めるでしょう。
工程を管理するには、全工程をきちんと把握しておく必要があります。工事管理システムなどを利用して工程を適切に管理しましょう。
工事管理システムとは、工事に関するデータを一元管理するためのシステムを指します。工程を組む段階から役立つシステムで、工事着工後の進捗状況もリアルタイムで把握可能です。
5:IT化の推進を行う
IT化が遅れていると、通信や連絡に時間を要し、作業が止まってしまうなどのデメリットがあります。IT化の推進が遅れている職場は、社内体制が整っていないとも言えます。社内体制を整え、IT化を推進することで、作業効率を上げることが可能です。
工期短縮を行う上での注意点
工期短縮には多くのメリットがあります。しかし、メリットばかりというわけではありません。
工期短縮を無理に推し進めた結果、労働環境が悪化するケースが考えられます。工法や構法の工夫、作業の機械化によって効率化できればベストですが、作業員の負担を増やす形になると無理が生じ工期短縮どころではありません。
労働環境が悪化すれば作業員の離職率が高まってしまい、人手不足のため逆に工期が長くなる懸念があります。
また、工期短縮が実現することで、その工期が標準だと受注側に認識されてしまうケースも考えられます。更なる工期短縮を求められてしまうこともあるため、どこかで線引きし目安となる工期を設定しておくことが重要です。
工期短縮で生産性が向上して時間に余裕が生まれた場合は、休日の拡大を考えると良いでしょう。無理のない範囲で工期を短縮することが大切です。
効果的に工期短縮を行おう
効果的にコスト削減できるなど、工期短縮にはメリットが多くあります。またコストだけでなく、生産性向上で余裕が生まれるなど、働く側にとってもメリットがあると考えられます。
一方で、厳しい工期短縮を推し進めることで、労働環境を悪化させる懸念もあるでしょう。メリット、デメリットをよく理解し、多くのメリットを享受できるような工期短縮を実施しましょう。
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