施工管理や現場監督で外国人労働者は受け入れられるの?
施工管理や現場監督は、施工計画の作成や工程管理、品質管理及び安全管理を行うので、全ての業務を把握して指導できれば外国人労働者でも受け入れられます。
今の外国人労働者は現場作業が中心です。中には熟練した技術と日本語を話せる人もいますが、施工管理や現場監督が務まる人はほとんどいません。
技術を習得して施工管理業務をこなせるようになれば、外国人労働者の施工管理や現場監督は受け入ることもできるでしょう。
外国人労働者の条件となる3つの在留資格
建設工事の現場で働ける外国人労働者の在留資格は、技能実習と特定技能、特定活動の3つです。
就労ビザなど就労可能な在留資格を取得していない外国人を労働者として受け入れると、事業主が不法就労助長罪で罰せられます。不法就労者であることを知らずに受け入れても処罰の対象となります。
外国人労働者を受け入れる場合は、在留資格を必ず確認しましょう。
外国人労働者に必要な資格1:技能実習
技能実習は開発途上国に技能を持ち帰るために、最長5年間日本に滞在して技能を習得する外国人労働者です。
1年目は技能実習1号として2カ月間講習を受け、その後雇用先で技能実習となります。基礎級の実技と学科試験に合格して技能実習2号になり、2年間雇用先で実習します。
来日して3年経過後、1カ月間帰国が義務付けとなります。技能実習は故国の発展のための国際貢献が目的で、施工管理や現場監督での受け入れはできません。
外国人労働者に必要な資格2:特定技能
特定技能は1号と2号があり、全員が1号から活動開始しますが、日本語能力テストと技術試験に合格が取得条件です。
建設業など14職種に限定された資格です。建設業は左官や型枠施工など11職種が対象で、合格した職種で直接雇用されます。
特定技能1号は監督下での作業に限定され、滞在期間は5年です。特定技能2号は熟練した技能を習得しており、現場監督や施工管理として受け入れ可能なレベルとなります。
外国人労働者に必要な資格3:特定活動
建設業の特定活動の資格条件は、技能実習2年間と期間中の素行が良好なことです。
日本に在留中の外国人労働者は、在留資格変更許可申請、海外から来日する場合は、在留資格認定証明書交付申請が必要です。一般の就労ビザと異なり、外国人労働者それぞれが活動内容を個別に指定された資格となります。
特別活動の資格を保有しても、全員が就労できるわけではありません。個別に確認が必要で、施工管理や現場監督としての受け入れは困難となります。
外国人労働者受け入れで守らなければいけない法律3つ
外国人労働者を受け入れるための守るべき法律は、雇用側に必要な対応です。
外国人労働者が働く資格と別に在留資格を確認します。在留資格の確認は、「在留カード」で行います。カードには在留カード番号や顔写真、在留期間とカードの有効期限などが記載されています。在留資格と就労制限の有無により、受け入れ可能な人材か確認します。
確認した後、事業所が行う届け出など3つを紹介します。
外国人労働者に関する法律1:外国人雇用状況の届け出
外国人労働者を受け入れた場合、「外国人雇用状況の届出」をハローワークやインターネットで行います。
雇用対策法と労働施策総合推進法に基づく届け出は、雇用する外国人労働者の氏名と在留資格、在留期間などです。労働者本人が雇用保険の被保険者に該当するかしないかで、届出期限や内容が変わります。受け入れの際は、早めの対応を心がけましょう。
外国人労働者が離職した際も同様に届け出ます。怠ると処罰の対象となります。
外国人労働者に関する法律2:就労可能な外国人の雇用
就労可能な外国人の雇用とは、在留資格と就労資格の確認です。
外国人労働者の就労は、出入国管理法及び難民認定法によって定められた在留資格となります。雇用する際に、在留カードを確認します。就労資格は、技能実習・特定技能・特定活動です。その他の記載内容も確認して、不法就労助長罪の抵触に注意しましょう。
在留カードは、必ず本人が持参した原本で確認します。雇用側の控えとして、表と裏のコピーを取っておきましょう。
外国人労働者に関する法律3:外国人労働者の雇用の管理の改善及び再就職援助
外国人労働者の雇用管理の改善及び再就職援助については、労働施策総合推進法に規定され、事業主が対処する指針が定められています。
日本人労働者と同じ待遇の労働条件を確保し、労働災害防止のための日本語教育や健康診断の実施となります。雇用保険や労災保険、健康保険、厚生年金保険を適用し、相談体制を整えます。
解雇を予防し、再就職の援助も指針に含まれます。
施工管理や現場監督で外国人労働者受け入れのメリット5選
施工管理や現場監督で外国人労働者を受け入れるメリットは、向上心のある若い人材を採用できることです。
作業員として働いている日本人や外国人労働者との架け橋の役割も期待できます。帰国後の支援は、自社の海外進出の足掛かりになるでしょう。
ここからは、外国人労働者を受け入れるメリットを紹介します。
受け入れのメリット1:向上心のある人を採用できる
外国人労働者を施工管理や現場監督に受け入れるメリットは、向上心のある人を採用できることです。
故郷の環境整備を目的に技術の習得を目指す外国人労働者は、知識を吸収しようとする積極性を持っています。現場監督の下で働いた経験を活かして、実際の工事現場を指揮する立場は、勉強の連続となります。施工管理の知識と技術の両面から学ぼうとするでしょう。
向上心のある人材は、作業現場の活性化にもつながります。
受け入れのメリット2:グローバル化に役立つ
施工管理や現場監督に外国人労働者を受け入れるメリットは、グローバル化です。
現在の工事現場は外国人労働者が多くグローバル化していますが、企業は日本だけで活動しています。将来的な国内需要の減少に対応するため、海外進出を視野に検討することも必要となります。外国人の施工管理や現場監督は母国への進出に役立つでしょう。
受け入れのメリット3:若い労働力を得られる
施工管理や現場監督に外国人労働者を受け入れると、若い労働力を得られるメリットもあります。
来日する外国人労働者は若者が中心です。日本の建設業界は若年層の新規加入が少なく、高齢化しています。若い世代の施工管理や現場監督の存在は、長期的視野で企業経営を考えられるようになります。
一般作業員は入れ替わりますが、若い人材を安定して確保できます。
受け入れのメリット4:労働環境が良くなる
外国人労働者を施工管理や現場監督に受け入れると、外国人材受け入れの指針を運用するので、労働環境が良くなります。
外国人現場監督の新鮮な発想と独自の切り口での対応は、工事現場の効率化を促進するでしょう。日本の悪い習慣を見直すきっかけにもつながります。
受け入れのメリット5:人手不足解消に繋がる
外国人労働者を受け入れるメリットは、施工管理や現場監督の人手不足の解消です。
作業員数も減少していますが、施工管理や現場監督も不足しています。人材が足りなければ仕事量を増やせず、経営も苦しくなります。施工管理や現場監督が増えれば大きなプロジェクトも受注できますし、一般的な仕事に複数体制が導入できます。
外国人現場監督の受け入れは、先細りの経営を脱却するチャンスにもなります。
施工管理や現場監督で外国人労働者を受け入れるデメリット2選
施工管理や現場監督に外国人労働者を受け入れるデメリットは、カルチャーの違いと言葉の壁です。
この他に、就労ビザの取得など日本人を雇用する時には必要なかった労力や時間がかかります。自社で対応できない場合、代行する行政書士や司法書士に依頼して費用が発生する場合もあります。
外国人労働者の採用は、日本人を受け入れる枠がなくなるデメリットもあります。
カルチャーの違い
外国人労働者の施工管理や現場監督は、カルチャーの違いがデメリットとなります。
外国人は日本人と比べて、何でもストレートに発言することが多いです。作業員同士の立場から、管理する立場になると同じ発言でも、日本人作業員には受け入れられないこともあります。
崇拝する宗教への対応も重要です。日本の習慣と異なる宗教への姿勢や食事なども、お互いを尊重し、理解を深める意識を職場全員が共有することが必要になります。
言葉の壁
施工管理や現場監督が外国人労働者の場合、言葉の壁は大きなデメリットとなります。
言葉の壁はお互いの意思疎通ができないだけでなく、労働災害など安全管理に関わる問題につながります。現場での円滑な作業を行い、品質を確保するためにお互いが日本語と外国語の習得を目指しましょう。
来日して言葉が通じないと、疎外感も覚えます。身振り手振りを交えて、職場全員が関わろうとする姿勢で言葉の壁を乗りこえることが必要になります。
外国人労働者への教育方法とは?
工事現場では、雇い入れや新しい現場での作業開始前に教育を行いますが、この他の安全教育も工夫を凝らして実施します。
工事現場に必要な「リスクアセスメント」は、事故防止に欠かせません。従来の教育方法では外国人労働者に伝わらないこともあるので、動画やイラストを使い、クイズ形式で理解度を把握しましょう。
外国人労働者の採用を検討しよう
外国人労働者の受け入れは人手不足解消がメリットで、在留資格や就労資格の確認などの労力がデメリットとなります。
意欲的な若い人材を確保でき、作業環境を改善させる効果と、カルチャーや言葉の違いによる問題も抱えています。施工管理や現場監督に採用できる人材は限られますが、企業経営に多くのメリットをもたらします。
外国人労働者を受け入れるルールを理解して、採用を検討しましょう。
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