有期雇用から無期転換するメリット4つとは?注意点5つについても解説

労務 2021.01.26 2022.12.21
有期雇用から無期転換するメリット4つとは?注意点5つについても解説

有期雇用の無期転換とは?

有期雇用の無期転換とは、有期雇用としての勤務年数が通算5年を超える場合、当該社員の申し出により無期雇用契約に変更できる制度の事です。これは、2013年4月に施行された、改正労働契約法に基づき実施されています。

ただし、通算5年を超える有期雇用については、同一事業所における労働であることが条件です。複数の事業所における合算勤務年数ではありませんので注意が必要です。

有期雇用について

有期雇用とは、契約期間満了日があらかじめ設けられた雇用契約であり、契約満了の都度、人事評価結果及び事業所の経営状況等に応じて就労継続可否が判断されます。

有期雇用の最長契約期間は原則3年です。主な有期雇用社員として、パート、アルバイト或いは派遣社員があげられます。

定年までの継続就労ではないことからも、長期間労働を希望する社員にとっては不安定な雇用形態であると言えます。

無期転換について

無期転換とは、有期雇用の社員が同一事業所において通算5年を超える有期雇用契約があった場合に、本人の申し出により、定年まで就労できる無期雇用に転換できる制度のことです。

なお、契約更新時に雇止めと再雇用を繰り返すことで、無期転換の資格を与えない行為は労働契約法の趣旨に反しますので注意が必要です。

有期雇用から無期転換するパターン3つ

有期雇用から無期転換する場合は3つのパターンがあります。

それは、正社員になること、条件付きで正社員になること及び雇用期間だけを変更する場合の3つです。

事業所及び社員にとって最適な雇用契約が結べるよう、それぞれのパターンについて理解を深めましょう。

有期雇用から無期転換するパターン1:正社員となる

有期雇用の社員が正社員となることは、社員のモチベーション向上や有能な人材を確保するための手段でもあります

さらに、正社員に限られた手当支給や福利厚生がある場合、有期雇用の社員は無期転換に対してより積極的な関心を持つことで、更なる労働意欲の向上が見込めます。一方、正社員となった場合は、人件費が増加することが事業所のデメリットとしてあげられます。

有期雇用から無期転換するパターン2:条件付きで正社員となる

有期雇用から無期転換するもう1つのパターンが、条件付きで正社員となることです。

事業所によって異なりますが、条件付きの正社員とは、就業時間、就業場所及び給与等に所定の条件が付加されるものの、定年まで就労が可能であることがメリットとなります。

有期雇用から無期転換するパターン3:雇用期間だけ変更する

最後に紹介するのは、雇用期間だけを変更するパターンです。

例えば、パートやアルバイトの方が無期転換する場合、賃金などの労働条件に変更はなく、契約期間だけが有期から無期に変更されます。

これにより、従来の契約更新が不要になることから、事業所と社員双方に事務負担軽減のメリットが発生します。

有期雇用を無期転換とするメリット4つ

有期雇用から無期雇用に転換した場合のメリットについて紹介していきます。

それは、優秀な人材確保ができる、人材確保のコストを減らせる、キャリアアップ助成金の対象になること及び社員のモチベーションが上がることの4つです。

上記のとおり、無期転換を適用することで事業所と社員双方にメリットが発生します。

有期雇用を無期転換とするメリット1:優秀な人材を確保できる

有期雇用から無期転換するためには、同一事業所での勤務年数が5年を超える必要があります。つまり、有期雇用期間中に優れた能力を発揮した社員が無期転換することで、企業は新しい人材を確保する必要がなくなるメリットがあります。

社員の立場においても、雇用期間が無期である安心感は大きく、これによりこれまで以上に能力を発揮することに期待できます。

有期雇用を無期転換とするメリット2:人材確保のコストを減らせる

有期雇用を無期転換することで、新たな人材確保に要するコストを削減することもメリットとしてあげられます。

有期雇用の社員が契約更新の都度退職する状況では、社員育成に費やした時間や費用がすべてリセットされるばかりか、改めて新人教育が必要になります。

また、人材確保のための求人広告等は費用がかかることからも、有期雇用を無期転換にするメリットが浮彫りになります。

有期雇用を無期転換とするメリット3:キャリアアップ助成金の対象となる

有期雇用を無期転換とすることで、厚生労働省が実施している「キャリアアップ助成金」の対象になります。

キャリアアップ助成金とは、有期雇用や派遣雇用を無期雇用に転換することで、労働環境の改善を実施した企業に対する助成制度です。

有期雇用を無期転換とするメリット4:社員のモチベーションが上がる

有期雇用を無期転換することで、社員のモチベーションが上がることです。

有期雇用の場合、社員は契約更新のたびに継続労働に対する不安が大きくなることで、本来の能力を発揮できない場合があります。

一方、無期転換を実施することで継続労働の不安がなくなることから職務に専念できる環境になり、社員の能力発揮はもちろんのこと、事業所の生産性向上にも繋がります。

有期雇用を無期転換とするデメリット3つ

有期雇用を無期転換とすることには、メリットだけではなくデメリットも存在します。

デメリットとは、人件費が多くなる、雇止めが難しくなる及び雇用管理が煩雑となることの3つです。

デメリットは事業所側に関連する内容が多くなることからも、経営者或いは人事担当者の方は無期転換の導入前にそれぞれのポイントを把握しましょう。

有期雇用を無期転換とするデメリット1:人件費が多くなる

有期雇用から正社員として無期転換した場合のデメリットに、人件費が多くなることが上げられます。

仮に、パート或いはアルバイトから正社員として無期転換した場合、基本給はもちろんの事、その後の昇給や賞与を含めて必要とされる人件費が多くなります。

無期転換は、正社員への登用が必須ではありません。当該社員の職務内容や事業所の経営状況に応じて、無期転換後の雇用契約内容を決めましょう。

有期雇用を無期転換とするデメリット2:雇止めが難しくなる

続いて紹介するデメリットは、雇止めが難しくなることについてです。

有期雇用であれば、半年或いは1年などの雇用条件があるので、能力不足やその時々の経営状況を理由に雇止めによる人員調整が可能です。しかし、無期転換を実施した場合に人員調整する場合、雇止めではなく解雇の対応を迫られますが、解雇には厳格なルールが存在します。

有期雇用を無期転換とするデメリット3:雇用管理が煩雑となる

最後に紹介するデメリットは、雇用管理が煩雑となる点についてです。

職種によって、パートやアルバイトが半数以上を占める企業があり、こうした雇用形態の企業においては、無期転換への該当者が多いことから雇用管理が煩雑となる可能性があります。

ただし、労働者から無期転換への申し出があった場合、企業はそれを断ることはできません。

有期雇用を無期転換とする際の注意点5つ

有期雇用から無期転換を実施する際、企業が注意しなくてはならない点があります。

それは、社員周知が必須であり、就業規則の変更が必要であること、雇止めが無効になる場合があること、無期転換の申し込みは受理する前提であることに加え、公務員は適用除外となることの5つです。

それぞれのポイントについてこれから紹介していきます。

有期雇用を無期転換とする際の注意点1:社員周知が必須

有期雇用から無期転換とするルール内容については、全社員への周知が必要です。なお、無期転換は勤務年数に応じて自動的に適用されないことからも、周知の必要性が計り知れます。

無期転換ルールに関する概要や関連する就業規則については、該当社員のみならず、事業所に属するすべての社員に周知しなくてはなりません。

周知しなかったことにより、当該社員が不利益を被ったなどの紛争を避けるためにも、事業所による社員周知は必須です。

有期雇用を無期転換とする際の注意点2:就業規則の変更が必要

無期転換を運用するためには、就業規則の変更が必要です。

就業規則とは、事業所における労働時間、労働場所、休憩時間及び賃金等が労働基準法に基づき制定されており、使用者と社員が守るべきルールが示されています。よって、無期転換を導入する場合は、無期転換の概要、適用条件などを組み込んだ内容に変更しなくてはなりません。

有期雇用を無期転換とする際の注意点3:雇止めが無効になる場合がある

有期雇用であれば、事業所の経営状況などに応じて契約更新されないことがあり、これを雇止めといいます。

有期雇用から無期転換に必要な期間は通算5年を超える必要があることから、事業所が前述の無期転換のデメリットを理由に、雇止めと再雇用を繰り返す場合があります。しかし、無期転換を回避するために行った雇止めは無効となることがあるので注意が必要です。

雇止めの有効性は司法が判断することですが、トラブルを発生させないためにも、雇止めは十分な注意が必要です。

有期雇用を無期転換とする際の注意点4:無期転換の申し込みは受理が前提

労働者が有期雇用から無期転換への申し出があった場合、事業主はこれを拒否できないことが労働基準法により定められています。なお、口頭による申し込みは記録が残らないことから、書面による申し込み方法が適しています。

労働者の権利を事業主が奪うことはできません。加えて、労働者が権利行使の判断に迷う時間があることを理由に、申し込みがなかったとすることもできません。

有期雇用を無期転換とする際の注意点5:公務員は適用除外となる

これまで、労働契約法に基づき有期雇用を無期転換とする場合の注意点について紹介しましたが、適用対象になるのは民間企業です。公務員への適用については労働契約法22条1項が関連しています。

要約すると「本法は、国家公務員及び地方公務員については適用しない」となっていることから、公務員は無期転換ルールの適用除外となります。

施工管理・現場監督を雇用するには?

施行管理・現場監督の主な仕事内容は、工事における工程管理、品質管理、原価管理、安全管理など、現場全体を管理することです。

上記の施工管理・現場監督を雇用するには、主に経験者を優遇する給与体系や、より大きな仕事を任せること及び応募者の希望に応じた勤務先を提示することで、優秀な人材を確保しましょう。

施工管理・現場監督は誰もが出来る仕事ではないため、待遇条件を良くすることが雇用のポイントとしてあげられます。

有期雇用の無期転換ルールについて正しく理解しましょう

これまで、有期雇用の無期転換ルールについて紹介してきました。

事業主と社員双方にとって働きやすい職場であるためにも、ルールを知り、ルールを守ることは重要です。ルールを理解することで、事業者は社員に対して働きやすい環境を提供し、事業所は優秀な人材を確保できるメリットがあります。

有期雇用から無期転換するメリットやデメリットを理解することで、社員のモチベーションを向上させ、事業所の生産性を向上させましょう。


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