建設業界の課題8つ|建設業界の将来性についてもわかりやすく紹介!

労務 2021.05.13 2021.05.13
建設業界の課題8つ|建設業界の将来性についてもわかりやすく紹介!

建設業界の課題とは?


建設業界は1990年代のバブル崩壊、さらに2008年にリーマンショックを受け、建設需要は激減し、人口減少と労働者の高齢化、若年層の業界離れ、低賃金、長時間労働など、多くの課題を長い間抱えてきました。

近年、東日本大震災からの復興需要や、オリンピック開催に向けたインフレ整備、都市再開発事業が盛んになり、ようやく建設業界にも活気が戻りつつあります。

しかしそれゆえに、今まで解決を先送りにしてきた課題が表面化することになったのです。

そして今回、2020年のコロナ禍であらゆる業種でリモートワークが推奨されるようになってきました。建設業界でも顧客対応から事務作業及び現場での活動に至る情報、データ管理を省人化、効率化するためのIT導入が急務になっています。

建設業界の課題8つ


ここでは、建設業界に突き付けられた8つの課題をそれぞれ解説します。

どの課題も建設業界で長きにわたって問題視されてきた課題ですので、簡単に克服できるものではありませんが、官民一体となった課題解決への取り組みの結果、少しずつ改善の兆しが見えてきています。

1:情報管理ができていない

建設業界の課題の一つに情報管理があります。

従来より建設業界では、施工管理業務などは紙を使った図面管理検査記録の保存が一般的でした。そのため現場での生産性や業務の効率が悪く、情報共有もうまくできていませんでした。

そこで、情報通信技術(Information and Communication Technology)略してICTを利用し、施工管理や情報管理のシステム化を構築しようとしています。

ICT化することによって設計施工のみならず、検査、維持管理、更新といった生産プロセスを一元管理し、業務の効率化、人手不足の解消、品質管理の向上、労働者の負担軽減といったメリットが生まれます。

2:活動状況の共有ができていない

建設業における課題の一つとして、発注者と受注者、現場とオフィスなど、お互いの活動状況が共有できていないことが挙げられます。

建設業ではオフィスと現場で全く別々の仕事が行われているため、スケジュール管理や必要な書類、写真などのデータ送受信といった事務作業の効率化が必要となり、発注者と受注者のコミュニケーションも円滑に進めなければなりません。

ここでもITを積極的に使ったシステムを導入することによって、事務作業の効率化、データの送受信とセキュリティ対策、顧客や社員とのコミュニケーションをはかり、それぞれの活動状況を共有できます。

3:利益率の低迷

建設業はバブル崩壊後から経済不況の影響で受注数は激減しました。そして数少ない注文を取り合うため、値下げ競争の激化によって利益率はさらに少なくなっていったのです。

その後、リーマンショックなどもあり利益率は低下したままでした。

近年になって、東日本大震災の復興に伴う建築需要の増大や、オリンピック関連の工事増によって条件の良い受注が得られるようになったおかげで、少しずつ利益率は改善してきています。

利益率を高めるためには、受注の価格を上げたり原価管理の徹底をする必要があります。

今後景気が改善し受注条件が良くなれば受注価格も上がりやすくなるでしょう。また、IT技術を積極的に導入することにより、効率の良い施工管理、原価管理ができれば利益率も上がってくるでしょう。

4:安定した事業継続が困難

建設業では後継者不足により、安定した事業の継続、継承がうまくいかない問題が発生しています。

後継者に事業を譲り渡す場合、後継者となる人は一定期間の実務経験や経営管理に携わったことを証明する必要があります。この期間に加えて、事業継承の申請をして許可されるまでにまた時間がかかるのです。

特に中小企業の場合、事業が継承されるまでに要した時間は数年以上かかると言われています。このことから、事業継続がうまくいかず、倒産したり、休業、廃業する会社が後を絶ちません。

その問題を解決するために、事前の許可申請にてスムーズに事業継承が行われるよう建設業法の改正が行われましたが、根本的な事業継承の人材不足解消という問題はまだまだ残されています。

5:就業者の高齢化

建設業就業者の現状は、年齢別に見ると、平成20年頃から55歳以上が就業人口の3割以上を占めており、29歳以下の若年層は1割程度と高齢化が急速に進んでいます。

若者がなかなか就職しない理由として挙げられるのが、長期にわたって定着してきた「3K」いわゆる「きつい、汚い、危険」のイメージや、賃金、社会保障などの福利厚生が整っていないことだとされています。

建設業界では、次世代の担い手となる若者を確保するために様々な取り組みを始めています。

静岡県の富士教育訓練センターでは、全国の工業高校生などを対象に技能体験研修を実施し、3Kイメージの払しょくや建設業界への関心を高める活動をしています。

また国土交通省は、新3K(給与・休暇・希望)を提唱し、労務賃金を改善するためのモデル工事を試行したり、日本建設業連合会も優良技能者手当を設定し優良技能者の年収水準を上げるための取り組みを始めました。

出典:建設産業の現状と課題|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001149561.pdf

6:技術承継の困難化

技術継承の困難化は、上の項目でも述べた建設就業者の高齢化とも結びついてきます。

若い年齢の労働者がなかなか増えていかない現状、技術力のある労働者の技術が若い世代に受け継がれていかない問題も出てきています。

単純に若い世代の就業人口が増えたとしても、長年受け継がれてきた技術が伝承され、実務経験として生かされてくるにはまだまだ時間がかかります。

そこで、技術者の知識や経験をIT技術などを利用して現場に活かせるようなシステムを開発したり、職業訓練学校を設立するなど、若い世代が建設業にもっと関心をもって、技術やノウハウを習得できる環境づくりを進めていかなければなりません。

7:長時間労働の是正

建設業の長時間労働はかねてより問題視されています。現状、建設業労働時間は他の全産業に比べて、年間約320時間も多くなっているのです。

その原因の一つは、建設業が労働基準法の第36条である36(サブロク)協定で定められた時間外労働、休日労働規制の適用除外業種になっているからです。

政府は労働基準法を改正し、時間外労働の上限を設定することを2019年の4月から執行しました。

しかし、建設業は大型案件が多く、近年はオリンピック関連の建設案件の需要増加もあり、人手不足や工期の問題が解決に至らない現状を変えるための猶予期間を5年とし2024年までには安全な労働環境を整備して、労働環境が改善するよう取り組んでいます。

出典:労働基準法(厚生労働省)
参照:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73022000&dataType=0&pageNo=1

出典:建設業における働き方改革(国土交通省)
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001189945.pdf

8:週休2日制の徹底

建設業界の週休2日制は必要とされながらも、実現するのはかなり困難と言われています。

一般社団法人建設産業専門団体連合会の調査によると、休日設定は4週6休程度が一番多くなっており、4週5休や日曜日のみ休みといった企業もまだまだ見受けられます。

その理由として一番に挙げられるのが、工事の工期が間に合わないことです。建設現場は天候不順だと当然工期が遅れ、人手不足も相まって作業効率が悪くなります。

国土交通省では、工事期間の設定や、週休2日を実施した際の必要経費の補正をするなど、週休2日制の徹底に向けて様々な取り組みが現在も続けられています。

出典:働き方改革・建設現場の週休2日応援サイト(国土交通省)
参照:https://www.mlit.go.jp/tec/tec_tk_000041.html

建設業界の将来性とは


ここまで建設業界の課題を見てきましたが、それと同時に建設業界の将来性と、業界がより成長するための方向性についても見ていきます。

長期的に成長が期待される事業としては、「国内インフラ設備の維持と保善、海外インフラ事業への参入」「地震や台風といった日本特有の防災・減災対策事業」があります。そして新たな新事業としては、「地球環境を守るための省エネ・環境保護設備の構築」などです。

インフラ輸出

建設業界が進むべき新しい方向として、自国のインフラシステムを海外に輸出することです。

すでに経済が充実しインフラの整った我が国以上に、海外とりわけ新興国、発展途上国などの今後経済が発展し、人口増加、インフラ設備の充実が必要な国家に我が国のインフラシステムを提供するのです。

政府は平成25年3月に「インフラシステム輸出戦略」を掲げました。政府と民間企業が力を合わせ、我が国の充実したインフラ整備技術やノウハウを諸外国に輸出し、相手国と我が国の経済や企業の発展の両立を目指しています。

出典:戦略的国際展開と国際貢献の強化(国土交通省)
参照:https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h25/hakusho/h26/pdf/np209000.pdf

新事業への展開

建設業の各企業がこれまで以上に成長、発展していくためには新事業の展開は欠かせません。先ほど述べたような我が国のインフラ設備の海外輸出を見ても、今後一層、国際社会との結びつきは密接になってきます。

2015年9月に国連総会で持続可能な開発目標(SDGs)が採択されました。各企業が環境保全や社会的責任、労働者のワークライフバランスへの取り組みを進め、全人類が平和と豊かさを享受する社会を作りだそうという目標です。

建設業界においては、SDGs達成を目標に掲げ、冷暖房を極力使わない省エネ技術を用いたオフィスビルや国内林業の活性化を目指し、国内の木材を使った高層オフィスビルが建設されています。

また、気候変動によって災害が多発している中、ITを使ったインフラ施設の監視、管理システムの構築が進められていたり、一見建設業界とはつながりのないような観光業、農業分野といった地域の活性化を目指したビジネスが始まっています。

出典:持続可能な開発目標(SDGs)採択までの道のり
参照:https://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/presscenter/articles/2015/08/21/sdg.html

建設業界の課題について知ろう


ここまで建設業界の課題について見てきましたが、どれも簡単に変えることのできない根の深い問題ばかりです。

しかし、日本の充実したインフラ設備を築いてきた開発力や技術力、豊富な経験はまだまだ活かせる場がたくさんあります。人口の減少で建設業労働人口も減ってきている中、これらの技術力や経験をこれからの世代に受け継いでいかなければなりません。

官民一体となって、若い世代が少しでも建設業界に興味を示してくれるような労働環境や社会福祉の整備、建設に関する知識や理解を習得する場所の提供、ITを活用した情報管理、積極的な海外への業務展開といった今後の建設業界の動向に注目してみましょう。


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