建設現場は構造上、所属の異なる労働者が集まって作業をする形態です。
また短時間で作業内容が変化するため、元方事業者による統括管理や安全衛生活動を進めることが大切とされています。
そのため安衛法などで安全衛生管理体制が定められています。
本記事は施工管理技術者も知っておきたい安全衛生管理体制などを紹介します。
安全衛生管理体制とは
労働安全衛生法などが定められたあとでも、建設現場では多くの事故が発生していました。
そのため建設工事の災害を防止するため、何度も規制が強化されてきた歴史があります。
さらに日本は元請会社が仕事を下請けさせ、その下請けがさらに下請けに出すという重層構造となっていることが多いとされています。
この混在作業による労働災害も多く発生しているため、体制の整備が要求されています。
そこで安衛法などでは建設業の安全衛生管理体制として主に以下のことが定められています。
事業者ごとに総括安全管理者などの船員や設置が義務付けられている体制(事業者主体)があります。
これは事業者と労働者という使用従属関係を対象としています。
また建設現場においては元方事業者と関係請負事業者を対象とした、統括安全衛生責任者などの専任や設置が義務付けられている体制(混在作業)があります。
元請事業者が行う措置
全ての下請け事業者は以下の事項が義務付けられています。
- 関係請負人または請負人の労働者が関係法令に違反しないよう指導する
- 上記の関係請負人などに法令違反が認められた場合、是正のため必要な指示を行う
統括管理
建設工事は一般的に、元請事業者と関係請負事業者が同一の場所で作業をすることが多いです。
この混在作業状態で生じてしまう労働災害を防止するための安全衛生管理が「統括管理」とされています。
管理者の主な職務と資格
元請事業者は統括安全衛生責任者など、下請け事業者は安全衛生責任者などを選任します。
そして一体の安全衛生に関する業務を行わせることが定められています。
管理者の主な職務と資格は以下のようになります。
統括安全衛生責任者
元請事業者が選任します。
主に下記の業務などを行います。
- 協議組織の設置と運営
- 作業間の連絡と調整
- 作業場所の巡視
- 関係請負人が行う労働者の安全衛生のための教育に関する指導や援助
- その他労働災害を防止するために必要なこと
資格
選任された建設工事現場で、その事業を統括管理する者
元方安全衛生管理者
統括安全衛生責任者の統括管理すべき業務の実施について具体的に管理します。
統括安全衛生責任者の補佐などを主に行います。
資格
- 大学または高等専門学校で指定学科を修了したあと、3年以上安全衛生の実務経験を有する者(指定学科以外は5年)
- 高等学校で指定学科を修了したあと、5年以上安全衛生の実務経験を有する者(指定学科以外は8年)
- 建設工事現場で10年以上安全衛生の実務経験を有する者
など
安全衛生責任者
元請事業者が統括安全衛生責任者を選任しなければいけない現場で業務を行う下請け業者は、一事業者に一人、安全衛生責任者を選任する必要があります。
主に以下のような業務が仕事です。
- 統括安全衛生責任者との連絡
- 統括安全衛生責任者からの連絡を関係者に伝える
- 当該請負人に関するものの実施についての管理
など
資格
上記の職務が実施できる者。
店社安全衛生管理者
元請事業者は規模の大小にかかわらず、統括安全衛生管理を行う必要があります。
また統括安全衛生責任者の専任義務がない中規模の作業現場のうち、一定の工事では現場での統括安全衛生管理担当者の指導や援助を行います。
以下のような仕事があります。
- 最低でも月に1回、作業を行う場所の巡視を行う
- 労働者の作業の種類や実施状況を把握する
- 協議組織の会議へ参加する
- 元請業者が作成した作業の工程計画や機械・設備などの配置、計画通りに措置がなされているかの確認
資格
- 大学または高等専門学校を卒業したあと、3年以上安全衛生の実務経験を有する者
- 高等学校を卒業し後、5年以上安全衛生の実務経験を有する者
- 建設工事現場で8年以上安全衛生の実務経験を有する者
救護管理者
爆発火災などの事故が生じた際に、以下のような業務を行います。
- 労働者の救護に必要な機械などの管理
- 救護のための訓練
- その他救護に関して必要なことを行う
資格
次の資格を有していることが条件とされています。
- ずい道等の工事に関し、3年以上ずい道等建設の仕事に従事した経験を有する
- 圧気工法による工事に関し、3年以上圧気工法による仕事に従事した経験を有する
作業主任者
工事現場内での作業のうち、作業主任者の選任が義務付けられている場合に設置されます。
※出典: 一般財団法人中小建設業特別教育協会「建設現場の統括管理」
一般財団法人中小建設業特別教育協会「【2】安全衛生管理体制 2」
労働災害を防止するために定められた
建設業は重層構造となっており、元請事業者だけでなく関係請負事業者を含めた安全衛生活動を進めることが重要です。
そのため安全衛生管理体制が定められており、これに従う必要があるとされています。
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