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施工管理や現場監督の労災保険の給付内容7選|申請の流れとは?

更新日:2021年2月3日

労災保険とは

労災保険とは雇用されている立場の労働者が、業務上や通勤途中に怪我や疾病を患った際に保険を給付し、労働者やその遺族を守ための社会制度です。

労災保険の補償対象になると、療養の費用の自己負担がなくなるほか、休業時の手当も健康保険で給付される傷病手当金よりも手厚い補償が給付されます。

労災保険は雇用形態に関わらず1人でも労働者を雇用した場合に、会社は必ず労災保険に加入しなければならず、保険料は事業主が負担します。

加入する条件

労働者を1人以上雇ったときには、原則として労災には加入しなければいけません。手続きは所管の労働基準監督署で行います。正社員、アルバイト、パートなどの雇用する形態に関わりなく、1人でも労働者を雇った場合に課せられる会社への義務ですので注意しましょう。

労災保険は、雇用保険とまとめて労働保険といいます。雇用保険は雇用形態に関わらず31日以上の雇用見込みがあり、週労働時間が20時間を超える労働者を雇い入れる際に加入させる義務が生じます。

保険未加入は違法

労災は労働者を1人でも雇い入れた場合に、勤務時間や勤務形態に関わりなく加入しなければいけない強制加入の保険です。労災保険に未加入の場合、労働基準法違反となり、未加入の会社には当然ペナルティがあります。

遡っての労働保険料の徴収のほか、追徴金の徴収、労働者に支払われる労災給付金の費用の徴収などが罰則として決められています。

補償の内容

労働災害にあった場合の補償内容は、業務上によるものと通勤によるものに手続きがわけられます。提出する様式や給付名は違いますが、補償内容や算定基準には違いがありません。いずれも所管の労働基準監督署に書類を提出します。

補償の内容は「治療に関すること」「障害が残った場合」「怪我が長期間治らない場合」「被災労働者が亡くなった時の遺族へ」「休業期間」に補償金が受けられます。

業務によるもの

事業主の支配、管理下にて作業している際に生じた災害による怪我や疾病に関して労災が給付されます。疾病は、業務についていたときに発症したものではなく、業務上、発症に起因する有害因子に曝露されたことにより発症した疾病について補償されます。

補償の内容は治療に関すること、障害が残った場合、仕事を休んだ時の休業補償、被災者が亡くなった時の遺族への補償などの補償金が給付されます。

通勤によるもの

労働者が就業場所と家の往復や単身赴任先から帰省先への往復などで事故などの災害にあった場合に認定されます。ただし、「合理的な経路及び方法」に準じていなければいけません。合理的な経路とは一般的に認められている経路及び方法となります。

通勤によるものは「社会的な危険」に起因する怪我という認識なので、「補償」という言葉を使わずに「給付」となります。

業務上の労災とは給付内容の相違はなく、治療にかかるもの、障害が残った場合、仕事を休まざるを得ない場合、被災者が亡くなった場合の補償を行います。

労災保険の認定基準とは

労災保険の認定基準は「業務遂行性」と「業務起因性」に基づきます。業務遂行性とは事業主の指揮・命令のもとに就労しており通常予想される行為をしているときに負った怪我などを言います。

就業時間に就業場所での作業や就業前の準備、終業後の後始末をしているとき、生理的な必要行為で作業を中断しているときも「業務を遂行している」ことになります。

業務起因性は、業務についているときに発生した、ということを表します。「この業務をしていればこの怪我や疾病の危険性があった」と認められる場合のことです。

例え、業務中であっても、私的行為を行なっていた場合や故意に災害を発生させた場合には労災は適用されません。

業務災害補償保険の認可と非認可

業務災害の補償保険の認可は、事業主の支配下、管理下によって起こった災害によって負傷や疾病に罹患したときに認められます。

仕事と関係ない私的な行為や業務逸脱行為がない場合、または施設や管理上の欠陥があった場合に認可されます。

就業中であっても、労働者が故意に災害を発生させた場合や、個人的な恨みなどにより第三者に暴行等を受けた場合、業務中に業務とは全く関係のない行為を行なっていた時などの災害による怪我などは労災と認められません。

通勤災害補償保険の認可と非認可

通勤災害は就業場所と家の往復などの移動中に被った怪我などを言います。認可されるのは「就業と関連性があるもの」「合理的な経路及び方法」上であり、業務の性質を除くものとされます。合理的な経路とは、一般的に使う経路と認められた経路のことを言います。

業務に関係のない移動、経路から逸脱したり、中断したりしたその間の移動は労災と認められません。

ただし、厚労省が定めるやむを得ないことで、最小限であることは「通勤中」としてカウントされ、労災が認められます。

施工管理や現場監督の労災保険の給付内容7選

施工管理や現場監督であっても現場に出る以上、業務災害の危険性はあります。施工管理士や現場監督は、現場の安全管理も担っているため、労災を起こさないために安全配慮を怠らないように気をつけましょう。

安全配慮義務を怠ると、安全配慮義務違反として損害賠償が発生する場合もあります。まずは労災を起こさないことを念頭に置いて、さらに労災の給付内容についても頭に入れておきましょう。

労災保険の給付内容1:療養補償給付

療養補償給付は、治療にかかる、病院代や薬代などを現物支給します。労災保険指定医療機関や薬局等などでの治療や薬代などの支払いがありません。労災指定病院以外の病院を受診した場合にはその費用を現物支給します。

療養補償給付は、治療費、入院費、移送費、通院費など通常の治療にかかる費用を給付します。期間は怪我や疾病が治癒するまでです。

また、「治癒」と認められた後も、後遺症が認められる場合には「アフターケア」が実施されています。

労災保険の給付内容2:傷病補償年金

傷病補償年金は、労災によって負った怪我や疾病が療養開始から1年6ヶ月経過しても治らない場合や、厚労省が定める傷病等級に該当するときに支払われます。申請することにより、傷病特別支給金(一時金)、傷病特別年金の支給もあります。

ただし、傷病補償年金を受け取った場合、療養補償給付はそのまま支給されますが、休業補償給付は支給されません。

労災保険の給付内容3:介護補償給付

障害補償年金、または傷病補償年金の受給者のうち、障害、傷病等級が第1級の方、第2級のうち「精神、神経、胸腹部臓器の障害」をもち、現に介護を受けている方に支給されます。

有料の介護サービス、家族や親族、友人、知人などに介護を受けていることが支給条件で、病院へ入院していることや、老人介護施設などに入所している場合には該当しません。

労災保険の給付内容4:休業補償給付

労災の怪我や疾病が原因で働けなくなり、賃金を受けられなくなったときに給付されるのが休業補償給付です。

休業補償給付は、災害から第4日目から給付になります。3日目までは、「待機期間」といい、事業主が労働基準法に基づく休業補償を行わなければいけません。

休業が長期にわたる場合には、1ヶ月ごとの請求が一般的です。

労災保険の給付内容5:遺族補償給付

労災が原因で亡くなった労働者の遺族に対して支給されるのが遺族補償給付です。遺族補償給付には遺族補償年金と遺族補償一時金の2種類があり、いずれも、受給資格者のうち最先順位の受給権者に対し支給します。

遺族補償年金は、配偶者や子、親兄弟などに受給資格がありますが、妻以外は一定の年齢要件に該当しなければ受給資格を得ることができません。この場合、遺族補償一時金の給付となります。

労災保険の給付内容6:葬祭給付

労災によって労働者が亡くなった時、その葬祭をとりに行った人に対して葬祭料(葬祭給付)が給付されます。葬祭を行う遺族がなく、会社で葬祭を行なった場合には、会社に葬祭料が支給されます。

葬儀を執り行った人に給付されるため、遺族がいない場合には葬儀を執り行った友人、知人でも受け取ることができます。

労災保険の給付内容7:障害補償給付

労災で負った怪我や疾病によって、体に一定の障害が残った場合に支給されるのが障害補償給付です。

障害の程度に応じて、「障害補償年金」か「障害補償一時金」のどちらかが支給されます。

障害等級が1級から7級に該当なら、障害補償年金が、障害等級が8級から14級に該当するなら障害補償一時金が支給されます。

施工管理や現場監督の労災保険申請の流れ6選

労災が発生したときには、労災保険の請求を労働基準監督署宛に行います。ただし、休業4日未満の労働災害の休業補償は事業主の負担です。

労災は軽微な怪我であっても申請しなくてはいけません。

労災が発生したときには、事業主は労働基準法により遅滞なく「労働者死傷病報告」を労働基準監督署長へと提出します。これを忘れると、「労災かくし」とみなされ、刑事責任を問われることもあります。

労災保険申請の流れ1:病院で診断書をもらう

まずは病院で診察を受けます。診察を受けたときには医師からの診断書や証明書が申請に必要となります。

労災が発生した怪我を負った場合には、早めに会社に連絡を入れます。病院は労災指定病院であれば、手続きがスムーズです。診察の際には、「業務中」「通勤中」の怪我での労災であることを伝えましょう。

医師の証明が必要なのは「療養補償給付」「休業補償給付」で、それぞれの提出様式に医師の証明欄があるので、そこに病院名や医師の署名が必要です。

労災保険申請の流れ2:補償の内容に応じ請求書を入手

補償の内容に合わせた請求様式を入手します。様式は各所管労働基準監督署に備え付けてあります。また、厚生労働省のHPからもダウンロードできます。

傷病で労災指定病院を受診した場合には労災指定病院及び薬局に提出、労災指定病院以外の病院へかかった場合や、療養補償給付以外の請求書は所管の労働基準監督署に提出します。

労災保険申請の流れ3:請求書に必要事項の記入

請求書を入手したら必要事項を記入しましょう。記入の仕方は、厚生労働省のHPに「各補償給付の手続き」というリーフレットがあるのでそちらを参考にすると良いでしょう。

業務災害の場合には事業主の証明が必要となります。支店長など事業主の代理人がいるときには代理人の証明でも受理されます。

虚偽の内容は不正受給とみなされ、労災保険として受け取った費用の一部、また全額が徴収されてしまいますので、虚偽記載はしないようにしましょう。

労災保険申請の流れ4:労働基準監督署へ請求書と添付書類を提出

事業主からの証明や必要事項の記入が終わったら、記入した請求書を所管の労働基準監督署に提出しましょう。

療養補償給付を申請する際、労災指定病院での診察を受けたときには、提出は受診した病院です。ただし、療養補償給付を申請するとしても、指定以外の病院で診察を受けた場合には、提出先は病院ではなく、労働基準監督署になります。

労災保険病院での診察は、療養補償給付の現物支給となるため治療費がかかりません。しかし、それ以外の病院を受診したときには、まずは自分で医療費を全額負担する必要があります。

労災保険申請の流れ5:労働基準監督署が労災事故の調査・確認

労災請求を提出し、労働基準監督署による調査が行われます。事実確認や場合によっては聞き取り調査になることもあるでしょう。

労災かどうかの否認は労働基準監督署で行います。請求が受理されたと言っても「労災」に該当しているかというのは、調査が終わってからのことです。

労災保険申請の流れ6:労災保険の給付の決定

労災と認定されたときには受診した病院が労災指定病院の場合には、病院へ治療費が、それ以外の病院を受診していたときには請求書に記入した請求人の指定振込口座に治療費などが振り込まれます。

支給された金額に疑問がある場合には、病院や会社ではなく、労働基準監督署に問い合わせましょう。

施工管理や現場監督の労災保険で気を付けること4選

労災保険は給付に関して注意事項があります。建設業界で働く施工管理士や現場監督は、一般事業所とは労災の考え方の認識が少しだけ異なります。

一般的に企業や会社に課せられる労災保険料ですが、建設業界では「一現場一事業所」という考え方ですので、事故があった場合、労災保険料は現場の元請け企業が負担します。これは現場労災とも呼ばれます。

下請け会社の作業員であっても労災は元請けです。ただし、下請け企業の事業主や家族従業員、役員、一人親方の場合は労災が適用しません。そのため特別加入制度や一人親方の特別加入を受けます。

労災保険で気を付けること1:給付種類ごとに手続きの期限がある

労災申請には「時効」が存在します。療養補償給付の場合には、療養の費用を支出した日の翌日から2年が時効です。そのほかにも、2年から5年の時効が設定されています。

ただし、傷病補償給付は、監督署長の職権により移行されるために請求時効はありません。

労災保険で気を付けること2:職業によっては任意加入が認められる

基本的に従業員が1人でもいる場合の雇用形態がどんな形であれ、労災保険に加入しなければいけません。しかし、農林水産業のうち労働保険に加入するかどうかを、事業主やその事業所に使用されている労働者の過半数の意思に任されている事業所があります。

農業で「個人経営で勝つ労働者が5人未満、危険・有害作業を伴わない事業」や「常時使用する労働者ではなく、年間使用労働者が300人未満の個人林業」、「労働者数5人未満で個人経営の畜産、養蚕、水産業」が暫定任意適用事業所です。

労災保険で気を付けること3:労災補償保険の給付と公的年金の併給調整

労災保険には年金として受け取るものもあります。障害補償給付や遺族補償給付などです。これらの補償給付年金は調整され、全額を受け取ることができません。

これは、受け取る年金額が、被災前に支給されていた給与よりも高額にならないための調整です。また、雇用保険は事業主が全額負担、厚生年金は事業主が半額負担であることから、事業主の二重負担という問題が生じます。

労災保険で気を付けること4:休業3日目までは会社側が休業費用の6割を支払う

休業補償給付は、労働災害で受傷した日から第4日目からの給付です。3日目までは待機期間と言って、事業主は被災した従業員に対して休業補償をする義務を負います。

これは労働基準法にて定められており、この期間の賃金は平均賃金の6割を支払います。待機期間は、療養により労働することができなければ、所定休日に関係なく日数でカウントします。

また、通勤災害の場合には事業主に休業補償の義務は課せられません。

施工管理や現場監督の労災保険が認定されなかった場合の対処法5選

労災の認定は労働基準監督署で行われます。労災を申請すると労働基準監督署からの調査が入ります。これにより、労災かどうかが判定されますが、業務との因果関係が不明として認定されない場合もあります。

また、企業が労災と認めない場合もあります。労災の手続きには事業主の証明が必要な書類が多いため、困ってしまう事態になります。もちろん、事業主の証明がなくとも手続きは可能ですが、スムーズな手続きは望めません。

どちらにせよ、労災を申請するために、業務内容と怪我や疾病の因果関係がわかる証拠を集めましょう。

認定されなかった場合の対処法1:弁護士に相談する

労災の認定が下されなかった場合は、まず弁護士に相談しましょう。労働基準監督署の決定に不服があったときには、不服申し立てとして審査請求や再審査請求を行わせることができます。不服申し立ては認定が下されなかった日から60日以内です。

できるだけスムーズな解決を目指すため、業務と怪我の因果関係がわかるような証拠を用意しましょう。

認定されなかった場合の対処法2:医師に意見書等を作成してもらう

認定されなかった場合には、証拠書類として医師の意見書を作成してもらいましょう。怪我や疾病が、業務上の動作や作業環境が要因であるということを医学的にも証明できます。

そのため、医師にはどのような環境、状態でその怪我や疾病を負ったのかを説明しましょう。

認定されなかった場合の対処法3:労働基準監督署に3ヶ月以内に不服申立をする

労働基準監督署に申請したものの、労災と認められない場合もあります。その結果に納得がいかない場合には、その結果が出た日から起因して3ヶ月以内であれば不服申し立てができます。

認定されなかった場合の対処法4:再審査請求をする

不服申し立てを行なって3ヶ月立っても結果が出ないときには、次のステップである再審査請求に進みましょう。

不服申し立ては労働者災害保険審査官へ審査請求を行いますが、再審査請求は労働保険審査会へ申し立てます。

認定されなかった場合の対処法5:傷病の原因事実の資料を収集する

業務上の事故や災害、環境によって怪我や疾病を患ってしまった時には、まず因果関係がわかる証拠を揃えましょう。

労災申請するときに、業務との因果関係がわかるものを添付することで労災の判定も早くなります。特に「働きすぎ」「うつ」「過労死」などは調査に時間を要します。そのため、有効な証拠を集めましょう。

施工管理や現場監督の労災保険の内容を理解しよう

労災は事業主に加入の義務があります。建設業界では、下請け業者と元請業者を一体と見做し、現場の労災の保険料は下請け業者の分も元請け業者が担います。これを現場労災と言います。

労働災害が発生した場合には、元請け会社は労災を申請しなければいけません。ただし、下請け業者の事業主や役員、一人親方は労災の補償が受けられないため、特別加入制度を利用し、補償を受けます。

労災の仕組みをきちんと知ることで、災害が起こった場合の対処が柔軟できますので、内容をよく理解しておきましょう。

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