有効求人倍率とは
有効求人倍率とは、求職者1人に対する求人数の割合を表したものです。求人数を求職者で割ることで有効求人倍率が算出されます。
有効求人倍率が1以上だった場合は、1人の求職者に対して1件以上の求人があることになり、この場合、労働者が不足している状況なので、求職者にとって有利な状況と言えます。
また、有効求人倍率は国内景気と連動していることからも、景気判断指数として用いられることがあります。
求人倍率の算出方法とは
有効求人倍率とは、月間有効求人数を月間有効求職者数で割ることで算出します。注意が必要なのは、求人数及び求職者数共に、全国ハローワークに登録された人数及び件数が対象になっているということです。
また、求人倍率には有効求人倍率のほかに「新規求人倍率」があります。新規求人倍率とは、当月のみの求人数及び求職者数で算出されます。一方、有効求人倍率は有効期限内(2か月間)の求人数及び求職者数算出されます。
有効求人倍率と新規求人倍率の違う点は、算出期間です。
有効求職者数
有効求職者数について説明します。
有効求職者数とは、全国のハローワーク(公共職業安定)に登録された、当月の新規求職数と前月から繰り越された求職者数の合計で表されます。
なお、ハローワークへの届け出がない求職者数は含まれていません。
有効求人数
一方の有効求人数とは、全国のハローワークに登録された各企業からの求人数の合計です。
算出期間は有効求職者数同様に、当月の新規求人数に前月から繰り越された求人数を足した数字となっています。
有効求人数、有効求職者数及び有効求人倍率それぞれの意味を知ることで、後述のポイントについて理解を深めましょう。
有効求人倍率の見方3つのポイント
ここからは、有効求人倍率の見方について説明します。
有効求人倍率の見方のポイントは、正社員に限定されていないこと、全ての数が反映されていないこと及び業種や職種別の有効求人倍率の見方についてです。
また、報道発表される有効求人倍率は日本国内の平均値であることから、都道府県によって異なることに注意が必要です。
有効求人倍率の見方1:正社員に限定されていない
有効求人倍率がニュースなどで報道される際、対象となるのはパートを含めた倍率であり、正社員に限定されていないことに注意しましょう。さらに、ハローワークに登録された情報以外は反映されていません。
なお、厚生労働省が発表する一般職業紹介状況には、4か月以上から無期限の雇用契約(正社員やパートも含む)である「常用」や、雇用契約期間1か月以上4か月未満の雇用契約である「臨時」など区分が分かれています。
有効求人倍率の見方2:全ての数が反映されていない
また、すでに紹介したとおり、有効求人倍率は全国のハローワークに登録された数字が反映していることから、国内全ての求人数及び求職者数が反映されていません。
つまり、ハローワークに登録していない求職者や、転職情報誌や転職サイトに掲載されている求人数は含まれていないので、報道される有効求人倍率とはあくまでも目安として捉える必要があります。
有効求人倍率の見方3:業種や職種別の有効求人倍率も確認
有効求人倍率は、すべての業種における平均値と捉えがちですが、業種や職種別の有効求人倍率も発表されています。
建設業、製造業、情報通信業及び運輸業など業種別に発表されているほか、新規学卒者を除く人数による規模別にも分類されています。
上記業種はさらに細分化されており、製造業であれば食料品製造業、化学工業及び金属製品製造業などに分けられています。
人材採用への有効求人倍率の活用方法3選
ここでは、人材採用における有効求人倍率の活用方法についてまとめました。
有効求人倍率から労働市場の景気が判断できること、エリアの労働力の使用として活かすこと及び有効求人倍率の高さに応じた採用活動の内容を考えることの3つです。
各企業の採用担当者の方は、ポイントを押さえることで円滑な人材採用の参考にしてください。
人材採用への有効求人倍率の活用方法1:労働市場の景気を判断できる
有効求人倍率は、労働市場の景気を計る指標とも言われています。
前述の有効求人倍率の見方3で触れたとおり、発表される資料では業種が細分化されていることから、自社を取り巻く求人状況が把握できます。有効求人倍率を参考に労働市場を分析することで、自社の採用基準等を決める判断材料として活用できます。
人材採用への有効求人倍率の活用方法2:エリアの労働力の指標として活かす
また、有効求人倍率は日本全体の平均値ではなく、都道府県別に発表されています。
都道府県別、さらには業種別に細かく労働力を把握できることから、各エリアにおける採用人数を調整することで、円滑な企業運営に役立てることが可能です。
人材採用への有効求人倍率の活用方法3:倍率の高さで採用活動の内容を考える
最後は、有効求人倍率の高さにより採用基準を変化させることについてです。
有効求人倍数が1より高い場合は、求人数に対して求職者が多い状態です。つまり、労働力が不足しており、売り手市場の状況であることが分かります。
この状況であれば、従来の採用基準を下げるなど、求職者にとって好条件を提示しなくては、求職者からの応募が集まりにくくなります。
このように、有効求人倍率を参考にすることで、採用基準を定める方法もあります。
近年の有効求人倍率とは
厚生労働省が発表する近年の有効求人倍率を見ると、2019年12月に発表された1.57倍以降、毎月低下しており、最新の2020年9月に発表された数値は1.03倍となっています。この現状は、2020年1月以降は就職及び転職が困難であることを示しています。
新型コロナ感染拡大に伴い、有効求人倍率と国内景気の低迷が連動していることが示されています。
近年の完全失業率
総務省統計局では完全失業率を毎月発表しています。完全失業率とは、労働人口に占める完全失業者の割合を表しています。有効求人倍率同様に、完全失業率は雇用情勢や経済情勢を反映する指標と言われています。
2020年9月に発表された完全失業率は、前月同様の3.0%でした。完全失業率が3%台になるのは2017年5月以来のことであり、有効求人倍率同様に雇用情勢や経済情勢が低下していることを示しています。
有効求人倍率を活かして人材を採用しよう
これまで紹介したとおり、現状では求職者数よりも求人数が上回っていますが、有効求人倍率は低下局面に突入していることが明らかです。
こうした局面において、各企業が必要とする人材を確保するためには、景気動向、雇用情勢に加えて有効求人倍率を考慮したうえでの求人活動が必要となります。
現状では売り手市場であることからも、多くの人が職を求めています。有効求人倍率を考慮しながら採用基準を変更するなど、雇用情勢に応じた採用体制を取ることで必要とする人材確保を実現しましょう。
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