解体業に必要な許可・登録とは?解体業で資格が必要な作業5つも紹介

安全管理 2021.03.25 2022.12.21
解体業に必要な許可・登録とは?解体業で資格が必要な作業5つも紹介

解体業とは


解体業とは建設工事に分類される業務で、建築物やそれに付随する構築物の一部または全部を取り壊す専門業者です。

建設工事の種類では「解体工事業」として専門工事に区分されます。建設や修繕、改築するための解体は建築一式工事や土木一式工事として扱います。

解体業は現場で家屋などの解体を行い、廃棄物の運搬は含まれません。

解体業に必要な許可・登録2つ


解体業を始める前には、建設業許可または解体工事業登録を行います。

解体工事業登録をしていれば、建設業許可がなくても解体工事は可能です。しかし、建築物や工作物を解体または解体を含む建設工事の請負金額が500万円(税込)以上を施工する場合は、建設業許可が必要となります。

建設業許可は建設業法、解体工事業登録は建設リサイクル法に基づく許認可です。

出典:解体工事業とは?|一般社団法人 東京建物解体協会ホームページ
参照:https://kaitai-kyokai.com/dismantling/

1:建設業許可

建設業許可とは、建設工事を請け負って営業するための許可です。

2つ以上の都道府県に営業所を設置する場合は国土交通大臣、1つの都道府県内だけで営業する場合は該当する都道府県知事が許可します。建設業許可は有効期限があり、5年ごとに更新します。

解体業を営むためには、解体工事業以外、土木一式工事、建築一式工事、とび・コンクリート工事業のいずれかの建設業許可が必要です。

2:解体工事業登録

解体工事業登録とは、建設業許可を保有しない場合でも解体工事ができる登録制度です。

ただし、請負える工事の金額は500万円(税込)未満に限定されます。建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)に基づく規定です。営業所や施工する工事現場ごとに必要な標識、帳簿の記載や保存も定められています。

小規模な解体専門業が多く登録しています。

出典:建設リサイクル法 質疑応答集(案)|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/qanda/qanda2.pdf

解体工事業登録に関する要件3つ


解体工事業登録を行うための要件は、都道府県知事への申請と技術管理者の配置などです。

建設業許可を持たない事業者が解体業を行うために申請します。廃棄物の不法投棄などが社会問題となり、導入された経緯があるため、登録に際して技術管理者の配置や欠格要件に抵触しないなどの条件も含まれます。

1:都道府県ごとに受ける

解体工事業の登録は、工事を施工する都道府県ごとに申請が必要です。

申請書に記載する内容は、商号(屋号)などの会社名や個人の場合は氏名、住所、営業所の名称と所在地などです。複数の都道府県で施工する時は管轄ごとに申請しますが、営業所の設置は不要です。

登録は5年ごとの更新となります。解体工事業の登録業者が、建築一式や土木一式、とび工事の建設業許可を得た場合は、許可が重複するため失効します。

2:技術管理者の配置

解体工事の現場には、常勤の技術管理者を配置しなければなりません。

技術管理者は適切な廃棄物処理と、建設リサイクル法に則した施工管理が目的です。

要件は解体工事に8年以上の実務経験を有する人で、学歴により実務経験が短縮されます。施工技士や施工管理技士、建築士、とび・とび工技能検定合格者、社団法人全国解体工事業団体連合会主催の「解体工事施工技士」試験合格者が該当者です。

3:欠格要件に該当しないようにする

解体工事業登録を行う際、要件を満たさない欠格要件の場合は登録できません。

欠格要件は解体工事業の登録取り消しから2年未満や業務停止命令期間が経過していないなどです。建設リサイクル法で罰金刑以上の違反後、2年以内の場合も対象で、法人と役員が該当します。

技術管理者を選定していない場合も欠格要件にあたります。虚偽の申請を行った場合や、変更後の届けを怠った場合も同様です。

出典:建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 第二十四条 第三十五条|e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=412AC0000000104_20160601_426AC0000000055#Mp-At_21-Pr_2

解体業で資格が必要な作業5つ


解体作業は、資格や技能講習または特別講習の受講が義務付けのものもあります。

作業員などに必要な資格は、作業主任者が直接作業指示する作業、作業指揮者が直接指揮する作業、技能講習の受講者が行う作業、特別講習の受講者が行う作業の4種類です。

更新期間が定められている資格や講習もあります。会社は作業員に対して、適切な時期に更新するように指導します。

1:鉄骨造建築物や足場の組立て

高さ5m以上の足場の組立て、鉄骨造建築物や鉄塔の解体を行う場合は、それぞれ作業主任者が直接作業を指示します。

作業主任者は、労働安全衛生法に基づき労働災害を防ぐための管理を行います。3年以上の実務経験があれば受講可能です。2日間の日程で、作業方法や関係法令を受講し、修了試験を受けます。各科目40%以上で全科目合計60点以上が合格です。

受講に必要な実務経験の証明書類は、事業所が作成します。

2:アセチレン溶接装置での溶接

アセチレン溶接装置での溶接には、ガス溶接作業主任者資格が必要です。

ガス溶接作業主任者は、金属の溶接や溶断作業を行う際に作業方法の決定を行い、指揮します。試験はアセチレン溶接装置以外にガス集合溶接装置に関する内容も出題されます。

合格後は登録が必要ですので、適宜声掛けして登録も完了させましょう。受験や登録は事業所側から積極的に働きかけて、取得しやすい環境と雰囲気を作ることをおすすめします。

3:車両系建設機械の運転

車両系建設機械の運転などにも作業指揮者の選任や技能講習の受講が規定されています。

解体作業で使用する3t以上のトラクターショベルやブルドーザーは、運転技能講習を受講します。3t未満の建設車両やブレーカーユニットを装着した場合は別メニューの講習です。

作業指揮者の選任が必要な車両系建設機械のアタッチメントの装着や修理は、国家資格の建設施工技士が事業所内での特定自主検査資格も得られるため、有効です。

4:アスベストの取扱い

解体作業でのアスベストの取扱いは、石綿作業主任者技能講習の修了者から作業主任者を選任する規定に従います。

石綿作業主任者技能講習は、2006年に特定化学物質用作業主任者から独立しました。アスベストの健康被害を予防する措置や作業の改善方法、保護具に関する知識、関係法令を学びます。講習後の修了試験合格者に修了証が交付されます。

働きやすい環境整備のため、複数人が取得すると良いでしょう。

5:小型クレーンの運転

解体作業で必要な移動式小型クレーンの運転は、5t未満の場合クレーン運転士免許が不要で講習受講者でも操作可能です。

講義内容は、学科と実技です。つり上げ荷重が1t未満は、移動式クレーン運転特別教育修了者が操作できます。

この他、玉掛け作業や高所作業車の操作など、解体業には多くの技能講習や特別教育の受講、作業主任者の配置が義務付けの作業があります。

解体業に必要な許可と登録の違い


解体業に必要な建設業許可があれば、請負金額に関係なく受注できますが、登録だけでは受注金額が限定されます。

建設業許可は請負金額の制限はありませんが、経営規模が小さい業者や県境近くで複数県が営業範囲の業者には、準備書類が多く申請手続きも負担が大きいです。

新規立ち上げは解体工事業登録から始めて、施工実績や従業員の資格、経営規模の拡充が図れた段階で建設業許可の取得が現実的です。

解体業に必要な許可・登録を知ろう


解体業には、該当する建設業許可や解体工事業登録が必要です。

小規模事業者は解体工事業登録、建設業の実績があって該当資格を有しない場合は、解体工事の建設業許可を取得します。技術管理者や作業員に求められる資格が多いため、採用だけでなく取得の後押しも会社の責務です。

自社の規模に応じた解体業に必要な許可や登録を行いましょう。


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