建設業界でのERPとは
ERPとは、会計・人事・生産管理などの業務やさまざまな資料をまとめて、統合するためのシステムです。ERPは「業務統合パッケージ」や「統合基幹業務システム」などと呼ばれています。
建築業界では1つの工事に数年間かかることが多いので、1年を通して計算する一般的な制度では対応できない場合もあります。建設業界でERPを取り入れる場合は、独特の経理方法である「建築業会計」会計処理に対応している必要があります。
建設業界でERPを導入するメリット6つ
ERPを利用すれば情報を一か所に集めて管理できるので、経営管理の中枢を担うシステムとして建設業界以外でもさまざまな業界で導入されています。多くの業界で取り入れられているということは、それだけメリットが大きいと言えます。
では、建設業界でERPを導入するとどのようなメリットがあるのか、考えられる6つのメリットについて見ていきましょう。
1:多くの情報を一元化することができる
ERPを導入すると、多くの情報を一元化することができます。情報がばらばらに存在していると、必要な時に活用できません。そこで、ばらばらの情報を一か所に集めておくと、把握しやすくなります。
情報のある場所がわかりやすければ必要な時にすぐに活用できますし、タイムリーに企業の状況を把握することが可能です。それを元に、経営や工事の計画を立てられるので、便利です。
2:社内の情報をモニタリングすることができる
ERPを活用すれば、社内の情報をモニタリングすることもできます。ERPを導入すれば、通常部署ごとに管理しているデータを統合データベースに集めて一か所で保管できます。
必要な情報はすぐにそこから取り出せ、各部署のデータもシステムによって連携されるので、リアルタイムで確認可能です。リアルタイムで情報が更新されるので、社内の情報がモニタリングしやすくなります。
3:内部統制を強化することができる
ERPを導入すると、内部統制を強化することもできます。各部署や各部門ごとに社内の情報を管理している場合、情報の抜けや漏れ・不正などが起こる可能性もあります。企業が大きくなって情報を管理する部署が増えると、より情報の管理は重要になります。
ERPを導入して社内の情報がモニタリングできるようになると、情報の抜けや不正などが起こりにくくなるため、内部統制の強化につながるのです。
4:業務のスピードが上がる
建設業界でERPを導入すると、業務のスピードが上がります。建設業界では、一般の企業にはない工事・建設会計・資材などの管理も求められます。これらの管理方法が違うと、部署ごとの入力が必要です。
部署ごとに入力をすると時間がかかり、データの不一致・情報の重複などの問題も起こりがちです。データが必要な場合にもすぐに用意できず、データの入手に時間がかかるケースもありますが、ERPを導入すれば解決できます。
5:運用負担を軽減することができる
ERPを導入すると、運用負担の軽減も可能です。
ERPによって情報が一つに統合されるので、これまでに運用保守作業に必要とされていた工数を減らせるので、担当者の運用負担の軽減に役立ちます。自社にサーバーがある場合にはスキルを持った専任者も必要ですが、適任者が見つからないという問題の解決もできます。
負担が軽減されて余裕ができれば、別の業務に空いた時間が充てられるので、より効率よく業務が行えます。
6:ITのコストを削減することができる
建設業界でERPを導入すると、ITのコストの削減も可能です。建築業界では、一般的な企業にはない特殊な業務が多く見られます。自社の業務に合わせて自社でシステム開発を行えば、ぴったりのものができます。しかし、システムの構築にはコストも時間も必要です。
既存の建設業界の業務に対応できるERPシステムを導入すれば、必要な機能は揃っています。それを元にシステムをカスタマイズすれば、コストも時間も削減可能です。
建設業界でERPを導入する時の注意点
ERPを導入すれば様々な業務や資料をまとめて管理できるので、とても便利です。ですが、便利な反面、知っておきたい注意点もあります。ERPの注意点も理解したうえで導入を検討すると、システムをより上手に利用できます。
そこで、建設業界でERPを導入する時の注意点について、詳しく確認しましょう。
セキュリティ面に気をつけておく
建設業界でERPを導入する際には、セキュリティ面に対する注意が必要です。ERPをクラウドにすると、社外に経営に関しての重要なデータがすべて置かれることになります。サーバー攻撃によって、ベンダーから企業情報が流出したケースも実際にあるので、気を付けたいところです。
ERPを導入するなら、セキュリティへの意識が高いものを選ぶようにしましょう。
パッケージ選定が困難である
ERPは会社の核を担うシステムなので、パッケージ選定を慎重に行う必要があります。
パッケージを選定する準備として、現行の業務整理と、部署内にヒアリングをしたうえでの課題の洗い出しをしておく必要があります。その課題を元にして、優先度を決めたり必要なシステムを選んだりなど、細かく用件を決めておくことが必要です。
準備ができたら、条件に合っていて、セキュリティ面でも信頼が置けるベンダーを探しましょう。
建設業界でERPを選ぶ時のポイント3つ
建設業界には一般の企業では見られない業務もあるので、ERPを選ぶ際には他の企業にはない注意点があります。
建設業界特有のERPかどうかを確認して導入するなど、注意したいポイントについて具体的に見ていきましょう。
1:建設業界特有のERPであるかを確認する
建築業界では1つの工事に数年間かかるケースも多いので、1年間で計算する一般的な商業簿記や工業簿記では対応できません。そのため、独特の「建築業会計」と呼ばれる経理方法が取り入れられています。
ERP自体はさまざまな業界で導入されているので、建設業界で利用するなら「建築業会計」に対応できなければいけません。そのため、建設業特有のERPであるかを確認してから導入する必要があるのです。
2:使いやすさを確認する
ERPは選ぶパッケージによって搭載されている機能が違うので、自社にとって使いやすい機能が搭載されているかを確認してから選ぶ必要があります。必要な機能はあるか、使わない機能が多すぎることはないかを確認したうえで、パッケージを選びましょう。
長期にわたって利用するものなので、導入する際には予算も検討する必要があります。高すぎると維持できないので、無理のないものを選ぶことも重要です。
3:カスタマイズ性が高いかどうか確認する
ERPを導入するなら、カスタマイズ性が高いかどうかを確認しましょう。ERPのカスタマイズとは、システム機能に変更を加えて自社の業務に合うようにすることです。
ERPはもともと汎用性が高い製品で、多くの企業にとって使いやすいように作られています。建設業界の業務は一般企業にはないものも多いので、機能が足りない場合もあります。そのため、自由にカスタマイズできるタイプのパッケージが向いているのです。
建設業界でERPを導入するメリットを把握しよう
会計・人事・生産管理などの業務やさまざまな資料をまとめて統合するためのシステムであるERPを導入すると、多くの情報の一元化ができたり業務スピードを上げたりなどのメリットが期待できます。
建設業界の業務には一般の企業にはない独特のものがあるので、導入の際には自社に合う機能を持つものやカスタマイズしやすいものを導入すると便利です。建設業界でERPを導入するメリットを把握して、便利に利用しましょう。
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