採用マーケティングとは
最近「採用マーケティング」という言葉を耳にする機会が増えてきました。この採用マーケティングとは、マーケティングにおけるステップや考え方を採用活動に当てはめたものです。昨今の採用難においては、新たな概念として採用マーケティングが各社で定着しつつあります。
施工管理や現場監督の採用においても、人材不足が続いています。そのような中では、これまで取り組んだことの無いような新たな手法も柔軟に取り入れていく必要があります。
この記事では新たな採用マーケティングの手法から、取り入れるメリット、またフレームワークまで詳しく紹介していきます。
採用マーケティングの現状
新たな手法としての採用マーケティングが注目されるようになった背景には、どのような状況があるのでしょうか。「採用活動の多様化」「WEB媒体の発展」「人材不足」といったそれぞれの要因別に見ていきましょう。
採用活動の多様化
以前は採用手法といっても限られていましたが、インターネットが普及し、広がるなかで、採用の施策や手法も多様化してきました。
これまでは求人媒体や紹介会社に頼ることも多くありましたが、自社でSNSを活用したりリファラル採用を取り入れたりする企業が増えてきたことも事実です。
新卒・中途にかかわらず、自社採用の仕組みを確立するためにも、採用マーケティングのノウハウが社内に求められるようになってきたのです。
WEB媒体の発展
WEB媒体についても、以前は大手ナビサイトくらいしかなかったところが、現在はあらゆるチャネルができています。
ダイレクトリクルーティングのサイトや特化型のナビサイト、さらにSNSや口コミサイトなど、求職者が必要な情報を自分で探して選べるようになってきたということも大きな変化の一つです。
人材不足
今の日本は少子高齢化がますます進み、労働人口も減少傾向にあります。もちろんオートメーション化やAI活用も注目されていますが、それでも運用する「人」は必要不可欠ということで各社がしのぎを削って人材確保に動いています。
これまでは従来通りの施策で難なく採用ができていた企業でさえ、採用が難しくなってくる時代がすぐそこまで来ているのです。
今までの採用マーケティング3つ
では、これまではどのような採用手法が一般的だったのでしょうか。既存の採用手法についても把握しておきましょう。
そのうえで、新たな採用マーケティング戦略や手法を知り、何が自社採用に適切なのかを見極めてください。
採用マーケティング1:フリーペーパー
いわゆる「求人情報誌」です。以前はコンビニの入口や駅の改札横など、あらゆる場所で見られましたが、年々発行部数は減ってきています。手元のスマホで求人を探せるようになった今、わざわざフリーペーパーを手に取る人が少なくなっているからでしょう。
そうは言っても、スマホになじみのない世代や、エリア限定でじっくり比較検討したい主婦層やシルバー層には依然として人気が高いことも事実です。自社の求人のターゲットに合わせて選べるようにしておきましょう。
採用マーケティング2:求人サイト
求人サイトは新卒採用・中途採用ともに利用する企業が多い媒体の一つです。近年は大手ナビサイトに限らず、Wantedlyのような新興サイトも増えています。
サイトそれぞれに特徴や得意分野が異なるため、自社の募集に合わせて適切なサイトを選べるようにしたいものです。
採用マーケティング3:ハローワーク
もちろん、職業安定所つまりハローワークでも求人情報は扱っています。無料で掲載できるため、費用をかけずにまず情報を載せたいという企業には向いているでしょう。ただし、ターゲットを指定することは原則できないため、あらゆる人からの応募があることが想定されます。
逆に、掲載しても何の反応もないことも多く、載せる手間を考えると非効率だと判断される場合も少なくありません。
施工管理や現場監督の採用マーケティングに必要なツール3選
上記のような既存の施策ではなかなか採用が上手くいかない、という悩みはどのように解消したらよいのでしょうか。ここでは、施工管理や現場監督を募集する際におすすめしたい採用マーケティングのツールを3つ紹介します。
ターゲットの潜在求職者に対し認知・興味を上げ、そこから入社・定着につなげていくためのファネルを強固にするために、新たな手法もぜひチェックしてみてください。
採用マーケティングツール1:ペイドメディア
ペイドメディアはいわゆる広告です。次で紹介するオウンドメディアやアーンドメディアをより見られるようにするために、近年は自社で広告を出稿する企業が増えています。
以前は広告というと求人媒体側やエージェント側でやることが主流でしたが、自社で広告を活用することで、採用ブランディングにつなげることも可能になりました。
採用マーケティングツール2:オウンドメディア
オウンドメディアは、自社のことを理解できる情報が掲載されたメディアのことです。自社採用サイトが一般的でしょう。ナビサイトが主流の時代にはそこまで注目されていませんでしたが、自社採用をしていくためには必須のツールだと言えます。
採用サイトがない、あっても古いままになっている、スマホ対応していない、という場合は求職者のニーズに合っていない可能性が高いため、見直しをおすすめします。
採用マーケティングツール3:アーンドメディア
アーンドメディアは、第三者の声、つまり口コミといった情報です。近年は採用専用のSNSアカウントを作る企業も増えてきました。
オウンドメディアに書いてある情報が本当だ、ということをリアルに感じてもらい、第三者の声を通して広めてもらうことが信頼度の向上につながります。
施工管理や現場監督の採用において採用マーケティングを活用するメリット5選
それでは施工管理や現場監督の採用においても、採用マーケティングを活用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは「採用コストの削減」「マッチ度が高い人材の獲得」「自社文化の理解」「潜在層のファン獲得」「長期的な人材確保」といったキーワードを交え、紹介します。
採用マーケティングのメリット1:採用コストの削減
まず第一のメリットは、採用コストを削減しやすいという点です。毎年求人が出るたびにナビに掲載し、エージェントに紹介料を払い、イベントに出展していては多額の費用が掛かります。
その点、採用マーケティングをうまく活用すれば、複数年度使える自社採用サイトとSNSマーケティングで人を集められるようになる場合もあるため、1人あたりの採用コストをぐっと抑えられる可能性が高くなります。
採用マーケティングのメリット2:自社とマッチ度の高い人材を獲得
また、自社採用サイトやSNSなどで積極的に情報開示をして採用に結び付けた場合だと、求職者の自社理解が高い状態で採用に繋げられるということもメリットです。
求職者もよく分かっていない状態でエントリーしてしまうと、途中での辞退になってしまいます。それを防ぐ効果が、新たな採用マーケティング手法にはあります。
採用マーケティングのメリット3:自社の文化を認知した潜在層のファン獲得
継続的に自社の情報との接点を作っていれば、その分自社の社風や文化を知ったうえで応募をする求職者も多くなります。
また、そうした社風に魅力を感じて応募につながる潜在層もいるため、入社後の定着率が上がりやすいということも言えるでしょう。
採用マーケティングのメリット4:自社の魅力をアプローチし顕在層のファン獲得
大手ナビサイトや自社採用サイトだけだと、そもそもそれらを知らない人には情報が届かない可能性があります。そこでアーンドメディアやペイドメディアを有効活用することで、それまで自社のことを認知していなかった潜在層の求職者にも魅力を伝えられるようになります。
さらにターゲットを明確にして狙うことで、費用を抑えつつ有効なアプローチもできるため、中小企業にこそ向いている施策だと言えます。
採用マーケティングのメリット5:長期スパンで人材確保ができる
うまく自社SNSを活用していけば、年度を問わずにファン層を獲得することができます。新卒の場合でも、決まった学年のみでなく、その下の学年にもアプローチができるため、長期的に見てもメリットが高いと言えるでしょう。
「その場限りの採用にならない」ということが自社採用の大きなメリットです。
採用マーケティングで活用できるフレームワーク5選
ではいざ自社で採用マーケティングを取り入れようと考えても、いきなりだと何から始めてよいか見当もつかない方も多いのではないでしょうか。そこでおすすめなのが、フレームワークを活用した洗い出しです。
フレームワークに沿って考えることで、自社の得手不得手・狙いたいターゲット層・他社差別化ポイントなどが見えてきます。ここでは5つのフレームワークを紹介しますので、簡単に始められそうなものから取り掛かってみましょう。
活用できるフレームワーク1:3C分析
3C分析では、Customer(市場/顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)それぞれの観点から何を重視すべきかを考えるフレームワークです。
採用においてはCustomer=ターゲット求職者はどのような人か、Competitor=そのターゲットを採用するときに比較されそうな他社はどこか、Company=その他社に対し、自社が勝てるポイントはどこか、ということになります。
活用できるフレームワーク2:ペルソナ
ペルソナ設定も非常に重要です。「採用したい人物像」ともいえるペルソナは、できるだけ細かく設定しましょう。
「どのような経験がある何歳ぐらいの人なのか」「どういう思考を持って、何に興味があるのか」などを設定することで、どのSNSを使うべきか、どのような内容を発信すべきかが見えてきます。
ペルソナは1社に1人分で良いというわけではありません。当然新卒採用・中途採用だと別のターゲットになるでしょうし、中途採用の中でも募集職種によって異なります。「自社の施工管理で新たに入社してもらいたいのはこんな人」というように、具体的にイメージしましょう。
活用できるフレームワーク3:5A理論
5A理論では、求職者がどのようなフローで入社の意思決定をするかについて考えていきます。
ステップとしては、認知する→記憶に残る→調べる→行動する→周囲に勧める、という5つになります。現在自社で検討している採用手法のなかで、弱い部分はないかを確認し、そこを補う施策を取り入れましょう。
活用できるフレームワーク4:5フォース分析
5フォース分析は、もともと業界の収益性を分析するフレームワークですが、採用の場面でも活用可能です。なぜなら新卒入社を狙う学生でも、転職活動をしている求職者でも、その業界の安定性や強さは見ておきたいポイントと言えるからです。
「業界内の競合」「新規参入の脅威」「代替品の脅威」「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」の5つについて分析したうえで、採用面接の際にもしっかりPRできるようにしておきましょう。
活用できるフレームワーク5:SWOT分析
SWOT分析では、自社の「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」を分析していきます。
採用においても求職者に対し、自社がPRできる強みは何か、今後改善しなければならない弱みは何か、どのような機会に恵まれているか、競合の脅威は何があるかを考え、戦略立てて動けるようにしていきましょう。
施工管理や現場監督の採用を行う際に採用マーケティングを活用しよう
施工管理や現場監督は人材難が続いており、求職者が引っ張りだこになる職種です。その中でも自社を選びたいと思ってもらうためにはどのような施策が必要なのかを、今一度考えてみましょう。考えを整理するにはフレームワークが有効ですし、実行に移す際には新たな採用マーケティング手法が使えます。
もちろん採用マーケティング手法は取入れた瞬間に効果が出るものではありません。時間と工数をかけ育てていく必要があります。
しかし、軌道に乗れば多くのメリットを享受できる施策です。ぜひこれまでの施策にとらわれず、自社のファンを増やすための活動をしていきましょう。
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