技能実習と特定技能ってなに?
技能実習と特定技能とは外国人が日本に在留するために設けられている在留資格です。
外国人が日本に在留するには在留資格が必要になります。また、原則として日本に在留している間、在留資格で許容されている範囲以外の就労活動はできないことになっています。
ここでご紹介する特定技能と技能実習も在留資格の種類ですが、それぞれ目的や関係法令、活動内容などに違いがあります。
技能実習とは
技能実習とは日本への技術などの移転による国際貢献を目的としています。
開発途上国への国際協力を目的とした制度で、最大3年間外国人を受け入れ、OJTを通じて技能を移転します。
また、技能実習生には入国1年目から技能実習の在留資格が付与され、入国1年目までは技能実習1号、2年目以降は技能実習2号となり、技能検定3級相当の技術を取得して帰国するという流れになっています。
特定技能とは
特定技能とは深刻化する日本企業の人手不足への対策を目的としています。
技能実習は技能移転後母国に帰国する必要がありましたが、特定技能の場合は技能実習後も日本に在留することが可能になりました。
また、特定技能には1号と2号があり、1号は特定産業分野の相当程度の知識や経験を必要とする技能に従事する資格、特定技能2号は熟練した技能を要する業務に従事する資格となっています。
そもそも在留資格とは?
在留資格とは外国人が日本に住むための資格です。
在留資格には33種類の資格があり、大きく分けると「活動類型資格」と「地位等類型資格」にわかれます。
活動類型資格は日本で定められた活動を行うことで在留資格を得ることで、学歴や職歴などによって資格が与えられます。また、地位等類型資格は日本人と結婚することにより日本人の配偶者などの立場になった場合に得ることができる在留資格です。
技能実習と特定技能の違い7つ
技能実習と特定技能にはさまざまな制度があります。
これまで日本に在留する資格制度として存在していた技能実習では、実習終了後には母国に帰国する必要がありました。しかし特定技能の場合、実習終了後でも日本に在留することが可能です。
ここでは技能実習と特定技能の違い7つをご紹介しますので、どのような違いがあるのか参考にしてみてはいかがでしょうか。
技能実習と特定技能の違い1:就業できる職種・業種が違う
技能実習と特定技能では就業可能な業種や職種に違いがあります。
技能実習では就業可能な職種や業種でも特定技能では不可能なケースと、特定技能では就業可能でも職種や業種でも技能実習は不可能なケースもあります。
たとえば技能実習では飲食チェーンなどで外国人を正社員として雇用するのは難しかったのですが、特定技能の場合は外国人を雇用しやすくなりました。
技能実習と特定技能の違い2:在留期間の長さ
技能実習と特定技能では在留期間に違いがあります。
技能実習1号の場合は1年以内、2号であれな2年以内、3号であれば2年以内となっており、合計で最大5年の在留期間になります。
一方、特定技能の場合は特定技能1号の場合は上限5年となっており、1年、6ヶ月、4ヶ月毎に更新となっており、特定技能2号の場合は更新回数に制限がなく、3年、1年、6ヶ月毎に更新となっています。
技能実習と特定技能の違い3:家族潜在が可能であるか
技能実習と特定技能では家族滞在の可否に違いがあります。
家族滞在とは日本で就労資格を持っている外国人の家族も日本に住むことができるという資格です。これまで技術実習では家族滞在ができませんでした。また、特定技能1号の場合も家族滞在はできません。
しかし特定技能2号の場合は家族滞在が可能となるため、母国の家族を日本に呼び寄せて暮らすことができます。
技能実習と特定技能の違い4:制度の目的
技能実習と特定技能では制度の目的に違いがあります。
技能実習の場合は開発途上国などに日本の技術を移転し、帰国後に母国で技術を広めるという国際貢献を目的としています。そのため、実習終了後は帰国する必要がありました。
一方、特定技能の場合は日本の人手不足を補うことを目的としているため、技能実習のように実習終了後母国に帰ることなく、日本に在留し続けることも可能です。
技能実習と特定技能の違い5:転職が可能であるか
技能実習と特定技能では転職の可否に違いがあります。
技能実習の場合はそもそも実習を目的とした制度となっているため、転職はできませんでした。技能実習では所属している企業が倒産した場合や、技能実習2号から3号への移行する場合にのみ転職が可能になります。
一方、特定技能は就労資格となるため、同一職種であれば転職も可能です。
技能実習と特定技能の違い6:人数制限の有無
技能実習と特定技能では受け入れ人数制限に違いがあります。
技能実習の場合は実習を行うことを目的としているため、適切に指導できるように受け入れ人数には制限があります。
一方、特別技能の場合は日本企業の人手不足の補充を目的としているため、受け入れ人数には制限がありません。ただし、建設業などの一部業種では制限がある場合もあるため、確認が必要です。
技能実習と特定技能の違い7:就労前後に関わる人の数
技能実習と特定技能では就労前就労後に関わる人の数に違いがあります。
技能実習の場合、実習先の企業と実習生本人の間に「監理団体」「技能実習機構」「送り出し機関」などのさまざまな団体が介入することになります。
一方、特定技能の場合は原則として企業と当事者のみが関わることになります。
建設業での技能実習移行可能・不可での職種と業種の違い
建設業の職種では技能実習の移行にどのような違いがあるのでしょうか。
建設業で就業している特定技能外国人は、試験などを受験することで特定技能1号から2号へ移行できます。しかし同じ建設業の中でも、特定技能2号が可能なもの、技能実習2号移行が可能なもの、不可能なものがあります。
特定技能2号可能 | 型枠施工、鉄筋施工、屋根ふき、左官、内装仕上げ、コンクリート圧送、建設機械施工 |
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技能実習2号移行可能 | 型枠施工、鉄筋施工、屋根ふき、左官、内装仕上げ、コンクリート圧送、建設機械施工 |
技能実習2号移行不可能 | トンネル推進工、土工、電気通信、鉄筋継手 |
登録支援機関と監理団体とは?
登録支援機関と監理団体はどちらも外国人実習生の人材紹介や入国後のサポートなどを行う機関です。
登録支援機関は特定技能資格者の雇用を行う際に必要になるさまざまな支援業務を行っている機関で、一般企業などの営利団体でも事業が行えます。
また、監理団体は実習生と実習生の受け入れを行っている企業の97%を監督、管理する義務を負っている団体で、非営利団体しか監理団体にはなれないことになっています。
登録支援機関と監理団体の違い3つ
登録支援機関と監理団体にはさまざまな違いがあります。
基本的には登録支援機関は特定技能外国人のサポートを行う機関で、監理団体は実習生と受け入れ企業を監理するという違いがあります。しかし他にも両者には大きな違いがあります。
ここでは登録支援機関と監理団体の違い3つを順にご紹介していきますので、どのような違いがあるのかぜひ参考にしてみてください。
登録支援機関と監理団体の違い1:団体ごとに料金形態に違いがある
登録支援機関と監理団体はそれぞれ料金形態に違いがあります。
特定技能外国人を支援する登録支援機関は設立されて間もないことから、まだ料金形態は定まっていません。そのため、支援サービスごとのサービス料となるのか月額での支払いになるのかなど、各社で比較する必要があります。
一方、監理団体は月額制となっており、毎月3万~5万円ほどの決まった監理費を支払うことになります。
登録支援機関と監理団体の違い2:機関と団体で役割が異なる
登録支援機関と監理団体はそれぞれ役割に違いがあります。
登録支援機関は特定技能を持った外国人の就労支援を役割としています。一方、監理団体の場合は実習生を受け入れる企業が適切な実習を行っているかどうか監督する役割を持ちます。
そのため、監理団体の場合は3ヶ月に1度以上受け入れ機関を監査し、必要があれば指導を行います。
登録支援機関と監理団体の違い3:民間企業・個人事業主の登録の可否
登録支援機関と監理団体はそれぞれ民間企業や個人事業主でも登録可能かどうかという違いがあります。
登録支援機関の場合、条件を満たしていれば民間団体や個人事業主であっても登録することができます。
一方、監理団体の場合は非営利法人である協同組合が運営しており、民間団体や個人事業主は登録することができません。
技能実習と特定技能の相違点を理解しよう
特定技能は人材不足である日本企業の人材不足解消を目的に外国人を受け入れる新しい制度です。
これまでの技能実習の場合は習得した技能を母国で広めるために帰国する必要がありましたが、特定技能であれば日本に住み続けることも可能になります。
ぜひこの記事でご紹介した技能実習と特定技能の違いや登録支援機関と監理団体の違いなどを参考に、技能実習と特定技能について理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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