そもそもCADとは
CADとはComputer Aided Designの略称のことで、パソコン上で設計図の作成や製図を行うソフトウェアのことを指します。
建築はもちろんのこと、自動車や飛行機、電車などの乗り物や洋服などにも使用されています。CADには、広く浸透している2DCADとニーズが高まっている3DCADがあります。
2DCADについて
2DCADは、主に図面作成に使用されているシステムのことで、正面図、平面図、側面図の視点から構成され、三角法に基づいたxyzの視点から図面を描きます。そのため、三角法で描かれた図面から物の形を想像する必要があります。
また、視点ごとにファイルを作成するため、複雑な図面を作成する度に管理するファイルが増え、結果として工数が増加してしまう傾向にあります。
メリットとしては、2D図面をコンピューター上で作成できること、図面データの修正、保存、再利用ができることなどが挙げられ、初期段階の構成設計の段階で多用されています。
デメリットとしては、製造業の場合、多くの検討検証が必要となりますので、試作検討段階で工数がかかりやすくなること、設計不良の見直しが発生しやすいことなどが挙げられます。
3DCADについて
3DCADは、仮想空間に3つの軸を用いた立体を構成できるシステムのことで、体積、表面積、質量、重心などの幾何情報の算出や部品同士の干渉の設計検証、図面作成などに使用されています。
設計物を立体で表現できることから、物の形を視覚的に認識できるという特徴を持ちます。また、立体から必要な視点の図面を2Dに切り出せるため、管理ファイル数の削減や簡易的なミス防止が期待できます。
メリットとしては、部品データに属性情報を与えられることから、設計制度の向上や試作品製作の回数減少を実現できることなどが挙げられます。
一方デメリットとしては、使用するPCに求めるスペックが高くなること、2DCADに慣れている方は思考の転換が必要となること、他社連携の際にはソフトのバージョン管理が必要となるこなどとが挙げられます。
3DCADの資格の種別3選
続いて、3DCADで知っておきたい3つの資格種別1級、準1級、2級について概要を説明します。これから資格を取得しようという方はぜひ参考にしてみてください。
どの資格も試験日の日程は前期と後期に設定されていて、前期は7月中旬、後期は12月中旬に行われています。2020年度の試験日程について、前期は7月12日、後期は12月6日と発表されています。
3DCADの資格の種別1:1級
正式名称を「3次元CAD利用技術者試験1級」と言い、設計者やオペレーターの管理者を志す方向けとなっています。
受験資格は2級有資格者とされ、合格後の進路には、自動車、機械メーカーの設計者もしくは設計補助が想定されています。
3DCADの資格の種別2:準1級
正式名称を「3次元CAD利用技術者試験準1級」と言い、3DCADオペレーターや設計のサポート業務に従事したい方向けとされています。
受験資格は2級有資格者とされ、合格後の進路には、自動車、機械メーカーの設計補助、オペレーターが想定されています。
3DCADの資格の種別3:2級
正式名称を「3次元CAD利用技術者試験2級」と言い、3DCADシステム関連業務に携わりたい方向けとされています。
受験対象者には、オペレーター志望の方だけでなく、関連製品の管理、営業等を担当されている方も想定されています。特別に必要な受験資格は特になく、1級や準1級取得の足掛かりとなる資格です。
合格後の進路には、3DCADの営業、管理等の関連業務が想定されています。その後、準1級や1級を取得することで、オペレーターや設計者への道を拓くことが可能になります。
3DCADの資格を活かせる職業6選
続いて、これから3DCADの資格を活かしてみようという方に、活かせる職業6選をご紹介します。
ここまでは3DCADや2DCADを使ってできることや3DCADの資格試験などをご説明しましたが、実際に資格を活かしたいという方は、キャリアパスを知っておくと便利です。
3DCADの資格を活かせる職業1:アパレルメーカー
3DCADの資格を活かせる職業の1つ目は、アパレルメーカーのデザイン部門でのオペレーターです。
アパレルメーカーでは、3DCADを使用することで型紙設計やバーチャルな着こなしの確認をしています。サンプルを数着作る手間が省けるため、生産性の効率化が期待されています。
まだアパレルメーカーへの3DCAD浸透率は低いですが、服飾系の教育機関で3DCADの授業が行われるなど、3DCADを扱う人材育成が進んでいます。
3DCADの資格を活かせる職業2:製造メーカー
3DCADの資格を生かせる職業の2つ目は、製造メーカーの設計・開発部門でのオペレーターです。
製造メーカーでは、3DCADを使用して製品の図面作成やモデリングなどを行っています。
3DCADの資格を活かせる職業3:機械メーカー
3DCADの資格を活かせる職業の3つ目は、機械メーカーでの機械CADオペレーターです。
設計士の指示により3DCADを使用しながら機械図面の製図を行います。製図は、始めに部品を作成し、次に部品同士を組み立て、部品同士の干渉がないかどうかチェックしていくという流れで行われています。
3DCADの資格を活かせる職業4:自動車メーカー
3DCADの資格を活かせる職業の4つ目は、自動車メーカーでのCADオペレーターです。
3DCADを使用して自動車の設計、部品の干渉のチェック、シミュレーションなどを行います。
3DCADの資格を活かせる職業5:建築業界の設計者
3DCADの資格を活かせる職業の5つ目は、建築業界の設計者です。
設計事務所に就職し、CADを操作しながら図面を描くことで建築物の設計を行います。
CADオペレーターとは異なり、設計者には求められるスキルが多く、CADの知識に加え、建築学や建築法についての理解、安全性や環境性、コストなどへの総合的な配慮が必要とされています。
3DCADの資格を活かせる職業6:施工管理技士
3DCADの資格を活かせる職業6は、施工管理技士です。
施工管理技士は、工事に関係する各業者が安全かつスムーズに作業できるよう、建築現場のスケジュール管理をする仕事を担い、建設会社やゼネコン勤務が想定されます。
資格取得に3DCADが必須とされていませんが、実務ではインターネット経由で図面をやりとりする機会が増加しています。3DCADのスキルを活かすことで、関係各所との円滑なコミュニケーションが期待できます。
3DCAD取得におけるメリット4選
続いて、これから3DCADを取得してみようという方に3DCAD取得におけるメリット4選をご紹介します。
就活に有利になる、転職時に有利になる、新規の顧客獲得に活かせる、取引時に活かせるといったメリットがあります。
3DCAD取得におけるメリット1:就活に有利になる
3DCAD取得におけるメリットの1つ目は、就活に有利になることです。
3DCADを必要とする業界は、アパレル、建築、製造などと幅広く、さまざまな業界への就職が期待できます。
また、3Dプリンターなどの新しい3D技術の普及により、今後CADスキル保持者の需要が増えることが見込まれています。
3DCAD取得におけるメリット2:転職時に有利になる
3DCAD取得におけるメリットの2つ目は、転職時に有利になることです。
3DCADの資格をアピールすることで、即戦力がほしい企業にとって魅力的な人材となれるでしょう。
また、設計図が必要な業界の幅広さから業界を超えた転職も期待できるとともに、3DCAD資格保持者の需要が高まっているというメリットもあります。
3DCAD取得におけるメリット3:新規の顧客獲得に活かせる
3DCAD取得におけるメリットの3つ目は、新規の顧客獲得に活かせることです。
3DCAD資格を持っていることで取引先に受け入れてもらいやすくなり、結果として新規の顧客を獲得しやすくなります。
3DCAD取得におけるメリット4:取引き時に活かせる
3DCAD取得におけるメリットの4つ目は、取引き時に活かせることです。
3DCADの資格は、通常のCADスキルよりも高レベルなため、3DCAD資格を保持していることで取引き先からの信頼を得やすくなります。
また、資格がスキルの高さの証明となり、取引き先に同時に安心感を与えられるというメリットもあります。
3DCADを取得する際の勉強方法とは
続いて、これから3DCAD資格を取得してみようという方に勉強方法をご紹介します。
ここまでは3DCAD取得のメリットなどをご説明しましたが、実際に資格を取得したい方は勉強方法を知っておくと便利です。
スクールに通う
3DCAD資格取得の勉強方法の1つ目は、スクールに通うことです。
試験対策講座など、ポイントを押さえた学習を受けることが可能で、自宅にパソコンがなくても学習できるというメリットがあります。
一方で、学習コストがかかるというデメリットがあり、試験対策講座の受講料は10万円程度となっています。
過去問などから独学で学ぶ
3DCAD資格取得の勉強方法の2つ目は、過去問などを使用して独学で学ぶことです。
独学の場合には、パソコンとCADソフトが必要となります。その際、パソコンはデスクトップ・ノートパソコンどちらでも構いませんが、マウスが必須となります。
CADソフトは無料から有料のものまでありますが、FreeCADという無料ソフトでも試験対策には十分です。
また、資格試験に必要な本ですが、試験を主催する一般社団法人コンピュータ教育振興協会から公式ガイドブックが出版されています。こちらは、筆記および実技試験に対応した内容になっており、前年度の過去問も掲載されています。
ガイドブックだけでは難しいという方は、参考書を併用するとよいでしょう。
3DCAD以外のCAD資格3選
ここまでは、3DCADの資格や活かせる職業、取得のメリットや勉強方法について紹介しましたが、3DCAD以外のCAD資格にもさまざまなものがあります。
以下でそれぞれについて説明しますので、CAD資格を取得したいという方はぜひ参考にしてみてください。
3DCAD以外のCAD資格1:CAD実務キャリア認定制度
3DCAD以外のCAD資格の1つ目は、CAD実務キャリア認定制度です。
CAD実務キャリア認定制度には、3種類の試験があり、それぞれ3次元CADトレーサー認定試験、3次元CADアドミニストレーター認定試験、CADアドミニストレーター認定試験となっています。
対象者は、仕事でのCAD使用者やCADを勉強している学生とされています。これに合格することで、CAD利用に関する実務的な技術や技能の成果が認定されたことになります。
なお、自宅のパソコンで受験可能、試験中の参考書の閲覧が許可されているという特徴があります。
3DCAD以外のCAD資格2:建築CAD検定試験
3DCAD以外のCAD資格の2つ目は、建築CAD検定試験です。
建築CAD検定試験は、建築用図面を「CAD」を使って描く技量を測る検定となっています。等級には准1級・2級・3級・4級があり、特別な受験資格や条件がありませんので、初心者でも級を問わずに受験できます。
3DCAD以外のCAD資格3:オートデスク認定資格プログラム
3DCAD以外のCAD資格の3つ目は、オートデスク認定資格プログラムです。
オートデスク認定資格プログラムは、AutoCADを中心とするオートデスク製品の知識や操作技術の高さを認定する試験のことで、世界共通の認定資格となっています。
日本では、オートデスク認定ユーザー試験とオートデスク認定プロフェッショナル試験の2種類が受験できます。
オートデスク認定ユーザー試験に特別な受験資格は不要ですが、最新コース、もしくは製品を約50時間扱ったことのある経験者の受験が推奨されています。
オートデスク認定プロフェッショナル試験にも特別な受験資格は不要ですが、オートデスク認定ユーザー資格保持者または400時間以上の製品使用経験者の受験が推奨されています。
3DCADの資格を取得し就職に活かしましょう
3DCADの資格は、就職や転職に有利になる上に、新規顧客の獲得や取引時に活かせるなどさまざまな特徴がありました。
今回ご紹介した3DCAD資格の取得情報と勉強方法を活用しながら、まずは3DCADの資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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